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「拝見させていただきます」は二重敬語です!正しい使い方を例文で解説

大山奏

大山奏K.Ohyama

目次

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1:拝見させていただきます。は二重敬語

相手が送ってくれた資料などを読んだとき、「拝見させていただきました」なんて言うことがありますよね。ですが、これは二重敬語なため本来はNGな使い方です。

二重敬語とは、言葉のとおり、敬語が二重に使われてしまっている状態のことを言います。「拝見」という言葉は、これだけで「見る」の謙譲語です。そして「させていただく」も謙譲語のため敬語が二重に使われていることになるのです。

また、「させていただく」という言葉は、相手から何か許可と恩恵をもらうことを表すため、ただ相手が送ってきた文章や資料などを読むときには使いません。

2:拝見させていただきますの正しい使い方例文3つ

(1)拝見します

「拝見させていただきます」のほうがていねいに感じるかもしれませんが、本来の敬語としては「拝見します」だけで十分正しいです。

例文1:「先ほど送っていただいた企画書、拝見しました」

例文2:「メールを拝見しました」

(2)拝見いたしますは許容範囲

ビジネスなどで「拝見いたします」という言葉を使っている人も多いですよね。こちらも実は、「いたす」が謙譲語なため二重敬語になっています。

ただし、一般的に広く使われているため、これを間違いという人はあまりいません。失礼と受け取る人もいないでしょうから、許容範囲内だと思ってよいでしょう。

(3)相手に許可を求める場合

「拝見させていただく」が正しく使える場面もあります。それは「大変恐れ多いのですが、○○させてください」というニュアンスが含まれるときです。

例えば、社長の大事にしている絵画コレクションを見たいと言って快諾されたときには、「ありがとうございます。拝見させていただきます」と言うことができます。

3:拝見を正しく使うポイント4つ

(1)ご拝見とは言わない

拝見はこの言葉だけで「見る」の謙譲語なため、「お」や「ご」をつけて、さらにていねいにする必要はありません。「ご拝見」しますは間違った言葉なので使わないように注意が必要です。

(2)拝読や拝聴も使える

拝見と似たような言葉に、「拝読」や「拝聴」があります。この言葉は相手の何かを読ませてもらうとき、講演などを聞かせてもらうときに使えます。拝見よりもより具体的な行動を示すことができるため、場面によって使分けができるといいですね。

(3)拝見してくださいはNG

拝見は自分の動作を低くして相手を高める謙譲語です。そのため、相手の動作に対して使うことはできません。「メールを拝見してください」などと相手の動作に使うことはないので気をつけてください。この場合相手の動作を高めるために「見る」の尊敬語「ご覧になる」などを使います。

(4)誰かに会うときにも使える

拝見というと物を見るときに使うことが多いですが、誰かに会うという意味でも使えます。例えば、病気の相手を見舞ったあとに「元気そうなお顔を拝見できて、大変嬉しかったです」などと言うことができます。

4:ほかにもあるある!使いがちな二重敬語5つ

特にフォーマルな場やビジネスの現場などでは、とにかく相手に失礼にならないようにと敬語を使いすぎてしまうケースがあります。よく使われているけれど、実は二重敬語になっている言葉をご紹介します。

(1)お召し上がりになられる

「こちらで昼食をお召し上がりになられますか?」など、舌を噛んでしまいそうなこの言葉。「お~」「召し上がる」「なられる」と3つも敬語が入ってしまっています。正しくは「召し上がりますか?」です。

(2)お越しになられる

部長のもとに、取引先の人が訪問してきた場合によく使われるのが「○○さまが、お越しになられました」です。これも「お越しになる」「なられる」の部分が二重で敬語になっています。正しくは「お越しになりました」です。

(3)おっしゃられました

「先生がそうおっしゃられました」も、いかにもていねいな印象がありますよね。ですがこちらも二重敬語。「おっしゃる」「られる」が両方とも尊敬語です。正しくは「おっしゃいました」です。

(4)ご覧になられる

相手が何かを見るときに使う表現が「ご覧になる」ですが、これに「なられる」をつけると、二重敬語として正しくない表現になってしまいます。「ご覧になりますか?」で敬語としては十分です。

(5)伺わせていただく

拝見させていただくと似た形でよく使われるのが「伺わせていただく」です。これも「伺う」がすでに「行く」の謙譲語なため、「させていただく」をつける必要はありません。「〇日に伺います」で失礼にはあたりません。

5:言葉は日々変化する?

「拝見いたします」は二重敬語だけれど、許容範囲だとお伝えしました。このように、言葉は人が使うことによって日々変化していき、許される言い回しも変わってきます。いま頻繁に使われている言葉は、将来的に使ってもよいと言われる可能性もあります。

ただし、いまのところ「拝見させていただく」は特定の場面でない限り間違いとされていますので、使わないように気をつけてくださいね。