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思考力とはなに?思考力がない人の特徴と鍛える方法
平松隆円R.Hiramatsu
1:思考力とは?
思考力とは、簡単に言えば考える力のことです。もう少し難しく言うと、感覚や表象の内容を分析・統一して概念を作り、判断する能力ということになります。
思考力には、直観的思考力と論理的思考力があり、学校などでは正しい答えを導き出せるために必要な論理的思考力が重視されています。ですが、アメリカの教育心理学者Jerome Seymour Bruner(ジェローム・シーモア・ブルーナー)などは、直感的思考力が大事だと言っています。
直感的思考力とは、全体の構造を把握し問題の本質を見抜く力や、すばやく直接的に対象をとらえる力のことです。それに対して論理的思考力とは、筋道を立てて考えたり説明したりする力のことです。
このふたつは、どちらが大事かということではなく、お互いに補い合うものなのでどちらも必要です。今回は、両方ひっくるめて思考力と考えて話を進めていきましょう。
2:思考力がない人の特徴5つ
思考力がないということは、考える力がないということ。考える力がないと、いったいどうなるのでしょうか。
(1)物事に対する興味がない
思考力が低い人の特徴に、人や物に対する興味がないというのがあげられます。些細なことに対する興味がなく、相手がなにを求めているのか、仕事でどうすれば効率よく成果をあげられるか、といったことを考えられません。
なにを求めているのか、どうすれば効率よく成果をあげられるかということ自体が仮説を立てるという思考のスタートなのですが、それがそもそもできないのです。
(2)話を整理できない
話を整理することを難しい言葉で、「構造化する」と言います。日常生活のなかでは、あっちこっちに論点が飛ぶような話を聞く場合があるでしょう。そんなときに、自分なりに話を構造化していかないと、相手の言っていることを理解できません。そして、理解ができないと、考えることすらできないのです。
(3)人に頼りがち
自分で考えることを放棄してしまって、すぐに助けを求めるような人は思考力がありません。言ってみれば、学校の宿題を自分で取り組まず、友達の答えを書き写すようなものです。それでは、考える力なんて身につきませんよね。
(4)思いつきで行動する
思考力がない人は、思い立ったら吉日で、思いつきで行動します。なにかをするときに、これをすれば失敗するだろうとか、もっと上手くやるにはどうしたらいいだろうということを、イメージトレーニングしたり、頭のなかでシュミレーションしたりしないのです。
(5)工夫ができない
言われたとおりにしかできない人や、マニュアルどおりにしか動けない人は、思考力がないと言えます。自分で考えて工夫するということができないのでしょう。
3:思考力を鍛える方法5つ
それでは思考力を身につけるためにはどうすればいいのでしょうか。
(1)全体を把握するようにする
思考力がない人は、例えば指示されるとその指示だけに気をとられてしまいます。そうではなく、なぜその指示がされているのか、全体を想像する習慣を身につけましょう。
仕事であれば、上司からの指示は会社全体の経営目標に基づいています。経営目標を理解できれば、上司の指示の意味をより理解できますし、もっといい方法を見つけることだってできます。
(2)知識の量を増やす
考える力は、知識の量に比例します。言ってみれば、冷蔵庫のなかの食材に比例して、作れる料理の数も量も増えるのと同じです。自分に知識がないと、考えようにもなにもできないんです。
(3)想像力を働かせる
上司からの指示を受けるときでも、なぜ上司はこんな指示をしているのかという意味について想像力を働かせる習慣を身につけましょう。想像力とは、思考において仮説を立てるということと同じです。
(4)メモをとる習慣を身につける
社会人であればメモをとる習慣を、学生であればノートをとる習慣を身につけましょう。メモやノートをとれば、自分の知識を増やすこともできますし、書くという作業を通じてなにか考え、ヒントを思いつき、それをさらにメモやノートにとることで深く考えるきっかけになります。
(5)事例化する
事例化するというのは、パターン化するという言葉に言い換えることができます。学校で繰り返し同じような問題を解く勉強をするのは、問題と解答をパターン化し、より効率的な解答の導き方を自分なりに工夫できるようになるためです。
それは社会人でも同じです。仕事と上司からの指示をパターン化するようにすることで、自分のなかで効率化できる方法を考えられるようになります。
4:思考力を高めるために参考になる本3選
最後に、思考力を高めるために参考になる本を紹介しておきます。
(1)ロジカルやMECEだけではうまくいかない!? \かてきょ式/ わくわく思考せんりゃく。
大手コンサルティングファームのコンサルタントで、週末は働く女性の家庭教師として活躍するタブタカヒロが著者。
MBAなどで学ぶビジネスにおける思考には、ロジカル・シンキング、クリティカル・シンキング、デザイン・シンキングなどいろいろな方法がありますが、理屈ではなく実践で使えるような、わかりやすく思考する方法を紹介しています。
(2)論理トレーニング101題
もはや古典的名著とも言える野矢茂樹の「論理トレーニング101題」は、大学に入学した学生も手にすることが多い1冊です。「そういえば、大学のゼミかなにかで買わされた」という人も少なくないのはないでしょうか。
この本には練習問題が101題あり、ひとつずつ取り組んでいくことで議論の整理や構造の仕方、批判して自分なりの解決方法を見つける技術を身につけることができるようになります。
(3)知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ
イギリス・オックスフォード大学で教授を務める苅谷剛彦の著書。情報を正確に読み取る力、物事を整理する力、与えられた情報をもとに自分の論理をきちんと組み立てる力、を身につけるにはどうしたらいいかを知ることができます。
5:まとめ
思考力はとにかく大事です。この4月、高校や大学に進学した人、社会人になった人で、自分の思考力のなさにガッカリしている人も多いでしょう。思考力は、いまからでも飛躍的に伸ばすことができます。諦めずがんばってくださいね。