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捨て印とは?捨て印の効力と押す理由・失敗した場合の対処について

槻谷岳大T.Tsukitani

目次

隠す

1:捨て印とは?

そもそも、捨て印とはどういうものなのでしょうか? 辞書を引くと、

すて‐いん【捨(て)印】

証書などで、訂正の場合などを考えて、前もって欄外に押しておく印。

出典:デジタル大辞泉/小学館

といった表記があります。 本来、文書で誤字脱字や書き損じなどがあった場合、書いた本人が訂正するのが通常ですが、書類が相手に渡ってしまっていた場合、わざわざ送り返して直すのも面倒です。そんな場合に備え、訂正を相手に委任する意味で押しておくのが「捨て印」なのです。

2:契約書や婚姻届のどこに押すの?その効力は?捨て印の基礎知識

(1)どんな書類に押す?

捨て印は、不動産の賃貸契約書や、婚姻届けなどにも押されます。中には司法書士などの指導のもと、遺産分割協議書などの重要な書面にも使われるときがあります。

(2)押す場所

捨て印を押す場所は、法律で明確に決められているわけではありませんが、一般的にはその契約書の欄外で、右上の部分など目立つ場所に押されます。書面が複数枚に渡る際には、それぞれ一枚ずつ押します。原則的には、その契約書で使った印鑑と同じ印鑑を捨て印として押しましょう。

また、2名以上の複数人で交わす契約書の場合には、それぞれの捨て印をすべて押します。

(3)効力

捨て印を押した後、もし実際に書面の訂正がなされた場合には、その訂正箇所の文章に二重線を引いて、削除をしたり書き直したりしたうえで、捨て印の下あたりに該当する「削除~~字」や「追加~~文字」などを、訂正した者がその内容を記入していきます。

これによってわざわざ再度書類の受け渡しをして、直接直さなくても、訂正したことが認められる効力があります。ただし、認められる訂正の内容には制限があるとされます。そのあたりは後述します。

3:捨て印を押すメリットと危険性5つ

捨て印のメリットとデメリットを、それぞれいくつか見ていきましょう。

(1)メリット:捨て印を押した者がわざわざ訂正しに再訪する必要がない

例えば役所に婚姻届を提出した場合、あとから書類に訂正箇所(例えば住所の番地を書き間違えていたなど)が見つかっても、捨て印を押していれば、わざわざ役所に再度赴いて、自ら訂正する必要はなくなります。役所のほうで訂正をし、捨て印の下にその訂正の内容を記入してくれます。

(2)メリット:書類を受け取った側も、わざわざ訂正してもらいに行く必要がなくなる

同じように、役所側など書類を受け取った側も、訂正してもらいに行ったり、来てもらう必要がなくなり、より円滑に事務処理を行いやすくなります。

(3)メリット:書類訂正による時間のロスを軽減できる

捨て印を押しておけば、その場で訂正することができ、時間のロスを軽減することもできます。

(4)危険性:意図しない内容を勝手に訂正されてしまう可能性

捨て印は書類訂正の権利を一定程度、相手に認めることになります。そのため、意図しない箇所を勝手に書き換えられてしまうリスクもあります。

一般的には、捨て印で訂正できる内容は、氏名や住所の書き間違え、漢字の表記の間違えなど、契約の重要な内容までには及ばないものとされています。

もし仮に裁判などになっても、お互いの合意のもとであったということでなければ、訂正は認められないのが普通です。それでもそういったリスクがまったくないわけではないことは、認識しておいたほうがいいでしょう。

(5)デメリット:トラブルのもとになり得る

既に述べたとおり、捨て印は書類訂正の権利を相手に与えるものですので、基本的には大手金融機関や役所など、社会的信用のあるところにしか渡さないほうが無難かと思います。

しかし中には、捨て印を敢えて押させたうえで、訂正の効力の有無を巡ってトラブルになるようなケースもゼロではないので、注意はしておきましょう。

4:捨て印に失敗した場合の対処法

万一、捨て印を押し間違えてしまった際は、二重線で消してから再度押すのではなく、間違って押した印の上から、訂正の証として重ねて再度印を押し、その横に、改めて正式な印をもう一度押します。

5:クレジットカードの申し込みなど…捨て印は拒否できる?

既に述べたように、捨て印はリスクも伴うものですので、大手金融機関や役所など社会的信頼のあるところにしか使用しないのが無難です。もし仮に、そうではないクレジットカード会社などに求められた場合や安心できない場合には、押すのを拒否することも選択肢のひとつでしょう。

もしくは押す前に、捨て印の目的を確認したり、あらかじめ書類のコピーを取ったり、予防策をとっておくのもよいかもしれません。

6:捨て印はシャチハタでも大丈夫?

捨て印は、書類で使用した正式な印鑑と同じ物を使うのが一般的なため、実際には実印などがほとんどかと思います。捨て印を使用するような書類には、普通はシャチハタは使用しないので、避けたほうが無難でしょう。

7:まとめ

書類の訂正を相手に委任するということで、「捨て印=悪用される可能性ある」と悪いイメージを持っている人も少なくないようです。しかし、その効力の範囲や適切な運用法をしっかりと理解していれば、便利なものでもあります。

最近は、クラウド上の契約締結サービスも普及し始め、ハンコ文化も今後は減っていく可能性がありますが、必要な社会的知識として持っておいたほうが良いかと思います。