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日本の借金っていくらなの?借金の推移と借金が多い理由

水野 文也F.Mizuno

目次

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1:日本の借金がいくらかわかる「日本の借金時計」とは?

日本の借金は増え続けています。それが一目瞭然でわかるのが「借金時計」。カウンターで刻々と値が変動しています。

そもそも借金時計(Debt clock)とは、1989年にアメリカ合衆国・ニューヨークのマンハッタンに設置された、米国の債務を示したもの。日本には設置されていませんが、インターネットで「借金時計」と検索すれば、いくつかのサイトで簡単に見ることができます。

現状を知ることは大切なことですので、チェックしてみましょう。日本の借金がものすごい速さで増えていくことに、驚いてしまうかもしれません。

22019年はどうだった?日本の借金の推移

1)日本の借金は1200兆円

まず、日本の借金がいくらあるのか調べてみましょう。財務省の「わが国財政の現状等について」によると、2019年度(平成31年・令和元年度)の予算案で、国の長期債務残高は928兆円、地方も合わせた国全体でみると1122兆円となります。

これは年度初めの計画なので、年度末(2020年3月)の時点ではどうかというと……複数の借金時計を見てみると、いずれも国と地方の合計で1200兆円を超えました。ちなみに、国民ひとりあたりでは900万円を超す借金を背負っていることになります。

2)平成の30年間で4倍以上に

日本の借金が1000兆円を超えたのは、2014年度末(平成26年度末)、つまり20153月時点です。このとき、国と地方の長期債務残高は1001兆円に達しました。

今でこそ巨額に膨らんだ借金が騒がれていますが、平成の始まり、19903月(平成2年度末)の実績値は266兆円に過ぎなかったのです。この30年で、借金は何と4.21倍(予算案との比較)に膨らみました。

3:日本は借金大国なの?借金が多い・減らない理由

1)景気悪化と高齢化で膨らんだ

なぜ、こんなに借金が増えたのでしょう。その理由は、大きく2点あります。

バブル崩壊後、「失われた20年」といわれた長期間の景気低迷によって、政府は経済対策の実施に迫られました。不景気で税収が減る中で財政出動するためには、借金して賄うことになります。これがひとつめの理由。

もうひとつは、高齢化社会の進展に伴う医療費など、社会福祉費用の増加。消費増税などで収入を増やそうとしていますが、足りない部分は借金に頼ることになるわけですね。

2)増えるのはやむを得ない部分も

例えば少し前の小泉改革など、公共事業を削減しようとしたのをはじめ、政府も借金を増やさないような努力をしてきました。しかし、リーマンショック、東日本大震災などに対応するために、国民の生活を支援するために、借金をせざるを得ない局面がありました。

そして今、新型コロナウイルスで、政府は大規模な経済対策を実施しようとしています。ここでも足りないぶんは借金するとみられ、今後も日本の借金は増えることが想定できるでしょう。

こうした非常時の備えだけではなく、高齢化社会が一段と進めば、財政がひっ迫します。借金を減らすのは容易ではない……そういう実態を知っておきましょう。

3)日本は不動の借金大国?

経済規模の大きな国と小さな国には差があることや、日々の為替レートが変動することを考えると、借金の絶対額で国ごとの比較をすることは正しいとはいえません。

そこで、世界の国で借金の度合いを示すために使われているのがGDP(国内総生産)との比較。これは、国の稼ぎに対して、どれだけ借金があるかを示した数値です。

日本の借金は、対GDP比で198%、つまり、稼ぎの約2倍の借金があります。

これは、全世界でみてみると、残念ながらワースト1位(2018年)。その年のランキングをみてみると、2位のギリシャが181%3位のレバノンが152%4位のイエメンが141%5位のバルバドスが132%です。

財政が破たんしたギリシャや、最近、債務不履行(返せなくなった)となったレバノンよりも数値が遥かに上であることが気になります。

かつて、小渕元首相が「私は世界一の借金王」と自嘲気味に語りましたが、そのころから不動の借金大国であることは変わりありません。

4:日本はどこから借金してるの?

1)いちばんの日本国債保有者は日本銀行

さて、借金の証文とも言える日本の国債、誰がいちばん保有しているのでしょうか。

財務省が発表している「国債等の保有者別内訳」によると、2019年9月末時点の統計で、もっとも多く保有しているのは日本銀行で、その割合は46.8%。以下、生損保等の21.2%、銀行等の14.8%で、この3つで8割以上を占めます。

日本銀行は発券銀行です。つまりお札が刷れるので、足りないぶんはどんどんお札を刷ればいいんじゃない?と思うかもしれません。しかし、そんなことをしたら、とんでもないインフレが起き、国民生活は混乱してしまうでしょう。そうならないように、日本は「お金を借りる」という形でお金を調達しているのです。

そうはいっても、日本銀行ほか、生保や銀行も、「日本を信用している」からこそ、低金利で貸してくれているのです。しかし、「日本は本当に危ない」となったら、もう国債を買えなくなるでしょう。そうなると、日本はどうしてもお金を貸してほしいから、借りるときの金利を上げて交渉することになります。

でも、それでお金を借りられたとしても、利払いで財政が悪化する……という悪循環になりかねません。これが、リスクとして語られているのです。

2)ギリシャとの違いは?

日本国債のリスクについて触れましたが、実際、そうなる可能性は現状では低いとみられています。あのギリシャよりも、借金依存度が高いのに、なぜ破たんするどころか、信頼度が高いのでしょう。それは、ギリシャとは事情がまったく異なるためです。

ギリシャ国債の80%は海外で保有されています。一方、日本の国債のうち海外で保有されているのは、わずか7.6%に過ぎません。わかりやすく家計に例えると、ギリシャは足りないぶんの8割を外で借金していますが、日本は9割以上を、一緒に住んでいる祖父母に借りるなど、身内で賄っているわけです。家の中でのやり取りですから、家計全体でみれば、すぐに破たんするとはいえないでしょう。

3)日本は担保余力が膨大!

お金を借りる際、返せなくなったときに回収する目的で担保を差し出すことがありますが、この点でも日本の底力は凄いのです。

「海外から借りる」という意味では、日本は対外的には世界一の資産大国で、海外に対する対外純資産は約360兆円もあるうえ、個人金融資産は約1700兆円! これらが事実上の担保となっています。政府には徴税権があり、これはあまり考えたくない話ですが、いよいよまずいとなったら、個人金融資産に思い切った課税をすれば、かなりの借金を帳消しにできるのです。

5:日本の借金が嘘という説も

日本の借金は嘘……などといわれることもありますが、嘘ではありません。巨額な国債残高は健全ではないのは事実です。

しかし、ここまで解説したとおり、日本の借金の裏には借金できるだけの裏付けがあるのです。巨額な借金の額のみを強調するのは、フェアではありません。

もっとも、借金にも限度があります。財政がひっ迫した場合、やがては昨年の消費増税のように再び増税にならないとも限りません。我々が保有している資産が担保のようになっているとすれば、そのリスクは大きいといえるでしょう。

ですから、そうならないようにするためにも、国が無駄遣いしていないかについて、私たちひとりひとりが厳しくチェックする必要があります。筆者は、10年以上前に、経済ジャーナリストとしてこの問題を追及しましたが、その当時より状況は一層悪くなっているような感じがしています。

【参考】

財務省「財政関係基礎データ(平成31年4月)国及び地方の長期債務残高」

財務省「国債等の保有者別内訳 (令和元年9月末(速報))」