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コーピングとは何?ストレスコーピングの種類と理論をわかりやすく解説
東城 ゆずY.Tojo
目次
隠す1:コーピングとは?意味と語源
コーピングの正しい意味を調べてみました。厚生労働省の「e-ヘルスネット」によると、ストレスコーピングとは下記のとおりです。
ストレスコーピング【stress coping】
ストレスの基にうまく対処しようとすること。問題焦点コーピングと情動焦点コーピングに分けられる。
出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)
「コーピング」の「コープ」とは英語の「cope」で、「対処する」とか「抑え込む」「うまくやっていく」という意味です。
生きていると、さまざまなストレスを感じるでしょうが、人間はそのストレスに向き合う対処法を、無意識に行なっています。例えば、カラオケにいって大好きな歌を大きな声で歌ったり、友達とおしゃべりしたりするでしょう。このように、ストレスをうまく発散するために用いるのがストレスコーピングです。
2:コーピング理論をわかりやすく解説!
人がストレスを感じてから対処するまでの肯定をストレスコーピングといいますが、そのコーピング理論は、大きく3つのステップに分けられます。コーピング理論を知らない人は、まずその理論をステップ別にみてみましょう。
(1)ストレッサー
「ストレッサー」とは、ストレスの基となるもののこと。例えば「会社が嫌だ」というストレスを感じている人は、その原因が上司だったり、自分では抱え切れないほどの仕事量が原因だったりしますよね。
(2)ストレス
自分に起こった問題がすべてストレスになるわけではありません。外から受けた刺激がストレスとなるには段階があり、「一次的認知評価」と「二次的認知評価」で分けられます。
脳内で行われる一次的認知評価で「自分とは関係ないこと」とした場合は、ストレスを感じません。「自分に危機がある」となった場合は、二次的認知評価として「ストレスである」と判断します。
(3)コーピング
ストレスと自覚した問題を、それをコーピング(対処)する必要が出てきます。このコーピングの方法としては大きくふたつに分かれます。
ひとつは問題の根本的な解決に向けて計画を立てたり、行動起こしたりする「問題焦点型」。ストレスの原因となったもの自体を取り除こうとする方法です。
そして、もうひとつは気晴らしをしたり、気を紛らわしたりする「情動焦点型」。ストレスに対して「嫌だ」「不安」といった感情を抑制しようとする方法です。
3:ストレスコーピングの種類と効果的な実践方法5つ
ストレスコーピングの効果的な実践方法をみて、自分の負担となるストレスとうまく向き合ってみませんか。
(1)ストレスの対象物に対して捉え方を変える
ストレスとなっている物事に対して、さまざまな見解を出してみるのもひとつの手段。例えば「彼氏が連絡をくれなくて悲しい」というストレスなら、「彼氏も自分の時間を楽しめていて、私にも時間ができた」と前向きに考えてみたりする対処法です。
(2)ヨガやストレッチなどリラクゼーションを行う
ストレスによって感じる体の不快を、ストレッチなどでほぐしたり、運動をすることで改善したりします。自律神経を整えることで、ストレスに強い体作りをするのです。
(3)旅行に出かけたりして気晴らしを行う
自分が「楽しい」と思えることを日常的に取り入れることで、ストレスに負けない心を作ることができます。親しい友人と居酒屋に行ったり、おいしいものを食べたりしてストレスを発散することでマイナスな感情から抜け出せた経験がある人も多いでしょう。
(4)ストレスとなっている根本を見直す
「嫌な上司がいる」など、ストレスの根本が明らかになっている場合は、その根本への向き合い方を考えます。例えば、「部署移動を願い出る」「仕事を変える」などが挙げられます。ストレスとなっている対象物を遠ざける方法です。
(5)誰かに話を聞いてもらう
自分が心地いいと思えるストレス解消法を見つけるのがベストなのですが、自分でいい考えが思い浮かばないときもありますよね。そんなときは、誰かに話を聞いてもらったりして共感やアドバイスをもらいましょう。
4:コーピングスキルを磨くには?
ストレスコーピングのスキルを磨きたいと思ったら、まずは自分のことを知ることが必要です。ストレスを感じるパターンや原因を突き止めることが重要。その上で、自分が心地いい気分になれるストレス発散方法もいくつか用意しておくといいでしょう。
ストレスを客観的に見れるようになれるのがベストです。感情を揺らして、怒ったり悲しんだりしてばかりでは、冷静な解決法が見つかりません。感情を制御するスキルを日ごろから磨いたり、その制御したぶんのストレスを発散したりする楽しみを見つけたり。
コーピングになるスキルをいくつ学んで、時と場合によって使い分けることができれば安心ですね。
5:コーピングのことがわかるおすすめの本3選
(1)『“1日30秒”でできる 新しい自分の作り方』田中ウルヴェ京
認知療法に基づいたコーピングを学べる本です。起きた物事に関して、自分がどう捉えるかを見つめ直すことで、自分の思考のクセがわかるといいます。自分と対話するように、ストレスと向き合える素敵な本です。
(2)『コーピングのやさしい教科書:折れない心がメモ1枚でできる』伊藤絵美
イラストやチャートを用いた本で、読みやすいのが特徴です。コーピングの入門書といっていいでしょう。いくつかのワークに分かれているので、実践しやすく頭に入りやすいのが特徴です。
(3)『折れない心のつくりかた ~はじめてのレジリエンスワークブック~』宇野カオリ
豊富な図表やイラストで、職場や学校などあらゆるストレスとの付き合い方に向き合っていくことができる内容になっています。自分の感情整理にも役立つ本でしょう。
6:ストレス社会をどう生き抜く?
多くのストレスにさらされる現代社会。周りの環境を含めて、ストレスをまったくなくすことは難しいでしょう。自分に加わるストレスにどう向き合っていくかを考えることで、今が生きやすくなるかもしれませんね。