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時短勤務ってどんな制度?利用できる人は?時短勤務は迷惑なのかを考える

水野 文也F.Mizuno

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目次

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1:時短勤務とは?英語で言うと?

時短というのは、言うまでもなく、「時間短縮」を省略したもの。そして、時短勤務というのは、そのものズバリ、働く時間を短縮することです。これは制度としても社会に定着しています。

ちなみに英語では、「short-time work」「 Short working hours」などと表現されます。

2:子供が3歳以降はどうなる?法律改正など…時短勤務の基礎知識

(1)労働時間等の設定の改善に関する特別措置法

かつての日本人は海外各国から「エコノミックアニマル」と言われるほど、社会全体がワーカホリックのような状況でした。当時は日本全体が、今でいう「ブラック企業」みたいな感じだったかもしれません。

それを是正するために、政府が1992年に「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」を制定。「臨時」とあるように、当初は時限立法でしたが、2006年に今の法律名に変わり、期限を定めない法律となりました。時短勤務はこの法律によって保証されています。

一般的に時短勤務制度では、一日の所定労働時間を、原則として6時間としています。

(2)育児介護休業法

正式名称を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」と言い、1992年に施行されました。少子化問題に対する危機感から成立した法律で、その後、何度か改正されています。

この法律では、事業者に対し、要件を満たした従業員が、育児や介護をするために時短勤務を希望した場合、要望に応じる、あるいは代替措置をとるように求めています。

(3)要件を満たす従業員とは?

時短勤務を希望した場合、事業者が応じる要件は以下の通りです。

・3歳に満たない子を養育している

・一日の所定労働時間が6時間以下ではない

・日々雇用される者でない

・時短勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていない

・労使協定により適用除外とされた労働者でない

そして、事業者が時短勤務の希望に応じられないときには、以下の代替措置が求められます。

・フレックスタイム制度

・始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ

・事業所内保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

最近注目されている社内保育園などは、代替措置の一例なのです。

(4)子どもが未就学児なら時短勤務は可能

時短勤務とは関係ないですが、育児介護法2017年10月の改正で、育児休業が最長2歳までに延長されました。さらに、事業主の努力義務として、育児休業制度を対象者に知らせることや、小学校に就学していない子をもつ労働者向けの休暇制度を設けることなどが追加されました。

3歳以上の未就学児童を養育する労働者に対して、事業主は1か月あたり24時間、1年を通して150時間を超えて時間外労働をさせてはなりません。しかし、条件付きで残業を求められるようになっています。

未就学児童を養育する労働者がいる場合、育児休業制度に準じる措置、フレックスタイム制の導入、出社、退社時間の繰り上げや繰り下げ、事業所内の保育施設の設置などが求められますが、これらは努力義務とされています。すべての企業が実施するとは限りません。

介護をしている人については、保育施設の代わりに介護サービス費用の援助などが挙げられています。

3:給料やボーナスはどうなる?時短勤務中のお金の話

(1)基本給はどうなる?

時短勤務は便利な制度であるとは思いながらも、希望するにあたって不安を感じる人も多いでしょう。何が不安かと言えば、それは間違いなく収入です。

法律では、時短勤務利用者にそれを理由に解雇してしまうなど不利益をもたらすことは禁じられています。しかし、短縮されたぶんは働いていないので、そのぶんが減るというのが一般的なようです。時短制度は義務とは言え、短縮されたぶんの給与を支払う義務はありません。

例えば、所定労働時間が8時間で6時間の時短勤務とした場合、時間に比例して、基本給が4分の3ほどになるケースが多いようです。

(2)裁量労働、歩合なら減らない?

仕事が裁量労働ならば、時短勤務をしても、他の社員と同じ仕事量をしていれば、給料が減額されないケースもあるようです。8時間ボーッとしている人より、6時間と時間は短くても結果を出す人のほうを企業が重用するのは当然のこと。仕事の成果に対して報酬が歩合給である場合も、基本的に変わらないとみていいでしょう。

(3)残業代は?

時短勤務でも、所定外労働の免除を申し出なければ、残業をすることになります。その場合の残業代ですが、改正育児・介護休業法が特別な扱いを規定していません。

そのため、時短勤務をしている人にも他の人と同様に、1日8時間以内、1週間で40時間以内の法定労働時間を超えた場合に支給。つまり、6時間勤務の人は8時間以上働いた時に支給される……それなら免除申請したほうが得と言えそうです。

(4)ボーナスへの影響は?

一般的に賞与の査定にあたって勤務状況も考慮されます。つまり、査定期間中時短勤務を利用していれば、基本給の減額に応じて賞与も減額されるとみたほうがいいでしょう。

4:時短勤務は迷惑?転職したほうがいい?時短勤務に対する働く男女の本音

(1)時短勤務にしたはいいけど…

子育てのために時短勤務制度を利用したAさん(35歳、3歳の子どもあり)のケースです。制度としてあるので、堂々と使えばいい……と思ってみたものの「実際にやってみたら、ひとりだけ早く帰ることに罪悪感を感じてしまった。給料はそのぶん、減っているのに」と言っていました。

また忙しいときに、自分の仕事が終わらないので、そのぶんを「結局、家に持ち帰ることになってしまった」という経験もあるとか。時短勤務には、このような悩みが生じるようです。

(2)わかっているのだが…

「職場をブラックにするつもりはないが、本音を言えば、迷惑と思うことが多い」そう語るのは国内企業で管理職を務めるBさん(48歳)。

ただでさえ人手不足なのに、時短勤務のメンバーがいると、ほかの社員にしわ寄せが行き、その苦情もすべてBさんに。女子社員から希望が出されたとき、笑い顔でOKしながらも「心の中では般若顔だった」と本音に明かしてくれました。でもひと言、「その彼女は優秀だから、辞められるもの困るんだよな」とも……。

まだまだ、周囲に時短勤務への理解が浸透していない……何よりも、職場の環境づくりができていないところに制度だけ導入、といった感じでしょうか。

こうした理解度も含めて、先進的な企業のほうが少数派とみられる現状です。そのため、時短勤務制度がきちんと実施されているからというのを理由に就職先や転職先を決めるというのは、今の状況ではおすすめできない感じがします。

(3)時短勤務利用者はまだまだ少ない

マクロミルが2016年に行った調査によると、産休・育休休暇2年後に時短勤務制度を利用した人は5人に1人。現在は、もう少し増えているかもしれませんが、要件を満たす人でも、利用している少数派です。

ただ、仕事に対する満足度を聞くと、フルタイムの人が69%だったのに対し、時短勤務者は78%と満足度が高い結果となっています。課題はありながらも、要件を満たすのなら活用したほうがいいでしょう。

5:まとめ

時短勤務というのは、当然認められるべき権利であり制度であるのに、実際には進まない部分もあります。

筆者が裁量労働的な仕事ばかりしていたので、余計にそう思うのかもしれませんが、本来仕事というのは、働いている時間よりも内容が問われるべき。

これを機会に就業時間というものを見直すべきではないかと思いました。

【参考】

株式会社マクロミル「産休・育休後の復職(ワーキングマザー)に関する調査」