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離婚協議書とは?いつ・どうやって作成するのかと公正証書にするメリットを弁護士に聞いてみた

並木まきM.Namiki

目次

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1:離婚協議書とは?

「離婚協議書」とは、離婚に際して、夫婦間で決めた条件などを記しておく、合意内容の書面です。

裁判などで争うことになった際、法律的に「契約書」としての効力を有すると考えられています。

2:離婚後につくるもの?離婚協議書を作成するタイミング

さっそく離婚協議書について、高橋弁護士に実務上の取り扱いを教えていただきましょう。

(1)離婚協議書に書く事柄はだいたい決まっている

高橋「子どもがいる夫婦の場合、離婚協議書に書く主要な事柄は、①離婚すること、②子の親権者、③離婚後の養育費、④子との面会、⑤慰謝料、⑥財産分与、⑦離婚時年金分割等になります。

まず、①で離婚すること自体を記載しなければいけませんが、離婚を成立させるための離婚届に②の子の親権者を記載しなければならないので、通常は、離婚届提出前に離婚協議書を作成することが多いでしょう」

(2)消滅時効前なら後から決められるものもある

高橋「もっとも、上記のもの以外は離婚後に決めることもできるので、論理的にどちらが先でなければいけないという決まりはありません。ただし、⑤の慰謝料は離婚時から3年、⑥の財産分与と⑦の離婚時年金分割は、離婚時から2年の消滅時効にかかるのでご注意ください」

3:費用は?離婚協議書を作成する基礎知識と手順

(1)作成方式に決まりはないので自作でもOK

高橋「離婚協議書は作成方式に決まりはありません。なので、パソコンに文言を打ち込んで、それをプリントアウトした紙面に当事者双方が署名押印するかたちでも構いません。この場合、費用はほぼかからないといえるでしょう」

(2)公正証書による作成は数万円がかかる

高橋「一方、養育費や慰謝料、財産分与などの金銭の支払いを、離婚協議書によってより確実にしたいのであれば、公証役場に行き、公正証書化することがひとつの有益な選択肢になると思います。この場合、公正証書に記載する金銭債権の金額によって公証人の手数料は異なりますが、数万円程度になることが多いと思われます。

公正証書があれば、裁判で勝訴判決を得た場合と同じく、相手の預貯金口座や給与に対して強制執行(差押え)をすることができることになります。これが最も大きなメリットになります。

また、強制執行を受ける可能性があるので、養育費等の支払いについて、心理的に強制する効果もあると思います。一方、デメリットとしては公証人手数料がかかること、原則的に相手が公証役場に来てくれなければ公正証書を作成できないことが挙げられます」

(3)可能な限り「公正証書」での作成が有利

高橋「公正証書ではなく当事者だけで離婚協議書を作った場合、もし相手が養育費などを支払わなくなったら、改めて裁判を起こして勝訴し、そのうえで強制執行をしなければならなくなるので、費用も時間がかかってしまいます。

ですので、もしも相手の協力(公証役場への出頭)が期待できるのであれば、公正証書化したほうが断然有利だと思います」

4:離婚協議書を公正証書にするメリット・デメリット

高橋弁護士によれば、離婚協議書は「公正証書にするほうが有利」とのこと。この点を改めて、メリットとデメリットに整理してみると、次のような点が挙げられるでしょう。

メリット1:支払いが滞りにくい

高橋弁護士の解説にもあったように、公正証書にすることにより、離婚の際に取り決めた金銭の支払いが滞りにくくなるメリットは大きいでしょう。離婚した相手に対して、支払いが滞るたびに連絡を入れるのは、ストレスですからね。

メリット2:いざというときに差押えの手続きがしやすい

こちらも弁護士からの解説にありましたが、公正証書の内容は法的な拘束力があるので、いざというときに公正証書をもとに差押えの手続きに進めやすいのもメリットといえましょう。

デメリット1:費用がかかる

こちらも、弁護士からの解説でご紹介したように、公正証書を作成するにあたっては、その定める項目の数により数万円の費用がかかります。これに加えて、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に依頼すれば、それらの人に対する報酬の支払いも発生します。

デメリット2:当事者だけの話し合いだと合意に至りにくい

専門家を入れずに当事者だけで離婚の条件をまとめようとすると、ドロ沼化しやすい傾向も否めません。公正証書は、法的拘束力がある文書なので、内容によっては相手が必要以上に難色を示し、合意に至りにくいというのも実情です。

5:離婚協議書はマストではないが、あったほうが安心

「離婚協議書」は、離婚をするにあたってマストではないものの、あとあとのトラブルを防ぐ意味でも、あったほうが安心でしょう。早く離婚したいときは、とにかく面倒な手続きを省きたいという心理になりやすいのですが、あとから「言った、言わない」などで問題になるのを避けるためにも、合意した内容は書面に残したほうが確実です。

取材協力高橋 裕樹弁護士

アトム市川船橋法律事務所弁護士法人代表弁護士。岩手県盛岡市出身。2008年(平成20年)弁護士登録。千葉大学法経学部法学科卒業。