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幸甚でございますの意味とは?正しい使い方・例文と類語表現

松田優

松田優Y.Matsuda

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目次

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1:幸甚でございますの意味は?

日常生活であまり馴染みがない言い回しを正しく使いこなすためには、何より言葉の意味を正しく把握しておく必要があります。まずは「幸甚」の語句の意味を改めて調べてみました。

こうじん【幸甚】 の解説
(多く手紙文で用いて)この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「幸甚」は「こうじん」と読み、「幸せでありがたいこと」を表現する言葉です。「幸」に「はなはだしい」「たいへん」を表す「甚」を組み合わせることで「大変ありがたい」「とても幸せである」という意味になるのです。

2:幸甚の使い方・例文5つ

「幸甚」はどのような場面で使われる言葉なのでしょう。具体的な使い方と、例文をみていきます。

(1)「幸甚」は手紙やメールなどの文面で使う

「幸甚」は、主に手紙の文章のなかで使われる言葉です。現代においては、手紙だけでなくメール文のなかでも使うことができます。

話し言葉で使ってはいけない、という決まりがあるわけではありませんが、「こうじん」と音で聞いただけでは意味を理解しにくいのも事実。基本的には文章でのみ使う表現である、といっていいでしょう。

(2)「幸甚」は目上の人に対して使う

友人や同僚に対して「幸甚」を使うケースは稀です。「幸甚」は最大限改まった表現ともいえるため、目上の人や、敬意を払うべき相手に対して使うのが相応しいでしょう。

「幸甚です」ではなく、「ございます」や「存じ上げます」といった謙譲語表現と合わせて使うことで、より丁寧な敬語表現にすることができます。

(3)相手に依頼をする際に使う「幸甚」の例文

「この度、弊社創立50周年を記念し祝賀会を催すこととなりました。ご来臨くださいますと幸甚でございます」

この例文は、祝賀会に招待した相手に対し「来ていただければとても嬉しいです」と伝えるものです。友人関係であれば「来てくれたら嬉しい」で済む文章ですが、目上の人となるとそうはいきません。「幸甚でございます」という言い回しを使うことによって、より丁寧なお願いの文にすることができます。

(4)相手に感謝を伝える際に使う「幸甚」の例文

「素晴らしい式にお招きいただき、幸甚でございます」

「幸甚」は感謝の気持ちを伝える際にも使うことができます。「お招きありがとうございます」というシンプルな言い回しでも差し障りはありませんが、「幸甚でございます」とすることで、さらに礼儀正しい印象になるでしょう。

(5)相手に贈り物をする際に使う「幸甚」の例文

「心ばかりの御礼の品をお送りいたしました。お気に召していただければ幸甚でございます」

贈り物をする際、「気に入ってもらえるといいですが」という一文をさり気なく入れるのは難しいもの。「幸甚でございます」という言い回しを使えば、押し付けがましくなく、スマートに受け取り主を気遣うことができるでしょう。

3:幸甚の類語5つ

「幸甚」は改まった表現であるため、使用場面によっては仰々しすぎる場合もありますよね。「幸甚」に似た意味の表現を、いくつか覚えておくと便利です。

(1)幸い

「幸甚」を最もシンプルに言い換えることができる言葉といえば「幸い」です。「甚だ」という漢字が抜けている分、語意としてもやや控えめ。「幸甚」に比べるとカジュアルな印象があるのも確かです。

「幸いでございます」は、「幸甚」ほど仰々しい表現をしたくないとき、柔らかい文面にしたいときに使うのが適しているでしょう。

(2)有難い

「めったにないことと感謝する」という意味の「有難い」も「幸甚」と同じように使うことができる言葉です。「幸甚」が手紙や文章などで使用する書き言葉であるのに対し「有難い」は会話のなかでも使うことができます。

「ありがとうございます」と言うのではなく「有難いことでございます」と言うだけで、ぐっとフォーマルな言い回しにすることができますね。

(3)何より幸せ

「幸甚」を平たく言い換えると「何より幸せ」となります。「幸甚でございます」の部分を「何より幸せでございます」と変えても、意味として大きな違いはありません。

ただ、「幸甚」よりも「幸せ」が際立つ言い回しなので、文脈によっては違和感があることも。文章の内容や伝えたいこと、TPOに合わせて使い分けることが大切です。

(4)光栄

「幸甚」を使う場面として最も多いのが「相手に感謝する」ときです。「誇りに思う」「名誉である」という意味の「光栄」も、深い感謝を表す言い回しとして使うことができるでしょう。

相手にしてもらったことに対して「●●していただき誠に光栄でございます」とお礼を述べるとき。または、相手から評価を受けた際の喜びを表現する際にも「光栄でございます」と表現することができます。

(5)忝いです

「忝い」は「かたじけない」と読み、「感謝の念でいっぱいであるさま」を表す言葉です。やや時代がかった言い回しであるため、一般的に使われているとはいいにくいですが、「幸甚」に近い意味を持つ言葉のひとつです。

4:幸甚でございますの敬語表現は?

「幸甚でございます」自体が、丁寧な敬語表現といっていいものですが、さらに改まった表現をしたい場合は「存じます」や「存じ上げます」といった謙譲語を合わせます。「幸甚に存じます」「幸甚に存じ上げます」とすれば、いっそう敬意の念が強まるでしょう。

また、「幸甚」を強調したい場合は「至り」という言葉を合わせて使います。「幸甚の至りに存じます」とすることで「この上ない幸せの極みでございます」という意味の文章になります。

5:幸甚と幸いですの違いは?

「幸甚」と「幸い」。語句の意味として大きな違いはありませんが、「幸甚」は文章上でのみ使われる表現であるのに対し、「幸い」は会話のなかでも使うことができる言い回しです。

また、「幸甚」に比べると「幸い」はややくだけた表現であるため、少々馴れ馴れしい印象を与えてしまうこともあるかもしれません。逆に、親しい間柄で「幸甚」を使うのは、大袈裟すぎることもあるでしょう。どちらも、使う場面や相手によって相応しい方を選択する必要があります。

6:まとめ

ビジネスの場で使われる言い回しは、日常生活では耳馴染みのないものも多いですよね。いざというときに誤用してしまうことがないよう、難しい言い回しほど事前に意味や用法を把握しておきたいところ。

美しい言葉遣いで、ワンランク上のビジネスパーソンを目指していきましょう。