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「重ね重ねお詫び申し上げます」の限界はどこ?謝罪文の注意点をおさらい!

松田優

松田優Y.Matsuda

目次

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1:重ね重ねお詫び申し上げますの意味は?

謝罪の場でよく耳にする「重ね重ねお詫び申し上げます」という文。「お詫び申し上げます」の部分で、謝罪の意を表わしていることはわかりますが、「重ね重ね」にはどのような意味があるのか。改めて調べてみました。

かさね‐がさね【重ね重ね】の解説

1 同じようなことが繰り返されるさま。たびたび。

2 念入りに相手に頼み込むさま。自分の心情の深さを相手に伝えようとするさま。くれぐれも。重々 (じゅうじゅう) 。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「重ね重ね」とは「同じことの繰り返し」であり、「念入りに、心情の深さを伝えようとする」といった意味をもつ言葉です。それを踏まえると、「重ね重ねお詫び申し上げます」という文は、「何度も繰り返し、念入りにお詫びしたい」という気持ちを表現していることがわかります。

2:「重ね重ねお詫び申し上げます」を使う場面4つ

謝罪を伝える言葉としては、やや重い表現とも言えますよね。使用する場面をよく見極めて、適切な使い方をしていきましょう。

(1)文末や話の終わりに使う

「重ね重ね」という言葉が入っていることから、お詫びの冒頭から使うべきではありません。冒頭ではなく文末、話始めではなく終わりに差し掛かったタイミングで使うのが適切です。

冒頭は「お詫び申し上げます」で始まり、「重ね重ねお詫び申し上げます」で締めるのが一般的な流れと言えるでしょう。

(2)上司や顧客など、目上の人に対して謝罪するとき

「申し上げます」という、へりくだりの謙譲語が使われていることからもわかるように、相手が自分より上の立場の人、尊重しなければならない立ち場の人に対して使う謝罪の言葉です。

上司、取引相手、顧客……普段敬語を使っている相手に対して使用しましょう。部下や後輩、友人などに使うのは、かえって慇懃な印象を与えてしまうかもしれません。

(3)メールや手紙でも

対面での謝罪だけでなく、メールや手紙、お知らせ文といった、文面で謝罪する際にも使用することができる言い回しです。文章の場合も、冒頭には使わず文末を締める言葉として使いましょう。

(4)一度の謝罪で何度まで使うことができる?

深い謝罪の気持ちを表す言葉であるのは確かですが、何度も使ってしまっては却って失礼になり、反省も伝わりにくくなってしまいます。「お詫び申し上げます」は複数回使用しても問題ありませんが「重ね重ね」と付け加えるのは、文末の一度だけにしておきましょう。

3:重ね重ねお詫び申し上げますの類語表現3つ

社会人として、謝罪の表現をいくつか覚えておくことも必要です。念入りに、しっかりとお詫びの気持ちを伝えたいときに使用したい表現を集めてみました。

(1)繰り返しお詫び致します

「重ね重ね」とほぼ同じ意味をもつ「繰り返し」という言葉も、深い謝罪の気持ちを表す表現として使うことができます。

また「お詫び申し上げます」ではなく「致します」という謙譲語表現を使うことも、文法としては間違いではありません。ただ、どちらかといえば「申し上げます」のほうがよりていねいな印象を受ける人が多いため、「申し上げます」とするほうが無難かもしれません。

(2)改めて深く陳謝申し上げます

「改めて」という言葉にも「もう一度」「再び新しく」といった意味があることから「もう一度、心を新たにして謝罪する」といったニュアンスで使うことができるでしょう。「陳謝」は「事情を述べてお詫びする」という意味があるため、しっかりとした謝罪をする場面に適した言葉です。

(3)幾重にもお詫び申し上げます

「幾重にも」も、「何度も繰りかえすさま」という意味があるため、「重ね重ね」と同じように使うことができます。「幾重にも」は「いくじゅうにも」と読み間違えやすいので気をつけて。「いくえにも」が正解です。

4:謝罪文を書くときの注意点5つ

細心の注意を払うべき謝罪文。心からの謝罪を受け入れてもらうために、必ず守っておきたいポイントを5つご紹介します。

(1)冒頭と文末で謝罪する

謝罪の文章では、何よりもいちばんにお詫びの言葉を伝えなければなりません。冒頭で謝罪をしたうえで、文末でも再度謝罪するのが基本ルール。文末では、謝罪の締めとして「重ね重ねお詫び申し上げます」という言葉を使うのが相応しいでしょう。

(2)ミスや過失の理由や原因を説明する

謝罪の際、相手が知りたがっているのは「なぜミスが起こったのか」「どうして過失が生まれたのか」です。どれだけていねいな言葉を使って謝罪しようとも、この部分が明確になっていない謝罪文では、相手を納得させることはできません。

ヘタに誤魔化さず、理由と原因をきちんと明記することで、相手への誠意も伝わりやすくなるでしょう。

(3)対応策を明らかにする

原因や理由を説明したうえで、次に必要なのが「どう対応するか」です。商品に不備があった場合であれば、返金するのか代替品を送るのか。書類にミスがあった場合であれば、いつまでに修正するのか、どのような手段で送付するのか。

具体的、かつ、わかりやすく対応策を明記し、相手が安心できるよう取り計らいましょう。

(4)使いやすい謝罪フレーズ

「お詫び申し上げます」「陳謝致します」といった言葉は、畏まった言い回しであるぶん、ひとつの文章の中で多用すべきではありません。言葉を言い換えながら、相手を不快にさせない文章を作っていきましょう。

「申し訳ございません」「大変失礼致しました」「お詫びの言葉もございません」などが、使いやすいフレーズとして挙げることができます。

(5)謝罪文はスピードが命

何はともあれ、謝罪はスピードが命と言っても過言ではありません。謝罪文を送る際は、ミスがあってからあまり間をあけず迅速に対応するように心掛けたいもの。

謝罪文を事前に用意しておくのは本末転倒ですが、敬語の使い方や言葉の選び方などは、日ごろから意識しておくといいかもしれませんね。

5:まとめ

正しい言葉遣いで謝罪することも大切ですが、何より大切なのは謝罪をする誠意。心からのお詫びの気持ちを込めて、しっかりと自分の言葉を交えながら対応していくことができればいいですね。