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「平素」の意味と正しい使い方!ビジネスや手紙などでそのまま使える例文付き

松田優

松田優Y.Matsuda

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目次

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1:平素の意味は?

「平素」という言葉を辞書で調べてみると、以下のように書かれていました。

へい‐そ【平素】 の解説

ふだん。つね日ごろ。副詞的にも用いる。「平素の努力」「平素利用しているバス」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「平素」は、「普段」や「日ごろ」といった言葉を、よりていねいに表現した言葉です。「平素より」「平素から」と表現をよく見かけますが、「平素の〇〇」というように副詞として用いることも可能です。

また、「平素」はかしこまった表現となるので、日常会話で使われるケースは少なく、正しい敬語が求められるビジネスシーンやフォーマルな場で使われることが多いです。

2:平素を使える場面&例文5つ

「平素」とは、具体的にどのようなシチュエーションで使われているのでしょうか。例文とともに平素の使い方をチェックしていきましょう。

(1)ビジネスメールの挨拶文

ビジネスメールを送るときは、用件を書く前にひと言挨拶を添えるのがマナー。そこで、日ごろの感謝の気持ちを込めて、「平素からお世話になっております」という挨拶文を用いることが多いです。

ただし、「平素から」や「平素より」といった言葉は、過去から現在まで関わりのある人に対して使う言葉なので、自分や自社とまったく接点のない相手に対して使うのは避けましょう。

(2)新年の挨拶

「平素」は、メールやwebページなどに掲載される新年の挨拶にもよく使われています。この場合、新年の挨拶とともに感謝の気持ちを伝えるために「平素」を使うのが正解。

「平素より」は現在進行である一方、「平素は」は過去形になるため、過去にあったことへ感謝するときに使います。そのため、新年の挨拶では、「平素はご愛顧を受け賜わり、厚くお礼申し上げます」または「平素より格別のお引き立て賜り、誠にありがとうございます」と表現します。

(3)社外への報告

社外に向けて報告のメールや手紙を送るときは、よりもフォーマルな表現である、「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます」と表現するのがよいでしょう。「高配」とは、自分が受けた配慮や気遣いのこと。平素と組み合わせることで、過去に受けた気遣いへの感謝の気持ちをより強調した表現となります。

また、業績を報告するときは「平素の努力が実り、過去最高の売上記録を達成いたしました」と副詞的に使い、これまでの取り組みや活動を報告するのもよいでしょう。

(4)手紙や礼状

ビジネスメール以外にも、手紙や礼状にも「平素」が使われています。「平素は格別のご厚情を賜り心より御礼申し上げます」と表現すると、目上の人にも適したていねいな印象になります。

また、手紙や礼状では季節ごとの挨拶があり、いくつかテンプレートを覚えておくのがおすすめです。文頭に「拝啓」とつけると、よりていねいな印象になります。そして、「拝啓」をつけたら最後は「敬具」で結ぶことを忘れずに。

(5)サービスの案内

サービス利用者へ手紙やメールで案内を送るときは、はじめに「平素より当サービスをご利用くださり、誠にありがとうございます」と挨拶してから、本題へ進むのが望ましいです。

社風や案内の内容によっては、「日ごろ」や「いつも」といったフランクな表現が合う場合もありますが、真摯な姿をアピールしたいときは、「平素」を使ったていねいな表現のほうが適しています。しっかりとした挨拶が一文あるだけで、企業のイメージアップにも繋がりますよ。

3:平素の類語・言い換え表現5つ

「平素」はフォーマルな表現として便利な言葉ですが、連発すると業務的な連絡に見えやすいのが難点。また、同僚や友人との会話では、もう少しフランクな言葉に言い換えるのが望ましい場合も。「平素」の類語や言い換え表現をチェックして、話す人や伝えたい内容に合わせて使い分けましょう。

(1)日ごろよりお世話になっております

「日ごろ」は繰り返し続くことを表す言葉で、日常会話でもよく使われています。「平素」と同じ意味合いをもつため、「日ごろよりお世話になっております」と表現してOKです。

ただし、ややお堅い印象のある「平素」と比べて、「日ごろ」はやや砕けた表現となります。ある程度親しい人に対して使っても問題ありませんが、目上の人や関係の浅い人に使うのはあまり望ましくないでしょう。

(2)普段から大変お世話になっております

「普段」と「平素」と同じ意味合いをもっているため、「普段から大変お世話になっております」と表現すると、日ごろからの感謝の気持ちを伝えることができます。

ただし、「平素」はビジネスシーンにもふさわしいていねいな表現ですが、「普段」はカジュアルな表現なので、フォーマルの場には不向きです。ビジネスメールや文書では「平素」を使い、「普段」は身近な人への挨拶として使うようにしましょう。

(3)先般は大変お世話になりました

直近で会った人へ挨拶をするときは、「平素より大変お世話になっております」よりも「先般は大変お世話になりました」と表現するのがおすすめ。

「先般(せんぱん)」とは、 現在から遠くない過去の出来事を表す言葉で、主に書き言葉で使われます。過去から現在までの経過を指す「平素」とは異なり、つい最近の出来事にフォーカスを当てた表現となるため、久々にコンタクトを取る人には使わないように注意しましょう。

(4)毎度ありがとうございます。

「毎度」は「いつも」や「毎回」など繰り返すことを表す言葉で、「平素」とも同じ意味合いをもちます。しかし、「平素」よりもカジュアルな表現で、口語的に使われることも多いため、ビジネスシーンでは不向きとされています。

その一方で、同僚や友人とのフランクな会話では、「平素」のよりも「毎度」のほうが適しています。身近な人へ気軽にお礼を言いたいときは「毎度ありがとうございます」と伝えましょう。

(5)日ごろのご愛顧には常々感謝しております

「常々(つねづね)」とは、毎日行われることを表す言葉で、「平素」と同じくていねいな印象を与えます。そのため、ビジネスシーンやフォーマルな場でも使われることが多く、「平素」と合わせて使うことも可能です。

ただし、「常々」は基本的に文中で使用するため、「平素」のように言葉の冒頭には使うことはほとんどありません。「常々」を使って感謝の気持ちを伝えるときは、「日ごろのご愛顧には常々感謝しております」という風に、ほかの文章と繋げて使うのがベターです。

4:まとめ

社会人にとって、TPOに合わせて言葉を使い分けるスキルが必要です。相手に失礼がないように……と定型文を覚えることも大切ですが、「平素」を使ううえで大切なのは、相手を気遣う心。相手やシチュエーションに合わせて言葉を使い分けることこそ、本当の気遣いとなるのではないでしょうか。