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裁判所で見かけた「女を騙して食い物にした男」の手口4つ【後編】
中田綾美A.Nakata
前回の記事では、女を騙して食い物にする男の手口をまずはふたつ紹介しました。
この【後編】では引き続き、フリーライターの高橋ユキさんのお話をもとに、ふたつのケースをお届けします。
■3:厨二病的な虚言で世間知らずの女を殺人者にまで仕立てた恐怖の手口
家族間での殺し合いなどで、合計7名もの死者が出た北九州連続監禁殺害事件。
この事件は、首謀者の男(以下、“A男”)が自らは手を下すことなく、虐待と拷問でマインドコントロール下においた人間に殺害や死体処理をさせたという点で、凄惨かつ特異なケースとして知られています。
「A男に操られるまま、家族を殺めることとなった女(以下、“B子”)は、A男の高校時代の同級生でいわゆる箱入り娘。短大卒業後、幼稚園の先生をしていたB子に、A男が電話してきたのが悲劇の始まりでした。
A男は当時、詐欺的な布団販売で利益を得ていたのですが、B子には音楽家を志しているなどと嘘をつき、“愛してる”と猛アピール。
“コンクールで東京に行く”とか“コンクールで1位になった”など、世間知らずのB子はすっかり信じきってしまったのです。
そんな純朴なB子にA男はしだいに暴力をふるうようになり、精神的・肉体的に支配するようになります。」
経緯を見ると、「なんでそんな厨二病みたいな嘘に引っかかる?」と首をかしげたくもなりますが、人を信じやすく押しに弱いタイプの女性って意外と多いのではないでしょうか。
「俺は将来ビッグになってみせるぜ」系で最初だけ優しい男に騙された経験のある人にとって、この北九州連続監禁殺害事件は他人事ではないかもしれません。
■4:女の恋心につけこんで骨の髄までしゃぶり尽くした詐欺男の手口
最後は、保険金をかけて養母を殺害したというケースです。
「加害者の男(C男)と被害者の女性(D子)のなれそめは出会い系。D子は夫も子供もある身でありながら、夫婦の悩みを相談するうちに、すっかりC男にいれこんでしまい、家庭を捨てて夫と離婚するに至ります。
その後、C男とD子との間で養子縁組が成立。この男、改姓目的で何回も養子縁組をしては、消費者金融で金をつまんでいたそうです。
C男は自身が借金するだけでなく、D子に借金や売春をさせたりなど、D子を金ヅルとして徹底利用。陰ではD子を“妖怪”、“ブタゲルゲ”と呼ぶなどしていました。
そして、ついにはD子に保険をかけ、睡眠薬で眠らせたうえで風呂に沈めて溺死させるという凶行に及んだのです。」
さんざん女に貢がせた挙句、利用価値がなくなるとポイ捨て……という話はよくありますが、このケースはそれよりも非道。
人の命を金にかえることも厭わないというこの男の鬼畜ぶりには何ともコメントのしようがありません。
被害者のD子も、そもそも養子縁組の時点で自分が利用されていると気付いてドン引きしてもよさそうなものですが、「それでもいいの。あなたが望むなら……」といったところでしょうか。
恋すると一途になりすぎて冷静な判断ができなくなるということは往々にしてありますが、そのために命をも奪われるリスクがあるということを肝に銘じたいものです。
以上、2回にわたって、女を騙して食い物にする男の手口を4つ紹介してきましたが、あなたが引っかかってしまいそうなケースはありましたか?
他人事として見れば、「こんなミエミエの手口……」というケースばかりですが、いざ当事者になってみると、どうなるかわかりません。
「自分は大丈夫」と思った人こそ、あなたの身近に潜む嘘つき男の甘い誘惑にくれぐれも用心しましょう!
【取材協力】
※ 高橋ユキ・・・フリーライター。著作『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)、『霞っ子クラブの裁判傍聴入門』(宝島社)、『あなたが猟奇殺人犯を裁く日』(扶桑社)など。最新作として、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)がある。