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給料が上がらない!転職・退職の判断ポイントと昇給の交渉術5選
水野 文也F.Mizuno
1:給料が上がらない会社は多い?少ない?
ズバリ、どれくらいの人が、給料が上がっているのでしょうか。『MENJOY』では、20代~40代の男女500人を対象にアンケート調査を実施。「ここ数年で給料は上がりましたか?」と聞いたところ、回答の結果は以下のとおりになりました。
上がった・・・113人(23%)
変わらない・・・297人(59%)
下がった・・・90人(18%)
なんと、およそ5人に1人が下がったと回答! 最近では新型コロナウイルスの感染拡大で景気が悪化し、その影響があるとしても、上がった人はたったの22%。厳しい現実があることがわかります。
2:給料が上がらないなら転職・退職すべき?判断ポイント5つ
ネット上に掲載されている転職に関するアンケート調査を見ると、転職をする最大の理由の大半は、「収入」です。つまり、給料が高い会社に転職したいと考えている人が多いわけですが、別の会社に移ったところで思いどおりになるとは限りません。
そこで、転職・退職すべき判断ポイントを考えてみましょう。
(1)厳しい経営状況が続く
会社の業績が不調で赤字続きの場合などは、給料が上がるどころか、下がり続けるリスクが大きいと言えます。例えば、最近ですと、コロナ禍で業績が悪化した企業が少なくありません。しばし辛抱して、やがてコロナ禍が終息すれば、給料が上がることもあるでしょう。
しかし、将来も暗い見通ししか描けない会社であれば、見切ったほうがいいと思います。
(2)給料のみを考える転職はNG
転職の理由に「給料」のことを挙げる人が多いのですが、それだけ考えて転職するのはおすすめできません。
給料だけを考えていると、志望動機が曖昧になり入社の熱意が伝わらず、採用する側としても、高収入を求めて離職するリスクが高いと敬遠します。給与だけではなく、何をしたいか明確な目的をもたないと、転職は失敗する可能性が高いでしょう。
(3)専門的なスキルがあれば積極的に転職を
客観的に見て、会社に貢献しており、しかもほかに代わりが利かないスキルをもっているのに、給料が上がらない……。こうしたケースの場合は、迷わず転職を考えましょう。
専門的なスキルであればニーズは多いので。ステップアップが可能です。社員のスキルを大切にしないような会社に未来はありません。
(4)終身雇用など安定性があるならNG
その代表として挙げられるのが公務員。給料は高いと言えないながら、辞める人はほとんどいません。定年まで職員としての身分が保証されているためです。
民間でも終身雇用を基本とし、安定性がある一方で給料が安い、そんな会社がありますが、先行き不透明な中では恵まれた立場と言えるので、転職はリスクが高いかもしれません。また、付け加えると、そうした職場は年功序列のケースが多く、若いうちは我慢することが大切かもしれません。
(5)「やりたいことがある」
抽象的な表現ですけど、資格がある、これから資格をとる、起業する。こうしたケースでは、最初から会社にいることを「腰掛け」と思っている人が多いかもしれません。給料が上がらないので、一念奮起する人もいるでしょう。
強い意志をもち、目的がはっきりしていなければ、踏み出せないもの。ここまでやるつもりはない、やりたいことは特にない。そんな人は、割り切って副業を考えるのもアリだと思います。
3:退職・転職する前に!給料が上がらないときの昇給の交渉術5つ
昇給の交渉というのは、とてもデリケートなもの。ちょっとした行き違いで、あなたが窮地に陥ることがあります。以下に挙げるポイントをしっかり把握した上で、交渉の場に臨みましょう。
(1)交渉の最低条件は会社が期待する以上の成果・実績
まず、交渉で最低限必要なのは、仕事における実績、成果、会社への貢献度。誤解しないでいただきたいのは、100点満点、ノルマの達成では昇給の材料にならないということです。
いまの仕事をパーフェクトにやって初めて、いまの給料とイコールになるのです。会社の期待以上の働きをしないと給料は上がりません。反対に、好成績だったときは強気の交渉材料になるので、積極的に働きかけましょう。
(2)会社の置かれている環境や現況、給与制度など仕組みを理解する
これも大切な事柄。会社が儲かっているときは、従業員への還元に前向きな姿勢になり、給料を上げるチャンスになります。しかし、赤字続きなど経営状況が思わしくないときは、いかに成果を上げたところで、会社にお金がないのですから、頑張っても給料を上げるのは難しいでしょう。
一方、社則等で給与制度が決まっている場合、それを曲げて、あなたの給与だけ上げることはできません。
(3)頻繁に交渉することは避ける
あなたが群を抜いた成果をあげているとしても、頻繁に交渉すると煙たがれてしまう恐れがあります。大切なのはタイミング。周りから「あの人は給与のことばかり」と言われてしまっては、ドライな社風であってもマイナス要因になりかねません。
スキルや会社への貢献度、さらには経験年数などの要素をよく考えた上で、年1回程度にするのがいいでしょう。会社が年棒制度で、公的に給与について交渉の場を設けている場合は、そこで全力投球です。その年の成績をもとに行うプロ野球の年棒交渉がわかりやすいでしょう。
(4)基本給よりもボーナス
基本給を上げるのは、どんなに儲かっている会社であっても、難しいと考えたほうがいいかもしれません。例えば、退職金などは基本給をもとに算定。将来の会社の利益に関わってきますので、企業は一般的に基本給をおさえようとします。
一方、ボーナスは、利益の分配を賞与という形で支給。それゆえ、貢献度が高ければ交渉の余地は大きいですし、成果主義を掲げる会社であれば、なおのこと強く主張できるでしょう。
(5)業績好調、貢献度大、それでも上がらないときは
ここで初めて「転職」を交渉のカードとして使います。ただし、そのカードも現在の仕事は専門性が低く、ほかの人でも代替可能であれば、「それなら、どうぞお辞めになってください」と逆効果に。あくまでも、専門性が高く、余人に替えられないスキルである場合に限られます。
多くは引き止めで給与アップを考慮してくれますが、それでもダメなら、そうした会社は衰退するでしょうから見切りをつけましょう。実力があれば、他社でも十分通用します。また、転職先がライバル会社であれば厚待遇となる可能性もあります。
4:まとめ
昇給交渉というのは、会社勤めにとって、ある意味戦場です。そもそも、会社は慈善事業ではなく利益を追求するものなので、人件費を抑えようとしがちです。それゆえに、こちらも入念に理論武装し、厳しい姿勢で臨まなければなりません。
今回は、そうしたことも踏まえ、あえて厳しく書いたため「私などとても無理」と感じた人が多いと思いますは、いまの時代、給料を上げるのは簡単ではないことを認識してください。
戦場ですから、頼みになるのはスキルという武器です。「あなたのスキルがないと困る」というぐらい、いまの仕事で実力をつけましょう。
先ほど専門性云々と書きましたが、代替性の高い仕事でも、突出した能力があれば、専門性に準じます。広義な意味で高いレベルのスキルがあれば、可能性が広がりますので日々切磋琢磨しましょう!