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無粋・不粋とは?意味を類語や例文とともにわかりやすく解説

深海雪

深海雪Y.Shinkai

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目次

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1:無粋、不粋とは?意味と類語

まずは「無粋」「不粋」がどういう意味か、類語や英語での言い方を確認しましょう。

(1)無粋、不粋の意味は?

「無粋」と「不粋」は「ぶすい」と読みます。意味を辞書で確かめてみました。

ぶ・すい【無粋/不粋】

世態・人情、特に男女の間の微妙な情のやりとりに通じていないこと。また、そのさま。遊びのわからないさま、面白味のないさまなどにもいう。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「不粋」は「ぶいき」とも読むこともありますが、「ぶいき」と読んでも意味は同じです。

(2)類語は?野暮とどう違う?

同じ意味でよく使われる言葉としては、「人情の機微に通じない、わからず屋で融通のきかないこと」を意味する「野暮(やぼ)」や、「洗練されていないこと。無作法なこと」を意味する「無骨(ぶこつ)」などがあげられます。

「無粋」と「野暮」は同じ意味で使われますが、「無粋」は特に男女のやりとりに使われ、「野暮」は男女問わず人情において使われると思っていいでしょう。

(3)英語での言い方は?

英語では、「boorish(無粋な、粗野な)」、「unrefined、unpolished(洗練されない)」、「unromantic(空想的でない、情緒に欠ける)」、「insensitive(配慮を欠いた)」などで言い表すことができます。また「機転が利かない」という意味で「tactless」を使うこともあります。

2:無粋な人の特徴5つ

「無粋」の意味がわかったところで、「無粋な人」とはどんな人か、特徴をあげていきましょう。

(1)空気が読めない

無粋な人は、人の気持ちが考えられず空気が読めない人ともいえるでしょう。何事においても自己中心的で、周りの状況を把握しようとする言動がみられないことが多いです。

恋愛においても、相手の気持ちを考えられず、自分のやりたいことを優先しがち。また相手が優位に立つ状況になると、どうにかしてそれを打開して自分がその上をいくような言動をすることも。

(2)人の話を聞かない

無粋な人は、自分が正しいと信じ込んでいるので、人の話を聞かないことも多いでしょう。周りの人がどんな考え方をしても、自分が常に正しいというスタンスでいる人が多いのです。

特に、自分に関係のない話には興味を示しません。相手の話を聞かずに、自分が話したいことばかり話すので、場の空気を悪くしたり乱してしまったりすることも。

(3)常に上から目線

無粋な人は、自分が世界の中心であるかのようにふるまい、とんでもなく上から目線の言動をすることがあるでしょう。たとえ自分の知らないことがあっても、いかにも知っていたかのようにふるまうことも。人の意見に耳をかさず、自己主張ばかりしてくるので、周りの人に放っておかれてしまうことも少なくないでしょう。

(4)すぐに感情的になる

無粋な人は、自分の思い通りにならないことがあると、急に怒りだしたり、不機嫌になることが多いです。すべてを自分中心に考えるので、自分が感情的になることで、周りがどんな気持ちになるかを考えられないのです。人の話に耳を傾けず、ただひたすら自分の意見を主張するので、友達が少ないことも。

(5)なんでも人のせいにする

無粋な人は、人の意見を聞かず常に自分が正しいと思っているので、何かうまくいかないことがあっても、問題は他人にあると思ってしまいがち。

仕事でも恋愛でも、「だって〜」や「〜のせい」が口癖になっていることでしょう。自分に問題があることに気づかないので、いつまでだっても成長せず、足踏み状態が続いているのかも。

3:無粋を例文でわかりやすく解説!3つ

日常で「無粋」という言葉をどう使うのかみていきましょう。

(1)無粋なことを聞きますが、どうして彼氏がいないの?

「無粋なこと」「無粋な質問」「無粋な真似」など、「無粋な〜」から始める言い回しはよく耳にすると思います。「相手に失礼なことはわかっているけど」「空気を読めないようなことをいいますが」と、失礼で聞きづらいことや、話の流れを止めてしまうことがわかりながらも話や物事を進めるときに使います。

(2)あまりにも無粋な客だったので出禁にした

「無粋な人」「無粋な客」というような使い方もします。例えば「人の気持ちがわからない人」「周りの人に対して失礼な人」「面白みがなくつまらない人」などです。おもにその人にマイナスのイメージをもたせ「こんな人がいて困った」と、周りの人に伝えたいときに使えます。

(3)彼女の気持ちも考えず無粋だった

「無粋な○○」のように、言動や人など名詞に続ける使い方だけでなく、「〜は無粋だ」「〜は無粋だった」と文章の最後に使う使い方もあります。自分の言動が人の気持ちを考えてなかったと反省したり、自分に失礼な言動をした人に、その言動について否定したり抗議したりするときに使うでしょう。

4:無粋の反対は粋!日本ならではの粋3つ

「無粋」の反対語の「粋(いき)」は、江戸時代から続く日本人独特の美意識です。明治から昭和を生きた日本の哲学者・九鬼周造の代表的な著書『「いき」の構造』によると、「粋」は基本的には恋愛関係を表す言葉で、3つの要素からなるといいます。

(1)媚態(びたい)

「媚態」とは、好きな相手をものにしたいという欲望からにじみでてくる色気のこと。好きな相手を自分に振り向かせるまでの緊張感、駆け引きがあってこそ強く出る「つやっぽさ」や「色気」のことで、セクシーで上品なふるまいのことを表しているといいます。

(2)意気地

「意気地」とは、「媚態」でありながらも、恋愛対象の相手にもたれかからない「心の強さ」。「武士は食わねど高楊枝」「宵越の銭を持たぬ」といった言葉のような、美意識としての「やせ我慢」を意味しています。そこには、江戸文化の道徳的理想が反映されているといいます。

(3)諦め

「諦め」とは、恋愛での「別れ」を運命として受け入れることで、仏教の世界観からきているといいます。恋が実現しなかったとき、心を乱すことなく「縁がなかった」と無関心に「あっさり、すっきり、物事にこだわらない気持ちをもつこと」を表しているといいます。

九鬼周造によると、この「垢抜して(諦め)、張のある(意気地)、色っぽさ(媚態)」が「粋」の3つの要素だといいます。現代の言葉だと「色気」と「強さ」と「余裕」と言い換えられるでしょうか。この3つをバランスよく兼ね備えてこそ、日本人の美意識である「粋」なのです。

5:まとめ

恋愛関係はもちろん、友達や仕事関係でも、「無粋」な言動をすることなく、「色気」と「強さ」と「余裕」をもって、日本独自の美意識「粋」を大切にしながら生きていきたいものです。