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中庸の意味や使い方は?ビジネスにおいて「中庸」でいることのメリット

槻谷岳大

槻谷岳大T.Tsukitani

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目次

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1:中庸とは?

(1)意味

まずは言葉の意味を見ていきましょう。辞書で調べると下記のとおりです。

ちゅうーよう【中庸】

かたよることなく、常に変わらないこと。過不足がなく調和がとれていること。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

今から約2500年前の中国の思想家・孔子の言葉をまとめた『論語』や『中庸』という古典からきた言葉とされています。ちなみに読み方は辞書にあるように、「ちゅうよう」です。

(2)中庸の徳とは?

「中庸の徳たる、それ至れるかな」。これは論語にでてくる孔子の言葉。何にも偏らずにいる中庸の道は、最高の徳の形態である、と述べたものです。論語には「過ぎたるはなお及ばざるが如し」という名句もありますが、ちょうどよい状態こそが、徳のある姿だという解釈のようです。

(3)中庸之道とは?

「中庸之道」とは、「偏りの無い態度。考えや行動が中立」という意味です。口でいうのは簡単かもしれませんが、何にも偏らず、中立な考えや行動をすることが、いかに難しいかは多くの人がわかるのではないかと思います。難しくても、心の中で目標として、このような生き方を追求するのも有意義かもしれません。

(4)アリストテレスの中庸論とは?

孔子は中国の思想家でしたが、実はギリシャにも、同じような「中庸」の重要性を唱えた哲学者がいました。孔子の時代よりも少しあと、紀元前4世紀ごろに活躍したアリストテレスです。アリストテレスの中庸論を辞書で調べると、下記のとおりです。

アリストテレスの倫理学で、徳の中心になる概念。過大と過小の両極端を悪徳とし、徳は正しい中間(中庸)を発見してこれを選ぶことにあるとした。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

つまり、東洋の中国と西洋のギリシャで、共通した考え方が唱えられていたということ。人間の本質を示すものとして興味深い点ではないかと思います。

2:リーダーに必須?ビジネスにおいて「中庸」でいることのメリット5つ

そんな「中庸」は、ビジネスのリーダーに求められる素養でもあります。メリットを見ていきましょう。

(1)意見が偏らない

複数の人間をまとめるリーダーには、いろいろな考えや意見を聞き、是々非々で判断する能力が求められます。ついつい自分の先入観に引っ張られがちですが、そんなときに「中庸」でいられれば、他の人の意見に耳を傾け、思考や視野の幅を広げることができるかもしれません。

「経営の神様」といわれた松下幸之助さんが生前、経営者に最も求められるひとつは「素直な心」だといいましたが、中庸はその素直な心にも通じるものではないでしょうか。

(2)誰にも公平にふるまえる

どの部下に対しても、そして時にはそりが合わない上司に対しても、誰にでも公平に振る舞うのに、中庸でいることは効果的です。偏らず、誰にも公平でバランス感覚良好というのは、理想の上司の条件ともいえるのではないでしょうか。

(3)判断力が上がる

中庸は判断力を高めるためにも重要。判断力を上げるには、自分の今の状況を「客観視」し、適切な対応を「選択」する必要があります。

この客観視がとても難しいものだと思います。先入観や自分視点でものを見がちで、判断がブレてしまう人が多いのではないでしょうか。「中庸でいよう」。そう自分を言い聞かせ、立ち止まって考えるといいのかもしれません。

(4)臨機応変に対応

何かトラブルが起きたときに、臨機応変に対応ができるでしょうか。柔軟な発想、適応ができる人には、中庸の素養が備わっているのではないかと思います。

(5)自分の軸がぶれない

中庸の精神をもっていれば、「自分が何のために生きているか?」「この仕事は何の目的でやっているのか?」など、物事の本質や、自分の軸を見失わずに考えることができます。

迷った際には、中庸の心で「そもそも、これは正しいことか?」と、自分の軸を振り返ることも大切です。

3:「中庸」という言葉を使った例3つ

(1)中庸を得た意見

対立する意見が発生した際、中間の考えを探ってみると、意外にちょうど良かったりすることがあります。「中庸を得た意見を考えてみませんか?」と、会議で発言をしたら、あなたの冷静さに周りも注目するかもしれません。

(2)何事も中庸が大事

物事において、中庸は役に立つ概念といわれます。「何事も中庸が大事」というには昔からよく使用されてきた言葉。心に留めておくといいかもしれません。

(3)中庸が座右の銘

「あなたの座右の銘は何ですか?」と聞かれることも時にはあるかと思います。そんな際、「わたしの座右の銘は中庸です」と回答したら、ある程度の教養と社会経験を踏まえた人と思われるでしょう。

4:まとめ

ビジネスで「中庸」がいかに必要なスキルかがわかりますね。中庸は、特に年齢が上がり、社会的な立場が上がっていくに従って、求められることが多くなっていく素養ではないかと思います。

一度、中庸の重要性、実用性について考えてみると、きっと役立つと思いますよ。