恋のなやみに効くメディア

恋しているつもりが…犯罪に?リアルな「罪深い恋」について弁護士に聞いてみた

少佐

目次

隠す

1:恋愛がこじれて犯罪になるケースって?

恋に夢中になるのは素敵なことですが、まわりがみえなくなってしまった瞬間に、犯罪への落とし穴が生まれることがあるようです。恋愛における犯罪行為には、「彼のことが好きなだけなのに……」「まさかこれが犯罪になるなんて……」というように、本人に悪いことをしている自覚がないものも。「彼に夢中になっていたら警察がきた!」なんて、天国から地獄の悪夢でしかないですよね。

今回は、そんな恋愛と事件の微妙な関係に斬り込んでみました。お話をうかがったのは、弁護士の小林芽未(めみ)先生。これまでにたくさんの依頼を解決してきた小林先生によると、恋愛の揉めごとには共通の問題が潜んでいるとのこと。

事件になるのは、恋愛における、どのような行為なのでしょうか。

2:電話やLINEの連投…これってストーカーになる?

――極端にいうと、恋愛では「ふたりが納得していれば大体はOK」ということだと思いますが、事件になる、ならないを分けるのは、どのようなことなのでしょうか。

小林先生(以下「 」内同):「世の中にはカップルの数だけ、恋愛のかたちがあります。カップルの間のことは事件にはならないものがほとんどですが、お互いが納得していても、社会的に許されない行為は事件化されます。また、お互いの意思疎通がはかれていない状況で問題が起こって、どちらかが被害届を出すことで事件化していくことも多いのです」

(1)彼氏と連絡がとれなくてLINEを連投しちゃう

――大好きな彼氏が、どこで何をしているのか気になって仕方がない。返事がないのが不安になって、電話やLINEをたくさんしてしまう……というのは、よく聞く話。世間を騒がせるストーカー事件では、犯人からの膨大な着信やLINEがいつも話題になりますが、何回以上だと犯罪になるなど、注意すべきラインはあるのでしょうか。

「結論からいうと、これ以上が犯罪というはっきりした数のラインはありません。好きな人と、毎日連絡を取りたいという気持ちよくわかります。でもいくら好きでも、相手に返信を強要するのは、ストーカー行為に抵触する可能性があります。

少し難しくなりますが『ストーカー行為等の規制等に関する法律』では、ストーカー行為のひとつに『面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること』とあります。例えば相手が嫌がっているのに、たくさん電話やLINEをして返信を強要するのはこれに該当します。

逆にお互いラブラブで、大量の着信やLINEがうれしいなら、何百件送ろうが、それは問題ありません。会社や家の前で待ち伏せするのも、ふたりが盛り上がっていればうれしいサプライズですが、相手が嫌がっていれば、ストーカー行為として訴えられることがあります」

(2)事件化するかどうかは相手の気持ち次第

――なるほど、事件化するには、行為の内容よりも、相手の気持ちが重視されるということなんですね。

「そうなんです。一般的に、恋愛絡みで事件になるようなケースは、相手の気持ちに気づいていないことが多いです。行きすぎた恋愛感情で、相手を困らせているのがわからない。中には、別れたくないからと、ふたりだけの情報を会社やネットにばらすと脅すような行為も耳にしますが、そんなことをしても“まだお互いの関係が続く”と思っているんです。悲しいことですが、ふたりの間で意思疎通ができていないということですね」

3:気軽なお金の貸し借りが、後になって大きな問題に?

(1)恋人に渡したお金…それってあげたもの?貸したもの?

――カップルの中には「ゆくゆく結婚するんだから問題なし」と考えて、気軽にお金を融通しあっているという人もいると思います。こういった金銭や物の貸し借りが事件になってしまうケースもありますか?

「お金の揉めごとも、恋愛絡みでたびたび発生します。特に恋人同士だと、“あげたのか貸したのか問題”があります。こちらは貸したつもりでも、相手はもらったと思っているケースがあるんですね。法律用語では贈与か貸金か、ということになりますが、あげたことになる贈与の場合、返してもらうことはできません。

――あげたのか、それとも貸したのか……確かに恋愛関係においては、気前がよいフリをしたり、お金の話を細々としたくないこともあって、その辺は難しそうですね。

「そうなんです。例えばキャバクラやホストクラブで働く人と付き合って、何回かお金をあげていたとしましょう。結婚すると思っていた渡していたのに、結果、別れることになった。そこでこれまであげたお金を返してほしいといっても、なかなか取り返すのは難しいと思います。というのも普段からお金を受け取ることが多い職業の相手だと、贈与とみなされてしまうからです」

(2)もしもお金を貸したときは記録を残そう

――恋人同士だとハッキリさせたくても、「これは貸したんだから、ちゃんと返してね」とストレートにいうのはなかなか難しいような気がしますが……。

「どんな関係であっても、借りたものは返すというのが基本。ですが、おっしゃるとおり、恋愛関係では貸し借りをはっきりさせないシーンがありますよね。後で返してほしい場合は、証拠を残しておくことをおすすめします。

いつ何を貸したのか、いつ返してほしいのか、メールやLINEなどの記録に残るもので相手に送っておくのがよいでしょう。いくら贈与ではなく貸金であることを伝えているつもりでも、口頭では証拠にならないので注意が必要です」

4:アプリでの出会いの落とし穴とは?

(1)アプリで出会って即エッチ…注意点は?

――最近、マッチングアプリでの出会いが増えていますよね。知り合ってすぐに意気投合し、盛り上がった流れでセックス……ということもありそうですが、こうした新しい出会いが、事件に発展するケースもあるのでしょうか。

「大人のシングル女性なら、SNSで知り合った相手とすぐにセックスをするというケースも、それほど珍しいことではありませんよね。セックスから始まる関係もあると思いますが、セックスで終わりになってしまうケースもあるようです。

私のところには、セックスの後、相手と連絡がつかなくなり、途方に暮れた女性が相談にいらっしゃることもあります。純粋な女性の場合、セックス=お付き合いがスタートと考えます。体を許したのだから、恋人同士になれると思っていたのに、急に相手の男性と連絡が取れなくなり、後になって妊娠が発覚した……という相談もありました」

――いわゆる「やり捨て」ですよね。相手も本気であるようなことを言ってきていて、しかも妊娠したのに相手と連絡が取れなくなるなんて、どん底です。やり捨ての悲劇にあわないためには、どうしたらいいのでしょうか?

「まずは、相手の情報をしっかり押さえておくことをおすすめします。名刺で勤務先を把握するのもいいですが、有効なのは携帯電話番号ですね。弁護士権限があれば、携帯電話番号から相手の情報を照会することができます。妊娠がわかって相手と話す必要が生じた場合、出会い系やSNSのアカウントを消されていればお手上げです。

またLINEでも、身元を調べるのは困難です。携帯電話番号を知らない相手とはセックスしない、そう決めておいたほうがいいかもしれません」

(2)合意がないのにエッチされた場合はすぐに警察に!

――なるほど、携帯電話番号は、意外と強力な武器になるんですね。こちらにその気がないのに、強引にセックスに持ち込まれた場合はどうすればいいですか?

「無理やり暴行された場合は、その日のうちに警察に行くことが大切です。警察に動いてもらうためには、日数の経過はマイナス。被害にあった場合、体や心がかなり傷ついているとは思いますが、泣き寝入りをしたくないなら、すぐに警察に行くことを覚えておいてください」

5:マニアックなプレイで警察が…?

――コスプレやSMプレイなど、マニアックなセックスを楽しむカップルもいますよね。こうしたプレイがきっかけの事件もありますか?

「プレイにもいろいろありますが、基本はお互いが納得していれば問題ありません。でも、あまりに過激なプレイでどちらかが怪我をしてしまった場合、本人同士はよくても、問題になることがあります。出血や意識を失って救急車や警察を呼び、事情を聞かれるような場合です。

法律では、たとえ相手から頼まれたからといって、ナイフで人を傷つけたら、社会秩序を乱した罪に問われます。本人同士がOKならいいのでは?と思いがちですが、そうはいかない部分があるんです。ライトなSMであっても、縛られたアザを見つけた家族が騒ぐようなケースもあります」

――確かにSMプレイは、楽しみ方によっては危険がありますよね。やはり傷跡が残るようなプレイは後で問題になりますか?

「そうですね。体に跡が残るようなプレイは、別れるときに問題になることがあります。別れ話が出た途端、プレイ中についた傷の損害賠償を求められることもあるんです。マニアックなプレイを楽しむときは、別れるときに揉めないように、十分に気を付けておいたほうがよいかもしれませんね」

6:もらったプレゼントがトラブルの元に…

――プレゼントについてはどうでしょう。好きじゃない男性からのプレゼントは、ときに困るもの。いらないと突き返すのは大人げないので、とりあえず受け取っておいて、後からLINEで御礼をすれば問題ないでしょうか。でももし後から返せと言われたら……と悩みます。

「もしも、お付き合いしていない男性からプレゼントをもらったときは、少し注意したほうがよいかもしれません。LINEで“ありがとう! 大好き!”なんていう御礼を送ってしまうと、自分のことを好きだと勘違いするおそれも。好きな女性に使ったお金を投資と考える男性の場合、それに見合った結果が得られないと逆上することがあります」

――女性に使ったお金は投資! 株と違うのでリターンを求められても困ってしまいますが、大事なのは相手を誤解させないことなんですね。そうすると御礼のLINEの内容も気を付けたほうが……。

「そうですね。余談ですが、LINEで文末にハートマークをつけただけで、部下の女性が自分に気があると思い込んでセクハラ事件を起こした男性もいるくらいです。送った女性と受け取った男性で、その重みに大きなギャップがあったんですね。もしもプレゼントは受け取るけど、気持ちは返せないという場合、その旨はしっかり伝えて、勘違いさせないコミュニケーションを心掛けるとよいでしょう」

7:まとめ

恋愛は自分を丸裸にするもの。それまで知らなかった自分の姿に気づくことってありますよね。本当の自分をさらけ出して無防備になる恋愛だからこそ、危険から自分を守ることが大切になります。

大きな幸せをつかむために、小林先生のアドバイスを活かして強くなる女性が増えることを心から応援しています。

取材協力小林 芽未(めみ)先生

2015年、司法試験合格。司法修習終了後、都内の企業法務を扱う法律事務所で勤務弁護士として執務した後、東京神田にてS&M法律事務所を開所。現在は、同事務所にて代表弁護士を務める。
大学時代に学んだ心理学を生かし、依頼者に寄り添いながら男女問題・離婚問題に注力。婚姻前のカップルが抱える中絶、DV、交際破棄に伴う相談も幅広く受けつけている。メディア著書に『ボーイズ&ガールズルール お金を守る男 浮気を許さない女』(ビジネス教育出版社)。
●S&M法律事務所HP
https://sm-lawoffice.com/