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ストレスコーピングとは?簡単にわかる理論と実践する方法

中田綾美A.Nakata

目次

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1:ストレスコーピングとは?

(1)ストレスコーピングとは、認知行動療法に基づいたストレス対処法のこと

アメリカの心理学者ラザルスが提唱したもので、コーピング(coping)とは、英語の「cope(=対処する)」に由来しています。認知行動療法と聞くと、なんだか難しそうな印象を受けるかもしれませんが、そんなことはありません。

みなさんもストレスがたまったときには、大声で歌う、体を動かす、好きなものを飲み食いする、友人や恋人に話を聞いてもらう……など、さまざまな方法を試したことがあるでしょう。いま挙げたこれらのストレス発散、解消方法も、ストレスコーピングの一例です。

(2)ストレス発散したつもりでも、心が晴れないのはなぜ?

ただし、ストレス発散や解消のつもりで何か行動を起こしても、なんだかスッキリしなかったり、余計にイライラがたまったりすることがありますよね。それは、自分の心と向き合わずにいきあたりばったりの方法に頼っているせいかもしれません。

(3)ストレスコーピングでストレス対処法をより効果的に!

ストレスコーピングでは、自分の心の状態をモニタリングしながら、より適切なストレス発散、解消方法を見つけていきます。簡単なコツをおさえるだけで、普段からみなさんがやっているストレス対処法を、より効果的に行うことが可能になります。

ぜひストレスコーピングの理論をマスターして、ストレスに対処するスキルを高めましょう。

2:論文を読まなくてもわかる!ストレスコーピングの理論3つ

(1)そもそもストレスが起こる仕組みとは?

ストレスにうまく対処するには、そもそも人はどのようにしてストレスを感じるのかという仕組みを理解しておく必要があります。

心理学的にいうと、ストレスは、ストレッサーとストレス反応のふたつの要素から成り立つものです。このうちストレッサーとは、ストレスを引き起こすきっかけのこと。たとえば、満員電車、上司の叱責、彼氏がLINEを返してくれない、など日常生活におけるさまざまな事象がストレッサーになります。

ちなみに、そもそもストレスとは外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態。これには、就職や結婚や出産などの嬉しいことが含まれる場合もあると、ここに記しておきます。

他方、ストレス反応とは、ストレッサーに対する心身の反応のこと。たとえば、イライラする、不安になるなど、心に現れる反応もあれば、動悸がする、冷や汗が出る、胃が痛くなるなど、体に現れる反応もあります。

なぜ、わざわざこのふたつに分類する必要があるのかと言うと、ストレスコーピングにおいては、自分がどのようなストレッサーに対して、どのようなストレス反応を起こすのか、自分自身で認識することが第一歩だからです。

(2)ストレスコーピングの2つの手法:問題焦点コーピング、感情焦点コーピング

ストレスコーピングの手法は大きく分けるとふたつ。問題焦点コーピングと、感情焦点コーピングがあります。

まず、問題焦点コーピングとは、ストレッサーに働きかけて、ストレス問題を根本から解決しようとすること。たとえば、満員電車での通勤にストレスを感じている場合、通勤の時間をずらしたり、あるいは、職場のすぐ近くに引っ越したりすることが、問題焦点コーピングになります。

もうひとつの感情焦点コーピングとは、ストレッサーそのものではなく、それに対する自分の考え方を変えたり、感じ方を緩和したりすることです。

たとえば、さきほどの満員電車の例で言うと、「満員電車だからこそたくさんの人間観察ができてラッキー」というポジティブな捉え方をしたり、あるいは、電車に乗っている間、好きな音楽を聴いて不快感をまぎらわせたりするのが、感情焦点コーピングになります。

(3)ふたつのストレスコーピングの手法をうまく使い分ける

ストレスコーピングとは要するに、ストレッサーかストレス反応か、どちらかに働きかけるわけです。状況に応じて、どちらの対処が有効的な手段になるのかを見極めて、問題焦点コーピングと感情焦点コーピングをうまく使い分けましょう。

たとえば、満員電車での通勤(=ストレッサー)で、ちょっとイライラすることがある(=ストレス反応)という問題について考えてみましょう。

満員電車での通勤をすぐにでもやめることができるなら、問題焦点コーピングを活用し、満員電車での通勤自体をやめることが望ましいでしょう。しかし、それがなかなかできない環境であるならば、通勤時間に音楽聴いたり読書をしたりなど、ストレスを軽減させることを考える、感情焦点コーピングを活用する手段を挙げることができます。

しかし、同じくストレッサーが満員電車での通勤だとしても、ストレス反応が「毎朝、動悸がひどくて冷や汗も出る」というケースではどうか。ここまでストレス反応が深刻だと、その時間、音楽を聴くことで解決するのは難しくなるかもしれません。そもそもの満員電車での通勤をやめることを考えるほうがいいという問題焦点コーピングを活用することになります。

ストレッサーがどれくらい動かしやすいか、ストレス反応の大きさはどうかによって、問題焦点コーピングと感情焦点コーピングを使い分けたり、ときには併用したりしてストレスに対処していくことが必要になります。

3:看護の現場でも使われている!ストレスコーピングの実践方法3つ

ストレスコーピング理論は、看護の現場でも活用されているほど、専門的な方法論です。それを日常生活において考えると、先述したストレスコーピングのふたつの手法のうち、どちらかというと感情焦点コーピングのほうが使う機会が多いかもしれません。

というのも、よく「人を変えることはできなくても、自分を変えることはできる」と言われるように、ストレッサーそのものに働きかけるよりも、自分の感じ方を変えるほうが簡単だからです。

そして、このストレスコーピング理論は看護の現場でも活用されています。そこで、以下では主に感情焦点コーピングの実践方法について、もう少し具体的に解説していきます。

(1)自分のストレスの感じ方をよく観察する

まず、問題焦点コーピングと感情焦点コーピングの共通のルールとして、ストレスコーピングにおいては、自分がどのようなストレッサーに対して、どのようなストレス反応を起こすのかをよく観察することが欠かせません。

ストレッサーの種類やストレス反応の大きさによって、問題焦点コーピングか、感情焦点コーピングか、どちらがより適切なのかアプローチが変わってくるためです。

自分のストレスを観察するときには、できるだけ状況を具体的につかむようにしましょう。たとえば、単に「満員電車が嫌だ」というのではなく、満員電車でのどのような状況で強くマイナスの感情が働いたのかを具体化すると、問題解決のヒントになります。頭の中だけで考えるのではなく、できれば紙に書き出すのがおすすめです。

とことん突き詰めて考えると、「そうか、自分は満員電車自体が不快なんじゃなくて、いつも同じ車両に乗るあのおじさんの整髪料のにおいが苦手だったんだ!」などの気づきがあります。そうすれば、わざわざ通勤時間をずらすなどしなくても、車両を変えるだけでコーピング完了です。

このように、日ごろから自分のストレスを細かく観察する習慣があると、些細なストレスをキャッチできて、ためこまずにすむというメリットがあります。

(2)コーピングの手段はなるべくたくさん用意する

イライラや不安といったマイナス感情をまぎらわせるのも、感情焦点コーピングの一種です。こうした気分転換の手段は、できるだけ数をたくさん用意しましょう。

たとえば、深呼吸をする、あめをなめる、顔を洗う、好きな俳優を思い浮かべるなど、手軽にできて少しでも気分が上向く手段を思いつくまま紙にリストアップします。とにかく質より量で勝負!

なぜ紙に書き出すのかというと、そのリストの存在自体がお守りのような役割も果たし、ストレス緩和につながるからです。

ちょっと想像してみてください。もし、あなたが何か持病を抱えている状態で旅に出るとして、薬を全く持たないのと、薬を万全に準備するのとでは、感じ方にどれくらいの違いがあるでしょうか。薬を持っていなければ、いつ発作が起きるのかと不安で、それ自体がストレスになりますが、備えがあれば心強いですよね。

気分転換リストは、あなたのストレス病に対する処方薬。症状が出たらすぐに使えるように準備しておきましょう。

(3)とにかく実践する

気分転換リストができたらあとは実践あるのみです。日常生活において、ストレスを感じるシチュエーションになったら、リストの中からひとつを試しましょう。そして、自分の気分にどれくらい変化があったのかも、記録しておくのがおすすめです。

たとえば、「上司に怒られた→あめをなめた→△」、「彼氏とケンカした→好きな俳優を思い浮かべた→◎」というふうに、ストレッサーと気分転換の手段、その後の気分を記録していくと、徐々に自分の傾向がわかってきます。

上記の例では、人間関係に関わるストレスでは、どうやら味覚を満足させるよりも、妄想するほうが効果が高いと言えそうですよね。

4:ストレスコーピングのことがわかるおすすめの本3選

(1)「コーピングの教科書」田中 ウルヴェ 京

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1988年のソウルオリンピックのシンクロ・デュエットのオリンピック銅メダリストで、現在はメンタルトレーナーとして活躍中の田中ウルヴェ 京(みやこ)さんの著作。田中ウルヴェ京さんは、ほかにも数多くのコーピングやストレスマネジメントの本を出版しており、どれもおすすめです。

上の「2:論文を読まなくてもわかる!ストレスコーピングの理論3つ」にて、「感情焦点コーピングとは、ストレッサーそのものではなく、それに対する自分の考え方を変えたり、感じ方を緩和したりすること」と述べましたが、『コーピングの教科書』では、ストレッサーに対する自分の考え方を変える手法についてわかりやすく解説されています。

たとえば、上司に話しかけて反応がなかったというストレッサーに対して、「無視された、私、嫌われてる!」と落ち込むのと、「単に私の声が聞こえなかっただけかな?」「上司のほうこそ何か悩みでもあるのかも?」などと捉えるのでは、メンタルへの影響がかなり変わってきますよね。考え方の癖でストレスをためこみやすい人はぜひご一読を!

(2)「折れない心がメモ1枚でできる コーピングのやさしい教科書」伊藤絵美

著者の伊藤絵美さんは臨床心理士。ストレスコーピングでは、ただ頭の中で考えるだけでなく、自分の状態を観察して、紙に書き出すという作業がポイントとなりますが、本書ではどのようなことを書き出せばよいのか具体例が豊富です。

心理学に興味がある人はもちろんのこと、全く知識がない人でも、本書の流れに沿って作業を進めていくだけで、自然とコーピングの技術が身につくことでしょう。本書は現在、絶版となっていますが、ネットショップなどで探せばまだ手に入りそうです。

(3)「超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド」鈴木祐


アイテム、中ボス、ダンジョン、ラスボス……これらは全て同書に出てくるフレーズです。目次を眺めると、そんなRPGゲームのような見出しが出てきて、ストレスコーピングにユニークに取り組めるように手法が解説されています。

また、タイトルに“100の科学的メソッド”とあるように、科学的データに裏付けられたライフハックが満載。コーピングに限らず自分に合ったストレス対処法を見つけたい人に価千金です。

5:まとめ

社会生活を送るうえでストレスは切っても切れません。うまく折り合いをつけるためにも、ストレスコーピングの技術をぜひ身につけてみては?