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離婚届の書き方見本|用紙のある場所から間違えた場合の訂正方法まで

水野 文也

水野 文也F.Mizuno

目次

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1:離婚届を書く前にしておくべきことは?

離婚届を提出する際には、入念に準備をする必要があります。そうでないと、ちゃんと受理してもらえないだけではなく、提出した後、元のパートナーとのトラブルの原因にならないとも限りません。

離婚届を出す前に慰謝料や財産分与、子どもの親権などトラブルになりそうなことを決め、離婚協議書を作成しておいたほうがいいでしょう。また、円満な協議離婚の場合でも、当事者ふたりの署名捺印だけでは足らず、ふたりの証人が必要になります。

ただし、調停離婚や裁判離婚の場合は、調停書、判決書が証拠になるので証人は要りません。

2:離婚届の用紙がもらえる場所は?

(1)戸籍課に行けばもらえる

役所の戸籍課窓口に行けばもらえます。住民書の請求などと異なり、全国共通のフォーマットであるため、自分の住所がある役所でなくても構いません。

(2)ダウンロードでも可能

全国一律の様式ですから、ダウンロードして取得することも可能です。この場合、必ず窓口の様式と同じA3サイズでプリントアウトしたものでなければ受け取ってもらえません。とはいえ、役所によってはプリントアウトした用紙では受け取ってくれないところもあるようなので、事前に確認したほうが確実でしょう。

3:間違えたら訂正印を押すべき?離婚届を書く時の注意点

(1)決められた書式に従って記入

 

役所に提出する書類というのは、離婚届に限らず、不備がある、もしくは不備がなくても書式が異なるようなことがあると、受け取ってもらえません。指定の用紙に間違いなく記入し、押印したなら、提出する前にしっかり確認しましょう。

(2)間違えたら二重線と訂正印

用紙はボールペンなどで記入することが基本ですが、間違いを訂正する場合は、その部分を二重線で消して訂正印を押すようにします。どんな書類でもそうですが、修正液を使ったものは、役所が受け取ってくれません。

(3)親権者など届ける前に決める

子どもがいる場合、親権者が決まっていない場合は受理されません。繰り返しになりますが、後々トラブルになりそうなことは、すべて離婚届を提出する前に決めておきましょう。

4:離婚届の書き方13ステップ

離婚届が受理されると、法律的にふたりは完全に他人となるため、トラブルが発生して裁判にならないとも限らず、より慎重に記す必要があります。項目別に書き方をまとめてみました。

(1)届出の日付

提出する日付をまず記入します。ただし、法律上の離婚日は、届け出た日ではなく、書類に不備等がなく受理された日となります。なお、調停離婚、審判、裁判離婚の場合は、確定の日から10日以内に提出しなければなりません。

(2)名前は戸籍通りに

氏名は婚姻中の姓を記入し、漢字は戸籍どおりに書かなければなりません。戸籍名に旧字体を使っている場合は、特に注意が必要です。

(3)住所は住民票のある場所

住所は、住民登録をしているところ、つまり住民票のある住所と、世帯主の氏名を記入します。住民票を異動させずに別居しているというケースが多いので、注意が必要です。また、離婚届と同時に転居届を提出する場合は、転居届に記載の住所を記載します。

(4)本籍

夫婦の本籍地と戸籍筆頭者の氏名を、戸籍謄本どおりに、正確に記入します。これも旧字体で書かれている場合は注意しましょう。

(5)父母の氏名

夫婦それぞれ実の父母の名前、続柄を書かなければなりません。続柄は戸籍にあるとおり、あなたが長女なら、そのまま長女と記します。

(6)離婚の種別

どのような方法で離婚したのかを記しますが、これは該当する箇所にチェックを入れるだけです。調停離婚(審判)、裁判離婚の場合は成立、確定日を書きます。

(7)婚姻前の姓を使用する

該当するところにチェックを入れて、本籍を記入します。離婚後も婚姻中の姓を名乗る場合は、ここを空白にして、別に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出します。この場合、新しい戸籍の筆頭者は自分になります。

(8)未成年の子がいる場合

養育する親権者を決めてから子の氏名を記入。どちらが親権者となるのか決まっていないと離婚届は受理されないので、確実に決めておく必要があります。「とにかく別れたい。子どものことは後で決める」は通用しません。

(9)同居期間

同居開始日は、結婚式を挙げた日か、あるいは同居を始めた日の、どちらか早いほうになります。また、別居した日時も記入しましょう。

(10)別居する前の住所

現在別居しているときは、夫婦で同居していたときの住所を記載することとなります。別居していなければ空欄のままで構いません。

(11)収入源・職業

別居する前の世帯の主な仕事については、世帯主の仕事を6つの分類の中からチェックします。具体的な夫婦の職業の記載は、5年ごとに行われる国勢調査のタイミングだけで問題ありません。ちなみに今年(令和2年)は国勢調査の年にあたります。

(12)届出人

届出人の印鑑は三文判の認印でもOKですが、ゴム印はNG。さらに代筆するもの認められておらず、必ず本人が署名・押印をしなければなりません。

(13)証人の署名・押印

協議離婚の場合は、20歳以上の証人ふたりの記入・捺印が決まりとなっているので、証人になってくれる人を事前に探さなければなりません。夫婦で証人になってもらうことも可能ですが、この場合、印鑑は別のものを使用しないと不受理となります。もし証人となる人がいない場合、「離婚届証人代行サービス」というものもあります。

5:離婚届を書き終わったら?

(1)届出人が提出する

離婚届の提出先は、もっとも近い役場の戸籍課になりますが、提出方法は郵送でも持参でも構いません。また第三者に提出してもらっても問題ありません。ただし、離婚届に記した届出人が提出します。なお、郵送の場合は、役場に届いたときが届出日になります。

(2)本人確認書を提示

協議離婚の場合、提出する書類は基本的に離婚届のみでOKです。ただし、提出者本人であることを確認するため、運転免許証、パスポートなどの本人確認書類の提示が必要となります。郵送の場合、これらのコピーを同封しましょう。

(3)パートナーが勝手に提出した場合は?

相手が勝手に離婚届を出してしまった場合は、「離婚届不受理申出」という届けを市区町村役場に事前に提出しておくことで、相手が勝手に提出しても離婚届を出しても受理されないように対策できます。 万が一、合意していないのに離婚届が出されていた場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し出て、裁判所で訴訟を起こすことになります。

(4)女性の場合、再婚は?

「離婚できたのだから、新しい恋人と再婚できる」と思うかもしれませんが、女性の場合は、法律上すぐに再婚できません。ただ以前よりは期間が短くなり、現在は離婚後の再婚禁止期間が6か月から100日に短縮されました。

(5)元夫との再婚

ただしこの100日以内であっても、元夫と子どものことを考えてやり直す決意をした、問題解決をきっかけに戸籍を元に戻す、などで再婚する場合には、100日以内でも再婚が認められます。

6:まとめ

離婚届の用紙は、緑色であることから、ネット上などの隠語で「緑の神様」といわれています。「緑の神様」は拝まないことに越したことはありませんが、各種届出のうち、間違いがあったときにリカバリーがしにくい書面なので、慎重に記すことが求められます。