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釈明の意味は?弁明・弁解・言い訳との違い

松田優

松田優Y.Matsuda

目次

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1:釈明の意味は?

不祥事が起きたときの会見などで使用されるイメージが強い「釈明」。なんとなく「言い訳」を堅くしたような意味と捉えている人も多いでしょう。そこで、正しい意味を調べてみました。

釈明(読み)シャクメイ

自分の立場や考えを説明して、誤解や非難を解き、理解を求めること。「事故原因について釈明する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

自分の立場から、主観的に見た事実を伝え、理解してもらおうとすることを表すようです。

2:類語との意味の違いは?

釈明と同じような意味合いで使われる類語3つの意味と、それぞれの「釈明」との違いも確認していきましょう。

(1)「釈明」と「弁明」の意味の違いは?

刑事ドラマや、勧善懲悪のストーリーなどで触れる機会の多い「弁明」。まずは意味を見てみましょう。

弁明(読み)ベンメイ

1 事情などを説明してはっきりさせること。「事のやむなきを―する」

2 他人の非難などに対して、言い開きをすること。「―の余地がない」「失言を―する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「釈明」は、自分の立場や考えの誤解を解いて理解を求めるものだったのに対し、「弁明」は、どうしてこうなったのかをはっきりさせること、という意味です。事情を伝えるにとどまり、どう解釈するかは相手に委ねられそうですね。

(2)「釈明」と「弁解」の意味の違いは?

次に、ビジネスシーンでの謝罪などの際に使われるイメージがある「弁解」。「弁明」とも似た言葉なので、こちらの違いも気になりますね。

弁解(読み)ベンカイ

言い訳をすること。言いひらき。「―しても遅い」「―がましい」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「釈明」にあった、誤解を解く、理解を求めるなどが含まれておらず、単に事情を話して相手を納得させるためのものが「弁解」であるといえそうです。確かに、「これで納得させたい」というような、逼迫したシーンで使われることが多い印象がありますね。

(3)「釈明」と「言い訳」の意味の違いは?

「言い訳」というのは、行き違いでケンカをしたときや、圧倒的に自分が悪いときなど、使う立場はさまざま。しかし、「釈明」よりカジュアルな印象があります。正しい意味を見てみましょう。

言訳(読み)イイワケ

そうせざるをえなかった事情を説明して、了解を求めること。弁解。弁明。「遅刻の言い訳」「いまさら言い訳してもおそい」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

事情を説明して了解を求めるというところでは、「釈明」とかなり近いように感じます。しかし、言い訳では「了解=説明や申し出を受け入れること」、釈明では「理解=内容をわかるということ」ということで、ふたつの大きな違いはこの点になりそうです。

3:恋愛や仕事で!釈明が必要なとき3つ

人間関係の中に身を置けば、誤解や行き違いもあるもの。ここでは釈明が必要なシーンを、3つ挙げてみました。

(1)約束の時間に遅れたとき


時間を決めて行う、仕事のミーティングやデートの約束などに、うっかりしていて遅れてしまったり、前の予定が立て込んで、連絡できずに遅れてしまったり、なんていうことはなきにしもあらずです。

時間に遅れたのは事実であり、その点については謝罪が必要です。どうしてそうなったのかという事情は、どんなに興味がなくても聞いてほしいもの。悪かった点はきちんと謝って、釈明させてもらうようにしましょう。

(2)大きなミスが発覚したとき

納品が納期に遅れそうだったり、記念日の準備を忘れていたり……。仕事でもプライベートでも、明らかに人に迷惑をかけ、大きな影響が出てしまうことがあります。そんなときにも釈明が必要になるでしょう。

釈明するのは見苦しいとか、潔くないとか言われることもしばしば。けれど、釈明することで、発生してしまった事実をきちんと認識・共有して、原因の把握と防止策の策定などに役立てられれば、意味のあることになりますね。

(3)言葉に行き違いがあったとき

コミュニケーションの行き違いで、相手の心象を悪くしたり、ケンカになってしまったりしたとき。そんなつもりでいったのではないのに、間違った伝わり方をしたことを釈明する必要があります。

コミュニケーションは、最終的には受け手の感じ方に委ねられるもの。ですが、誤解させたままでは、お互いにわだかまりが残ってしまうケースもあるでしょう。釈明することで、関係の改善を図る努力をしましょう。

4:うまい釈明の仕方3つ

釈明が必要なシーンで、釈明の方法をミスってしまっては意味がありませんね。そこで上手な釈明の仕方をご紹介します。

(1)まずは謝罪から


まず初めのひと言が謝罪だった場合とそうでなかった場合では、ずいぶんと違った印象に。実際には、すべての責任が自分になかったとしても、不快・不安な思いをさせたことは事実。まずはその点についてきちんと謝罪してから、話を聞いてもらうようにしましょう。順番は大切です。

(2)自分を正当化しない

なぜ釈明が必要なのかといえば、相手に事情と考えを伝えて、誤解があれば解き、理解してもらうため。そこに「自分の考えが正しい」というニュアンスが含まれてしまうと、一気に心象を悪くしてしまいます。

釈明は、どうしてこうなったのかを理解してもらうのが目的。なので、「実際に」どんな事情でどう考えた、ここに齟齬がある、ということを「わかって」もらうための情報を伝えるにとどめましょう。

(3)相手を主体として考える

こちらの事情を理解してもらうためには、まず話を聞いてもらうベースを作る必要があります。相手が冷静に話を聞いてくれるよう、まずは相手の思いを聞いてから釈明に移る、という方法も。

自分を主体として考えるのではなく、相手を主体として考えましょう。そうすることで、実情をきちんと理解されたうえで、今後どうしていけばいいのかという建設的な話ができ、関係を深める好機にもできるでしょう。

5:釈明を英語でいうと?

では英語では「釈明する」をどのように表すのでしょうか。調べてみました。

しゃくめいする【釈明する】

vindicate; explain

出典:プログレッシブ和英中辞典(小学館)

vindicateには「正しいことを示す、(汚名・嫌疑を)晴らす」、explainには「説明する、(理由を)明らかにする」という意味があります。

自分の行為を釈明して

in vindication of one’s conduct

どうして仕事を中断したのか釈明してください

Please explain why you stopped the work.

出典:プログレッシブ和英中辞典(小学館)

上記のように使うことができ、他にも「釈明の余地はない=There is no excuse for it.」のように「excuse=(事情などが)理由になる」とも表現できます。

6:まとめ

混同しがちな類語も多い「釈明」という言葉。意味や使い方の参考になったでしょうか。うまく釈明することができれば、そこで開かれた情報から、建設的に話をまとめることもできそうですね。トラブルがあったときは釈明を利用して、関係性の向上に役立ててみてください。