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聞くと聴くの違いって?意味と使い分け方・熟語を紹介

松田優

松田優Y.Matsuda

目次

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1:聞くと聴くの違いわかりますか?

さまざまな場面で使い分けられている「聞く」と「聴く」。いったい、どのくらいの人が正しく理解しているのでしょうか。

そこで今回『MENJOY』では、20代~30代の男女373名を対象に独自のアンケート調査を実施。「“聞く”と”聴く”の言葉の違いを説明できますか?」という質問をしてみました。

結果は以下のとおりです。

どちらも説明できる・・・62%

どちらも説明できない・・・34%

「聞く」は説明できる・・・3%

「聴く」は説明できる・・・1%

ちゃんとわかっているという人は6割ほど。どちらかだけ説明できる人は少数派で、両方とも、知っている人は知っている、知らない人は知らない、という結果でした。

2:「聞く」「聴く」「訊く」「利く」の意味と違い

「きく」と読む漢字はいくつもありますが、その中でも特に紛らわしい、「聞く」「聴く」に加えて、「訊く」「利く」の意味と違いについて調べてみました。

(1)聞く

まずは、一般的に多く目にする機会のある「聞く」。意味は以下のとおりです。

聞く

音・声を耳に受ける。耳に感じ取る。「物音を―・く」「見るもの―・くものすべてが珍しい」「鳥の声も―・かれない」

話を情報として受け入れる。「―・くところによると」「君の評判をあちこちで―・いた」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

特に注意を向けることなく、他のことをしながら「聞こえてくる」ときや、内容を理解する段階ではなく、単に情報として「耳に入れている」という意味です。

(2)聴く

次に、「聞く」との使い分けが難しい「聴く」の意味を見てみましょう。

聴く

注意して耳にとめる。耳を傾ける。「名曲を―・く」「有権者の声を―・く」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「聞く」が「自然と耳に入ってくる」という意味合いだったのに対し、「聴く」は「耳を傾ける」「注意深く耳にとめる」という意味なのがわかりますね。

(3)訊く

続いては「訊く」を見ていきましょう。

聞く

(訊くとも書く)尋ねる。問う。「道を―・く」「自分の胸に―・け」「彼の都合を―・いてみる」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「訊く」は常用漢字表にはない漢字であり、辞書にも「きく」という読みは載っていません。そのため「訊くとも書く」とされています。常用漢字ではないため、「訊く」を公用文に使用することはできないので、表記の際には注意が必要です。

(4)利く

こちらは音や意見を「きく」とは違った意味合いの「きく」です。

利く

本来の機能を十分に発揮する。機敏に、また、さかんに活動する。「鼻が―・く」「麻痺 (まひ) して手足が―・かない」

それをすることが可能である。できる。「洗濯の―・く生地」「無理の―・かないからだ」「学割が―・く」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「作用や効果が現れる」ことや、「できる、可能である」という意味ですね。

3:「聞く」「聴く」「訊く」「利く」「効く」を使った熟語5つ

では「きく」を使った熟語にはどのようなものがあるでしょうか。

(1)伝聞

「伝聞」は文字のとおり、「人から話を伝え聞く」という意味で使うそうです。

でん‐ぶん【伝聞】

1 人から伝え聞くこと。また、その内容。「伝聞するところでは」

2 文法で、人から伝え聞いたことを述べる言い方。動詞に、口語では助動詞「そうだ」、文語では助動詞「なり」を付けて言い表す。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

まさに意味を紹介する前の文で使った「使うそうです」という言い方が、伝聞する際に使える表現といえるでしょう。

(2)傾聴

営業職や接客業の人は、「傾聴スキル」なんていうワードを聞いたことがあるかもしれません。スキル=技術が必要とされる「傾聴」とはどんな意味でしょう。

けい‐ちょう【傾聴】

耳を傾けて、熱心に聞くこと。「傾聴に値する意見」「傾聴すべきお話」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

例文にある「~に値する」「~すべき」という言葉から、特別なことのように思えます。人の話を聴くときには、「傾聴」の姿勢をもって聴くべきでしょう。

(3)審訊

「きく」という読みでは辞書になかった「訊く」ですが、「ジン」という読みでは辞書に載っています。

審訊(読み)シンジン

裁判所が、民事訴訟の当事者や証人などに、書面または口頭で詳しく問いただすこと。審問。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「訊く=たずねる、問う」という意味でしたね。ここでも「問う」という意味で「訊」が使われています。

(4)利器

「文明の利器」というワードはよく耳にしますよね。スマホやタブレット、食洗器やドラム式の洗濯機などはまさに文明の利器。「利器」の意味を詳しく見てみましょう。

り‐き【利器】

1 鋭利な刃物。鋭い武器。

2 便利な機械・器具。「文明の利器」

3 すぐれた才能。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

ふわっと捉えていた「便利なもの」という意味以外にも、優れた才能も「利器」と表せることがわかります。

(5)効能

取り入れることによって得られる、よいはたらきや効果、効き目のことを意味しています。

こう‐のう【効能/功能】

よい結果をもたらすはたらき。ききめ。「胃腸病に―のある温泉」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

温泉の看板やアロマテラピーの紹介の文章などでよく目にしますね。

4:聞くと聴くを英語で表現すると?

英語では大きく、「聞く=hear」「聴く=listen」と分けて考えられそうです。

きく【聞く・聴く】

1〔聞こえる〕hear ⇒きこえる(聞こえる);〔耳を傾ける〕listen (to)

今ラジオを聴いているところだ
I’m listening to the radio.

彼の聞いている所ではそんなことを言うな
Don’t say things like that in his hearing.

2〔話として聞いて知る〕hear (about, of)

知らせを聞いて驚いた
I was surprised when I heard the news.

出典:プログレッシブ和英中辞典(小学館)

他にも、「聞いて従う」という意味では、「obey」が使われることもあります。

5:聞くの漢字のなりたちは?

「聞」という字が「門」+「耳」の2字から成り立っているのは見てのとおり。どちらの字も象形文字です。「きく」という意味をもつ「耳」の象形と、「両開きの扉、中がよくわからない」という意味をもつ「門」の象形から成り立ちます。

「聞」は、2字以上の漢字の字形、意味を合わせて作られた「会意文字」と、音を表す字と意味を表す字を合せて作られた「形声文字」の特徴を併せもつので、「会意兼形声文字」といわれることもあります。

6:まとめ

「きく」というひとつの読みに、似た意味で別の表記がこれだけたくさんあると、覚えるのもひと苦労。文章を書いたり読んだりするときに、迷うこともあるかもしれません。そんなときはこの記事を参考に、適切に「きく」を使い分けてみてくださいね。