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態々って読める?タイタイじゃないよ!よく使うのに漢字だと読めない言葉とその意味

水野 文也

水野 文也F.Mizuno

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目次

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1:態々の読み方は?タイタイじゃないよ!

「態度」の「態」の字ですから「態々」を「タイタイ」と読みたくなるかもしれません。ですが、もちろん違います。じゃあ「クマクマ」? よく見て下さい。「熊」の字に似ていますけど、部首の足は「れんが」ではなく「こころ」ですよ。

読み方は「わざわざ」。平仮名で書くと「なんだ」と思うかもしれません。するっと読めるように覚えておきましょう。意味は、説明するまでもないかもしれませんけが、おさらいのために以下に記しておきます。

態々(わざわざ)

1 他のことのついでではなく、特にそのためだけに行うさま。特にそのために。

2 しなくてもよいことをことさらするさま。故意に。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

ちなみに、同じ単語や音を重ねて一語にした複合語のことを、畳語(じょうご)といいます。畳語は、強調や複数を意味するものが多いのが特徴です。

2:偶々・総総・然々・拝趨など…よく使う言葉なのに意外と知られていない漢字と意味10

 「態々」のように、意味はよく知っているのに、漢字ではチンプンカンプンになる言葉は少なくありません。しかも、よく使うため、間違った読み方をすると恥をかきやすいものをいくつかご紹介します。わからないor読めない言葉があったら、この機会に覚えておきましょう。

1)偶々

「すみずみ」と読んだ人はいませんか? 似ていますが、「隅々」は「こざとへん」ですが、これは「にんべん」です。読み方は「たまたま」です。

偶然の「偶」の字が使われていますね。意味は、そのものズバリ「偶然」のほか、「ちょうどその折」「まれではあるが、時折り」となります。

2)隅々

 今度こそ間違いなく「すみずみ」です(笑)。「すべての隅」「あらゆる面」と言った意味で、「部屋の隅々まで掃除する」が例文として挙げられるでしょう。「隅」の字を使った同じ意味の言葉に「隈なく(くまなく)」があります。

3)総総

 「そうそう」と読みたくなりますが、違います。旧国名の「上総」「下総」など訓読みで読もうとした人は、すぐに気が付くでしょう。そう「ふさふさ」と読むのです。「髪の毛が総総している」が代表的な例文。たくさん集まって垂れ下がっている様子を表す言葉です。

4)然々

「ぜんぜん」や「ねんねん」と読んではいけません。「しかじか」と読みます。全体の内容を省く時に使い、「斯々(かくかく)」と合わせて「斯々然々(かくかくしかじか)」。このカクカクシカジカは、使う頻度が高いかもしれません。「実は斯々然々の事情で……」が例文として挙げられます。

5)云々

「でんでん」ではありませんよ。「然々」の別の書き方として「しかじか」とも読みますが、一般的には「うんぬん」です。

意味は多様で、「等々」「~など」や、「~らしい」と引用や伝聞の時に使うほか、「どうこう」「とやかく言う」など、議論することを示す時に使います。以前、国会で安倍首相が「でんでん」と答弁書を読み間違えたことが話題になったこともありました。

6)拝趨

読み方は「はいすう」。こちらから出向くことをへりくだっていう時に使います。このほか、急ぎおうかがいすること、参上するなどの意味がありますが、葬儀の挨拶状などで使われることが多いです。以下に例文を挙げてみましょう。

「このたびはご厚志を賜りましたこと、心よりお礼申しあげます。早速拝趨の上ご挨拶申しあげるべきところ、略儀ながら書中をもちましてご挨拶申しあげます」

7)一寸

 「いっすん」でも間違いありません。「一寸法師」の「いっすん」ですから、「いっすん」とも読むのですが、これは長さを示す言葉。一般的に使うときの読み方は「ちょっと」となります。長さの一寸は小さい、短いのたとえに使われる通り、意味は「わずか」「少しだけ」となります。

8)齷齪

 「憂鬱」とともに画数の多い漢字の代表格で、「あくせく」と読みます。意味は「細かいことを気にして落ち着かない」「気持ちがせかせか」するなど。

9)「遥遥」

「ようよう」と読みたくなりますけど、「遥か(はるか)」という訓読みから、「はるばる」と読みます。距離や時間が遠いさまを表し、例文としては「地球の裏、ブラジルから遥々お越しになりました」というように使います。また「遠路遥々」というのは、遠くからお客さんが来たときの定番フレーズですよね。

10)「兀兀」

 これは、難読漢字クイズともいえるレベルで、通常の生活では漢字で表すことは少なく、平仮名かカタカナで使用するのが一般的。ですので、「知ってたらスゴイくらい」に思って下さい。誰ですか「ぱいぱい」と読んでいるのは……。円周率の「π」ではありませんよ(笑)。正解の読み方は「こつこつ」です。

ちなみに、たいていの難読文字が、平仮名で打って変換すると該当の漢字が表示されますが「こつこつ」は「兀兀」とは出てきません。それくらい珍しい言葉なのです。

3:まとめ

数年前、某国の総理大臣が国会において「訂正でんでんという指摘はまった当たりません」と発言しました。これはどうやら、官僚がつくったペーパーにあった「云々」を読み間違えたといわれています。「政治家でも読めないんだから、知らなくていいでしょ」と思わずに、読めないと恥ずかしい思いをする場面が誰にでもやってくる可能性があると考えて、今のうちに覚えておきましょう。

ちなみに、筆者がかつて議員をしていた県議会の予算委員会は、ローカル局のテレビ中継がありました。そのため、読み間違いをして恥をかかないように、質問で資料を読む際、難しい漢字は事前にルビを振って臨んでいました(苦笑)。