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「吝(やぶさか)ではない」を英語で言うと?意味や使い方も

松田優

松田優Y.Matsuda

目次

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1:「吝か(やぶさか)ではない」の意味や類語は?

日常会話でも使われることのある「やぶさかではない」という表現。漢字だと「吝かではない」と書きます。まずは辞書で「やぶさか」を調べてみました。

吝か(読み)ヤブサカ

1 (「…にやぶさかでない」の形で)…する努力を惜しまない。喜んで…する。「協力するに吝かではない」

2 思い切りの悪いさま。

「民衆も天才を認めることに―であるとは信じ難い」〈芥川・侏儒の言葉〉

3 物惜しみするさま。けちなさま。

「たとひ驕且(きゃうしゃ)にして―ならば、其の余は観るに足らざらくのみ」〈文明本論語抄・四〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「やぶさか」とは、「2」や「3」で示されているように、躊躇しているさま、ケチなさまを意味する言葉です。これに「ではない」という否定の言葉をつけて「やぶさかではない」になると、「躊躇しない」「惜しまない」という意味になり、結果、努力を惜しまず、喜んでするという意味になります。

「やぶさかではない」の類語には「喜んでする」「賛成」「進んで~をする」などがあります。

2:「やぶさかではない」を英語で表現すると?「やぶさかではない」を使った英語の例文5つ

「やぶさかではない」は日本語特有の表現です。英語で表現したい場合には似たようなニュアンスの言葉を使うといいでしょう。例文を5つ紹介いたします。

(1)be happy to~


やぶさかではないは、喜んでするという意味。直訳すると「be happy to~」や「be glad to~」があります。

「I’d be happy to help your job.」で、「あなたの仕事を喜んで手伝います」という意味に。直訳しているので日本語に違和感があるかもしれませんが、何か仕事を頼まれたときに返すフレーズとして、英語圏ではよく使われます。「glad」を使う場合は、「I will be glad to help you.」で、「私は喜んであなたの手伝いをします」となります。

(2)I’d love to~

喜んでするというのを、「やぶさかではない」と遠回しに言うのは日本語特有の表現。英語でいう場合には、直接的な意味の言葉で置き換えるのがいいでしょう。

「I’d love to~」は「ぜひとも~したい」という意味。やぶさかではないの直接的な言い方といえます。「I’d love to help your job.」とすれば、「あなたの仕事を手伝うのはやぶさかではありません」という日本語に訳すことができます。

(3)I’m ready to~

「I’m ready to~」にはいつでも準備万端だよという意味があります。やぶさかではないという言葉の積極的な姿勢を表現するのにぴったりです。

「I’m ready to go with you.」は直訳すると、「君と一緒に行ってもいいよ」という意味。これは「あなたと一緒に行くのはやぶさかではない」としたほうが、日本語らしくなりますね。英語での表現は長所はわかりやすさにありますが、日本語の言い回しには美しさがありますね。

(4)don’t hesitate to~

「don’t hesitate to~」はためらわずに~する、遠慮せずにというような意味がある英語。

例えば「If you have a trouble. Don’t hesitate to talk.」は「何か困っていたら遠慮なく話してね」という訳ですが、意味合いとしては「頼まれごとをされるのはやぶさかではないよ」という訳し方もできますね。「喜んで頼まれごとをするよ」というのは、やぶさかではないにぴったりの表現です。

(5)I spare no effort to~

「やぶさかではない」は、上述したように、「努力を惜しまない」という意味でもあります。これを英訳するならば、努力は「effort」、出し惜しむは「spare」なので、「spare no effort」で努力を惜しまないとなります。

「I’ll spare no effort to do that.」で「私はそれに努力を惜しまない」となりますが、「私はそれをすることはやぶさかではない」という訳し方ができるでしょう。

3:実際にどんなときに使う?「やぶさかではない」シチュエーション日本語の例文3つ

「やぶさかではない」は実際にどんなシチュエーションのときに使う言葉なのでしょうか。例文を交えて見ていきましょう。

(1)「この仕事に協力するにやぶさかではありません」


仕事で協力を頼まれた際に、やぶさかではないを使うことができます。「この仕事に協力するにやぶさかではありません」といえば、仕事を積極的に請け負う姿勢を表わせるでしょう。目上の相手に対して使っても大丈夫です。

「A社から、こちらの提案に対して、やぶさかではないという返答をもらって安心しました」といえば、A社から喜んで協力すると返事をもらったという意味になります。ビジネスシーンでは使いどころも多い言葉というのがわかりますね。

(2)「彼の意見に賛成でやぶさかではありません」

会議などで誰かの案に賛成するときには、「彼の意見にやぶさかではありません」といった形で使えます。部下の案などには、「彼の意見にはやぶさかではないよ」とラフにいっても問題ないでしょう。彼の意見に賛成だという意味ですが、はっきり賛成だというよりも、紳士的に聞こえます。

ただし、「やぶさかではない」を「仕方なく」というニュアンスで誤用している人も多いため、むやみやたらに使うと誤解を招く可能性があることも頭の隅に入れておいたほうがいいかもしれません。

(3)「両親はあなたとの結婚にやぶさかではないの」

彼氏に、自分の両親は結婚に賛成していると伝えたいけれど、そのままだとストレートすぎる気がして、なかなか言えないと悩む女性もいるようです。「私の両親は、あなたとの結婚にやぶさかではないの」といえば、遠回しに柔らかいニュアンスで伝えることができます。

私の両親は反対していないけど、彼氏は結婚についてどう思っているのか気になるときにいってみると、結婚を意識してくれるようになるかもしれません。

4:まとめ

「やぶさかではない」は、普段の生活の中よりも、ビジネスシーンで耳にすることが多い言葉ですが、日常でも使うことができる日本語特有の美しい言葉です。ただし、誤用をしている人も多いので、使用には注意が必要ですが、美しい日本語を取り入れていけたら素敵ですね。