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簡易裁判所とは?調停の流れや支払督促を申し立てる方法まとめ

水野 文也

水野 文也F.Mizuno

目次

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1:簡易裁判所とは?

裁判所というと、最高裁判所を頂点に、高等裁判所、地方裁判所などを思い浮かべる人が多いかもしれません。それ以外にも家庭裁判所などもあり、中でももっとも身近な存在といえるのが簡易裁判所。

日常生活における紛争を取り扱う裁判所として、裁判所の利用経験がなく、また法律にそれほど詳しくなくても、利用できるように工夫されています。

2:地方裁判所との違いは?簡易裁判所の特徴

1)簡易裁判所の訴額

簡易裁判所の訴訟として多いのは、貸したお金が返ってこない場合の支払い督促。これは、140万円以下に制限されています。また60万円以下の少額訴訟の場合、一回の期日で審理を終え、すぐに判決を言い渡すこととされています。それで解決しない場合は、民事訴訟となります。

2)簡易裁判所の裁判官 

簡易裁判所の裁判官は、簡易裁判所判事と呼ばれています。一般の裁判官というのは、司法試験の合格者から登用されますが、簡易裁判所判事の多くは裁判所職員として採用され、裁判所職員総合研修所において研修を受けた裁判所書記官から内部試験で登用。定員は806名と定められています。

一般の裁判官の定年が65歳であるのに対し、簡易裁判所判事の定年は70歳。そのため、一般の裁判官を定年退官したあとに簡易裁判所判事になるというケースもあるようです。

3)簡易裁判所で扱う刑事事件

簡易裁判所は、民事の案件ほか、罰金以下の刑に当たる罪、窃盗や横領など比較的軽微な罪の刑事事件も扱います。この場合、刑罰について特別に法律で規定された罪に限り、3年を超えない範囲で懲役を科すことができます。

また、公開法廷ではなく、検察官が提出した証拠を裁判官が検討する書面審理を行い、相当と認めた場合に略式命令を出します。この場合の刑罰は、100万円以下の罰金又は科料に限られます。

3:費用はどれくらいかかる?簡易裁判所で取り扱っている民事事件

簡易裁判所の民事手続には、民事訴訟、少額訴訟、民事調停、支払督促などがあります。以下に、それぞれ説明してみましょう。

1)民事訴訟

民事訴訟とは、裁判官が法廷で、双方の言い分を聴いたり、証拠を調べたりして、最終的に判決によって紛争の解決を図る手続きです。費用も当事者の負担が軽減されており、相手と揉めなければ、それほど時間もかかりません。

裁判所に納める手数料は、相手への請求額が60万円であれば、6,000円です。

2)少額訴訟

「彼氏に50万円貸したのに返ってこない! 別れようと思っているので、絶対に取り戻す!」というときには、簡易裁判所の少額訴訟が便利です。一回の期日で審理を終え、すぐに判決を言い渡すこととされています。

お金の貸し借りだけではなく、アルバイトやパートの賃金未払いも、前述したように60万円までなら少額訴訟ができます。裁判所のホームページでも解説されていますし、分かりやすく説明されたリーフレットなどもあります。手数料は(1)と同様です。

3)民事調停

裁判所の調停委員会のあっせんにより、話し合いによる解決を図るものです。ここで合意された内容というのは、裁判によって出された判決と同じ効力を持ちます。

少額訴訟でも裁判は裁判です。例えば、お金を取り戻したい彼氏と、別れた後も仕事などでつながりがある場合、後でシコリが残るのは嫌ですよね。相手に返す意思があると感じられたら、民事調停での話し合いで解決したほうがいいかもしれません。しかし「コイツ、返すつもりないな」と思った場合は、問答無用で少額訴訟に踏み切りましょう。

調停の手数料は、請求額が60万円の場合、3,000円程度です。

4)支払督促

「いきなり訴えるのではなく、もう少し待ってみよう」。そんな場合は、支払督促を利用しましょう。これは簡易裁判所書記官が金銭の支払を督促するもの。相手方がこれに異議を述べた場合に、訴訟手続に移行します。

なお、支払督促の手数料は、訴訟の半分で済み、100万円の支払いを求める場合、民事訴訟では10,000円ですが、支払督促では半分の5,000円になります。

4:無視するのはNG!簡易裁判所から支払督促が届いたときの対処法

1)無視は絶対にダメ!

前項では、彼氏に貸したお金を取り戻すケースを取りあげましたが、反対に何らかの事情で、あなたが「お金を返して」と言われることもありうる話。

支払督促が届いた場合、ビックリして、なるべく早く対処しようとする人が多いと思いますが、中には「何、こんなもの、金額が小さいので大丈夫」とばかりに無視してしまう人がいるかもしれません。

しかしそれは危険極まりないこと。裁判所の権限は大きいですし、制度を利用しているだけに相手も本気! 絶対に無視しないようにしましょう。

2)減額制度もある

すんなり払ってしまえば、あとは何も起きることはありません。「いや、こんなの覚えがないこと」「借りたのは間違いないけど、こんなに借りていない」など、異議を申し立てれば、その後、民事裁判に移行することになります。

ところが、何もせず放っておくと、「仮執行宣言付支払督促」によって、強制執行を申し立てられることになります。

手立てとしては、一括で全額返済するのがベスト。しかし、「手元にお金がないので払えない」ということもあるでしょう。そういった場合は、 減額制度を利用することもできます。借金返済者の救済制度を利用した手続きを行い、給与の差し押さえといった最悪のケースを避けるように努力しましょう。

また、架空請求詐欺としてこの制度が悪用されるケースもあり、そのため、裁判所からの通知を「身に覚えがないから」という理由で放置していたら判決が認められてしまい、支払い請求されてしまうという事件も多発しています。

これは、業者からの架空請求のメールとは違います。それらは業者に連絡してはいけませんが、裁判所から書類が届いたら、話は別。まずは、裁判所に連絡しましょう。

5:東京の簡易裁判所の管轄は?

簡易裁判所は地域によって管轄が異なります。実際に訴える場所は、原則として、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所。事件の種類によっては、他府県の簡易裁判所にも訴えを起こすことができます。詳しくは裁判所のホームページで確認してみてください。

6:まとめ

少額訴訟は現在、60万円が上限ですが、制度としてスタートしたときは30万円まででした。想定されていた以上に利用されたために、引き上げられたのです。この制度を活用する人は少なくありません。例に挙げたように「彼氏がお金を返してくれない!」といった場合は、当たり前のように使われている制度なので、ためらわずに利用しましょう。