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「おだいじに!」は目上の人にも使える言葉なの?さまざまな相手に使うときの例文

松田優

松田優Y.Matsuda

目次

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1:そもそも「おだいじに」の意味は?

 

まずは辞書で正しい意味を確認してみましょう。

おだいじ‐に【御大事に】

相手の体をいたわる心持ちを表すあいさつの言葉。「どうぞ、お大事に」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「健康でいてほしい」「病気が早く治りますように」といった気遣いとして使われる「おだいじに」という言葉。普段何気なく使っていますが、文法的にみるとかなり省略された言い回しであることがわかります。

本来の意味合いで文章を完成させるとなると「あなたの体や健康をおだいじになさってください」となるところを、前後を省略することでより気軽に、形式ばらず使うことのできる言い回しになっているのです。

短い言葉のなかに思いやりと労わりの気持ちが込められていることから、相手の体調を心配するときや季節の変わり目の挨拶としてもよく使われています。

2:「おだいじに」は敬語?

「おだいじに」は文章を省略した形であるため、厳密には敬語とはいえません。敬語・丁寧語表現のひとつである「お(御)」がついていることから、相手を敬う気持ちが込められているのは確かですが、あくまで省略形は親しい間柄の人向けというのが一般的な感覚でしょう。

また、文章が完結していないということは、文末の解釈を相手に任せるということ。人によって捉え方が変わってしまう言い回しを目上の人に使うのは危険です。誤解を生まないように、きちんと文章を完結させた形で使うべきでしょう。

3:【例文付き】シーンや相手別の使い方

気軽に口にする言葉だからこそ、うっかり誤用を招きやすいもの。例文を交えながら、正しい使い方をレッスンしてみましょう。

(1)ビジネスで

仕事相手へのメールで、どうしても締めの一言が思い浮かばなかったという経験はありませんか? そんなとき「おだいじに」を使うことで、素っ気なさすぎず砕けすぎない、まさにビジネスシーンにうってつけの締め方ができるはず。

例えば、しばらく会う予定のない相手には「体調を崩しやすい季節です。どうぞおだいじになさってください」と気遣いの文章でまとめるのもいいでしょう。「お忙しいでしょうから、おだいじにしてくださいね」と、労いのひとことにも適しています。

オンラインでのやりとりが常識となった今。気楽さがある反面、実際の会話よりもニュアンスが伝わりにくいため、些細な言葉遣いにも細心の注意を払わなければなりません。相手を思いやる気持ちを持ち、ていねいに文章を作ることを心がけたいですね。

(2)家族や身内に

家族や身内であれば、シンプルに「おだいじに」といえばOK。体調に関することだけでなく、さまざまなシーンで使うことが可能です。例えば電化製品が壊れたときや料理に失敗してしまったときなど、「残念。おだいじに」と冗談めかして使うのもありかもしれません。

また、「子供を産んだばかりだから、だいじにしてね」「風邪を引かないようにだいじにしてね」など、「お」を抜いて使うこともできるでしょう。

(3)注意点も!目上の人に使うとき

上述したとおり、省略形の文章である「おだいじに」を、そのまま目上の人に使うのはマナー違反。文章をきちんと完結させた形で使わなければなりません。さまざまなパターンの文末を考えることができますが、「おだいじになさってください」というのが、最もスマートで伝わりやすい言い回しでしょう。

さらに「どうぞ」や「ませ」をプラスして「季節の変わり目です、どうぞおだいじになさってくださいませ」とすれば、格別にていねいな印象に。

「おだいじに」は誰もが気軽に使う普段使いの表現です。だからこそ、失礼があってはならない相手に対しては、最上級の敬意を表す気配りが必要となるのです。

4:英語・韓国語・中国語での言い方

相手を思いやり労わる気持ちは世界共通。「おだいじに」に似た表現は、世界中どこの国にもあります。なかでも日本と関わりの深い国の表現をみてみましょう。

(1)英語

体調を気遣う「take care」が「おだいじに」に当たりますが、これも省略された言い回し。英語の場合も、目上の人に使うときは、きちんと「Please take care of yourself.」と文章を完結させましょう。

友人や家族など親しい間柄であれば、「Bless you」も「おだいじに」と似たニュアンスの表現といえそう。直訳すると「神のご加護を」となりますが、誰かがくしゃみをしたときにいうなど、体調を気遣う言葉として気軽に使われているフレーズです。

(2)韓国語

韓国では「おだいじに」を「몸조리 잘 하세요(モムジョリ チャ ラセヨ)」といいます。「몸조리(モムジョリ)」が体調のこと、「잘 하세요(チャ ラセヨ)」がうまくやるという意味を表しています。

年功序列で上下関係や礼儀作法にも厳しい韓国。言葉遣いには十分気を配らなければなりません。「モムジョリ チャ ラセヨ」であれば、目上の人にも使えるていねいな表現なので、安心して使うことができます。

(3)中国語

中国語には日本語とまったく同じ意味で使われている表現はありませんが、ごく近い言い回しはあるようです。

「体を労わってください」という意味の「保重身体(パオジョンシェンティ)」は、日本語に近いニュアンスでつかうことができるでしょう。漢字で見ると意味も捉えやすいですね。

目上の人に使う場合は頭に「请(チン)」や「您(チン)」をつけることでていねいな言い方になります。

5:まとめ

「おだいじに」は、相手への慈愛や優しさにあふれた温かい言葉です。礼儀を守って正しい使い方をすることは重要ですが、それ以上に大切なのは心を込めること。

自然にさりげなく「おだいじに」と声を掛けることができたら、優しい気持ちで相手を癒すことができるはずです。