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ご厚意とは?言葉の意味や英語での言い方とビジネスで使える例文

松田優

松田優Y.Matsuda

目次

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1:「ご厚意」とは?

ビジネスシーンでよく目にする「ご厚意」。ですが、「ご好意」という字面もよく見ますよね。この両者はどう違うのでしょうか。「ご厚意」の意味や「ご好意」を含めた類語と、逆の意味で使われる対義語を調べたので、見ていきましょう。

(1)ご厚意の意味

「ご厚意」の意味は以下のとおりです。

厚意(読み)コウイ

思いやりのある心。他人が自分に示してくれた気持ちについていう。厚情。「厚意にすがる」「厚意に感謝する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「他人が自分に“示してくれた”気持ち」。なので、気持ちそのものではなく「気持ちを表す行為」を指しています。

例えば、あなたが困っている人に対して「○○してあげたい」と思っただけであれば、それは厚意にはなりません。「○○してあげたいと思っています」と発言した時点で、それは相手にとって厚意となります。

また、「“他人が”自分に示してくれた気持ち」なので、思いやりのある発言や行動をした本人がそれを厚意と表現はできません。あくまで他人の発言や行動を評価する言葉です。

(2)ご厚意の類語

「他人に対する優しく思いやりのある配慮」という意味では「ご配慮」「お気遣い」「ご厚情」などが挙げられます。

また「ご好意」も類語にあたります。「ご厚意」と響きも同じで意味合いも似ているため、使い分けに迷うこともありますよね。「好意」も気遣いという意味では「厚意」と同じ。ですが、相手への親しみや愛情から起こるものという点で、より私的な意味合いが強そうです。

(3)ご厚意の対義語

「厚意」の反対語は「冷然」。これは、冷ややかな対応のことです。相手に冷然とした態度をとられても、それに敬意を払う「ご」をつけて、「ご冷然、ありがとうございます」などといえば単なる嫌味でしかありませんよね。

「ご厚情」の対義語には、人情に薄く思いやりがないことを意味する「薄情」が挙げられます。

類語でご紹介した「ご好意」には、相手の存在や言動に対して反抗する「反感」、他人を憎しみ害を加えようとする気持ちの「悪意」、相手を敵として憎む気持ちの「敵意」が、対義語として挙げられます。

2:【例文つき】ビジネスでも使える「ご厚意」例7つ

「ご厚意」はビジネスでの使用に適した意味でしたね。ここでビジネスシーンでも使える例を、例文付きで7つご紹介します。

(1)ご厚意にあずかる

ここでいう「あずかる=与る」は「目上の人の好意や恩恵を受ける」という意味があり、お客さまや取引先からの厚意を受け取るという意味です。していただいたことへの感謝を述べる際に使用します。

式典などのスピーチ等では「この度は、過大なご厚意にあずかり、感謝申し上げます」、お礼状などでは「過日はひとかたならぬご厚意にあずかり、心より御礼申し上げます」というように使用できる表現です。

(2)ご厚意に感謝する

「ご厚意」はときとして「お金」を意味することもあります。例えば上司からいただいた現金で親睦会を開催したり、寄付を募って新しい施設を建てたときなど、「〇〇さまより〇〇円ちょうだいしたおかげで」という表現は、日本的な感覚では、少し品位を欠きますよね。

そんなときに「〇〇さまからのご厚意に感謝いたします」や、「みなさまのご厚意に感謝いたします」と表現することで、マイルドに、かつ、しっかりと感謝を伝えることができます。

(3)ご厚意に賜る

「賜る」というのは、目上の人からもらう、いただく、という意味です。「ご厚意に賜る」という使い方は、ビジネスレターで目にすることも多いですよね。

「新緑の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご厚意を賜り、心より御礼申し上げます」というように、時候の挨拶から感謝の挨拶へと続くのが一般的です。

(4)ご厚意に報いる

「報いる」には、受けた物事に対し、それに見合っただけの事をして返すという意味があります。ここでの「報いる」は決意表明を表現するのに使用されます。

「ご厚意に報いるべく、いっそうの鍛錬を積んでまいります」「ご厚意に報いるべく、一意専心、業務に邁進いたしたく存じます」のように、期待をかけていただいているぶん、それに応えるために全力を尽くします、という強い気持ちを表すことができますね。

(5)ご厚意に甘える

ここで使われる「甘える」は、感謝して受け入れることの表明です。相手からのご厚情をありがたく頂戴するということなので、「お言葉に甘える」と同様の意味で使用できます。

「ご厚意に甘えて、ありがたく頂戴いたします」「ご厚意に甘えて、本日は失礼させていただきます」というように、会話の中で使用するケースが多そうです。

(6)ご厚意を無下にする

「無下にする」というのは、台無しにする、無駄にする、という意味ですので、こちらの落ち度で、先方のご厚意を無駄にしてしまったときに使う、謝罪・お詫びの表現です。

「この度はせっかくのご厚意を無下にしてしまい、申し訳ございません」「せっかくのご厚意を無下にしてしまい、お詫びの言葉もございません」など、失礼を深謝する表現として使用します。

(7)ご厚意にお応えできず

ビジネスシーンでは、状況によって相手のお心遣いを辞退しなければならない場面もありますね。「ご厚意」を使って、相手の気持ちを一旦は受け止め、角を立てずにお断りする必要があります。

相手のお誘いをお断りしなければならない場合は、「せっかくのご厚意にも関わらず、お応えすることができず申し訳ございません」といったように、今後の関係にも配慮しつつ、丁寧にお断りするとよいでしょう。

3:「ご厚意」の英語表現は?

「ご厚意」の英語表現としては、「親切」という意味の「kind」が最も簡単でしょう。「kind intention(厚意・厚志)」が使用されることもあります。

例えば、「ご厚意ありがとうございます」であれば、「Thank you for your kindness.」となりますし、「会員のみなさまのご厚意によって」であれば、「Through the kindness of the members」となります。

また、「I was about to ask the favor.(ご厚意に甘えさせていただきます)」のように、「favor」、つまり「好意」を「厚意」と意訳して使用することもあります。

4:まとめ

「ご厚意」の意味と使い方について改めて見てみると、堅めではあるけれど、そのぶん堅実な印象で、相手の心象も損なわない、ビジネスシーンにぴったりの役に立つ言葉でしたね。「ご好意」との違いもわかったところで、きちんと使い分けてビジネス上の円満な関係を築いていきましょう。