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酸っぱいブドウの心理的な意味とは?現実を直視できない恋の行方

深海雪

深海雪Y.Shinkai

目次

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1:酸っぱいブドウの論理を知っていますか?

「酸っぱいブドウの論理」というものは、心理学などで語られることが多いもの。しかし、知らないという人もいるでしょう。どのくらい認知度があるでしょうか。

それを確かめるべく、今回『MENJOY』では、20〜40代の男女500名を対象に、独自のアンケート調査を実施。 「酸っぱいブドウの論理を知っていますか?」という質問をしてみました。

結果は以下のとおりです。

知っている・・・ 69人(14%)

知らない・・・・431人(86%)

知らない人が8割以上と大多数を占めています。日常ではあまり耳にしない言葉だとは思いますが、実はこの論理、心を救ってくれる救世主にもなりえるのです。

2:エルスターの「酸っぱいブドウの論理」とは?心理学的な解説

(1)酸っぱいブドウの論理とは

辞書で「酸っぱいブドウ」を調べてみると、

すっぱいぶどう

「イソップ物語」にみえる寓話 (ぐうわ) の一。キツネがおいしそうなブドウを見つけるが、高いところにありどうしても届かない。しまいには「あのブドウはきっと酸っぱくてまずいに違いない」と言って去る。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「キツネとブドウ」とも言われる、古代ギリシアの寓話集「イソップ物語」の話のひとつが出てきます。

これは、どんなにがんばっても手に入れられないとき、あきらめる理由を正当化させ、自分の心を落ち着かせるという心理を表しています。英語で「酸っぱい葡萄」を表す「Sour Grapes」は、「負け惜しみ」という意味で使われています。

2)エルスターの「酸っぱいブドウの論理」とは?

ノルウェー出身の社会科学哲学者であるヤン・エルスターは、このイソップ童話のキツネのように、人は無意識のうちに「適応的選考形成」をしていると言っています。

これは、欲しいものが手に入らないとわかると、無意識のうちにそれへの欲望が消えてしまい、手に入るものだけで満足する。そして、手に入らなかったものへの興味すら消えて、代わりに手に入ったものを心から欲していると思うようになるという考え方です。

 3)緊張や不安から逃げ出したい

またエルスターは、自分の意思で好みや欲求を変える「計画的性格形成」もあるといいます。

これは、欲しいものが手に入らない状態が続くと、人は緊張や不安を覚えて、そこから逃げ出したいと思うようになる。このようなとき、自分の意思でそのものへの欲求を弱めたり消したりして、その緊張や不安を消そうとするという考え方です。

無意識でも自分の意思であっても、人は現状に適応するように心を動かしているいうことでしょう。

 3:恋愛における「酸っぱいブドウ」的現象3

 1)片思いの場合は逃げる理由に

片思いのまま終わってしまう恋愛は、多くの人が一度くらいは経験していることでしょう。好きな人を想うたびに、心がギューと締めつけられ、思い悩む日々は心に大きな負担となります。

この心の負担から逃げ出したいと思うのが「酸っぱいブドウ」現象。想いが叶わない好きな人の悪いところを探してみたり、周りにいる別の人の良いところを見つけて好きになってみたり……。好きな人が、欲しいものではなくなるように考えているのです。

2)失恋から立ち直るための有効手段

大好きな人にフラれてしまったときの心の傷は、どんな言葉にも例えようがありません。悲しみに打ちひしがれ、仕事も勉強も何にもやる気がなくなり、食事すらとれないこともあるでしょう。

そんなときこそ「酸っぱいブドウ」が助けになります。「自分も無理して付き合っていたから、別れてよかった」、「タイミングが悪かった」などと理由をつけて、その人への想いを消すことで、立ち直っていくことができるのです。

3)うまく利用して切り替え上手に!

一生懸命ジャンプしたけど、ブドウを手に入れられなかったキツネのように、恋愛がうまくいくようにがんばったけれど、残念な結果となってしまったのであれば、もう仕方ありません。

自分の思うようにならないのが恋愛です。くよくよしていても何も始まりません。こんなときは「酸っぱいブドウ」をフルに活用して、新しい恋へと切り替えましょう。今まで気づいてないだけで、周りには素敵な人がたくさんいるはずです。

 4:現実を直視して酸っぱいブドウの法則を乗り越えるためには?3 

1)自分の欠点も見つめてみよう

恋愛がうまくいかないと、相手のせいにしがちです。相手の悪いところを見つけるのは、自分の心を落ち着かせるためだけにしましょう。自分が変わらなければいけない点も、きっとあったはずです。

今ある現実を見つめ直し、相手から注意されたことなどを思い返しましょう。そして気づいた自分の欠点についてよく考え、自分を変える努力をすれば、次はきっとうまくいくはず。がんばる人は、さらに魅力的に見えることでしょう。

2)逆に「甘いレモン」の法則も

「酸っぱいブドウ」とは逆に「甘いレモン」という言葉もあります。これは、自分が必死になって手に入れたレモンは、きっと甘いと思い込む心理現象です。

例えば、がんばって尽くして恋人同士になれたとします。でもいざ付き合ったら、浮気されたり、暴力をふるわれたり……。それでも現実を見ず、必死になって手に入れた相手はステキな人だと、自分に言い聞かせている状態のことをいいます。でも、レモンは決して甘くなく、酸っぱいのです。

 3)現実を直視すれば、甘いブドウも見つかるはず

「酸っぱいブドウ」のように、手に入らない現実をただ受け入れたり、「甘いレモン」のように手に入ったものはいいものと信じたり……。人は心を安定させて生きるために、自己防衛しながら生きています。

でもそれでは本当に素敵な人、つまりは甘いブドウを手に入れることはできません。どうしたら自分に振り向いてくれるのか、自分の魅力はどうしたら伝わるのか……。勇気を出して、一歩前に進んでみると、甘いブドウにたどり着けるかもしれません。

 5:まとめ

うまくいかない恋愛は「酸っぱいブドウ」の論理で自分をコントロールするのがいちばんです。でも現実を意識しすぎて、それを受け入れてばかりだと、本当に欲しいものが見えなくなります。ときには手に入らなさそうなブドウを取りに行く勇気も必要ですね。