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うさぎは寂しいと死ぬ?うさぎが孤独死する説の真相
水野 文也F.Mizuno
1:うさぎは寂しがり屋?寂しいと死ぬ?
よく世間で語られている俗説のひとつに「うさぎは寂しいと死んでしまう」というのがありますよね。耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
うさぎを1羽だけ飼い、長い時間ひとりぼっちにさせて留守番させると、その間に……ということは本当にあるのでしょうか。たしかに、あの愛くるしさや人懐っこさから、寂しがり屋なイメージはしますが……。
今回は、そんな動物に関する説について、調べてみました。
2:「うさぎが孤独死する」説の真相
(1)「寂しいと死ぬ」は都市伝説
結論からいえば、都市伝説の類で、うさぎを1羽だけで留守番させても、それだけを理由に「孤独死」することはありません。
そもそも、うさぎは野生動物。野山でたくましく生きているうさぎは、群れをなして生活しているわけでもなく、そんな軟弱な動物ではないのです。
うさぎが孤独死するのを恐れて、多頭飼いする人もいるようですが、そうする必要はありません。
(2)多頭飼いはストレスの素、うさぎにとって迷惑
むしろ、うさぎを多頭飼いするのは、迷惑な話であるようです。
うさぎは自分の縄張りを大切にする生き物。狭い空間で複数のうさぎを飼えば、縄張りも何もなくなってしまいます。
それが逆にストレスを引き起こしてしまう……。「孤独死」どころか、寂しくないようにとたくさん飼うことで、うさぎ精神的に追い詰めることになるかもしれません。
(3)それでもコミュニケーションは大切に
「寂しいと死ぬ」というのはウソでも、うさぎを飼う場合、コミュニケーションはしっかりとってあげましょう。
多くのペットは、飼い主、一緒に飼われているペットたちとコミュニケーションをとりながら生活しています。
人間でも、長く周囲と遮断された状態に置かれると、拘禁症になることがありますが、それは動物も同じこと。家族の一員として接してあげることが大切。それはどんなペットでも同じです。
3:「うさぎが孤独死する」説の由来
(1)セールストークが発端?
今ではほとんど見かけなくなりましたが、以前は祭りの露店で、子うさぎが売られていました。
その際、売っていたテキヤ(映画「男はつらいよ」の寅さんをイメージして下さい)の営業トークの決まり文句が「1羽だけだと寂しくて死んじゃうから、2羽買ったほうがいいよ!」というもの。そこから、広く流れたとの説があります。
「うさぎの孤独死」というのは、まったくのうそですけど、1羽でも多く売るためと考えれば、なるほどと思えますよね。
(2)うさぎは病気を知らせない!
とはいえ、実際にはうさぎの「孤独死」は少なくありません。
それは、うさぎの本能的な部分と関係しています。うさぎは、外敵が多い厳しい自然環境で生き残るため、病気をして弱っていても、回りに察知されないように平静を装う特徴があります。
つまり、他の動物に比べて、外見では病気とわかりにくく、飼い主の留守の間に突然死んでしまう……そこから「寂しくさせる」→「死ぬ」となったようです。
(3)人気ドラマのセリフから…
これは由来というか、世間に広まった背景のひとつですが、大ヒットしたドラマのセリフが関係しています。
1993年に放映された「ひとつ屋根の下」がそれです。このドラマの中にあった「うさぎって寂しいと死んじゃうんだから」というセリフから広まり、この都市伝説に拍車をかける格好になりました。
(4)うさぎに水をあげると死ぬ?
うさぎにまつわる俗説を、もうひとつ紹介しましょう。それは「うさぎに水をあげると死ぬ」というもの。これは筆者が子どものころ、うさぎを飼っている家庭が多かったのですが、盛んに言われていました。
もちろん、これもウソです。
どんな生物でも水分を摂るのは生きるために重要で、うさぎとて例外ではありません。
ただ、うさぎは湿気を嫌い、水分を大量に摂ると下痢をしてしまいます。水の入った容器をひっくり返して水をかぶり、そこから体温が下がって風邪をひき、悪化しても平静を装うので、そのまま孤独死に……といこともあるのです。「死ぬ」のはウソとしても、うさぎを飼う場合、水の与え方に気をつけましょう!
4:まとめ
子どものころ、筆者もお祭りの屋台で、うさぎを買ってもらいました。そのときのセールストークはまさに「2羽飼って、友だち同士で仲良くさせてあげな」でした。そしてさらに「絶対に大きくならない」というものでした。
しかし……それはどちらも大ウソ(笑)。今思えば、昭和の時代はおおらか。うさぎは、そんなウソがまかり通る時代の愛されるペットだったのだと思います。