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子供にかかるお金の総額は?出産から大学まで…お金がかかるのはいつ?
水野 文也F.Mizuno
1:子供にはお金がかかる
幼児教育・保育の無償化など、子育て支援の政策が拡充する方向にあるとはいえ、子育てにお金がかかることには変わりがありません。
「たくさん子供が欲しいと思うけど、お金がかかるので……」と、ふたりめ、3人め以降を諦めてしまう夫婦も多いでしょう。
では実際に、子供にかかるお金の総額というのは、どれくらいなのでしょうか。
2:子供にかかるお金の総額!時期別に解説
ひと言で、子供にお金がかかるといっても、金額は時期によって異なります。乳児の時代にミルク代やおむつ代などが多くかかりますが、もちろん、この時期に教育費はかかりません。その教育費も高校、大学と年齢が上がるにつれ膨らみます。
少し古い統計ですが、内閣府がまとめた「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」がわかりやすいので、この調査結果をもとに、時期別の1年間に必要な子育ての金額をみてみましょう。
(1)乳児(0~1歳)
0歳・・・931,246円
1歳・・・878,040円
0歳時に目立つのは、生活用品費とお祝い行事関係費。生活用品は、おむつ費用などがかさむためで、その後は年々減っていきます。お祝い行事は0歳時だけが突出して多く、それ以降は大きな支出になっていません。
(2)未就学児
2歳・・・942,715円
3歳・・・1,040,577円
4歳・・・1,197,116円
5歳・・・1,159,523円
6歳・・・1,215,243円
ほぼ右肩上がりに増えていますが、これは子供が成長するにつれ食べる量が増えるので、当然のこと。その他、幼稚園に通わせればその費用、共働きの家庭では保育園に預ける保育費などがかかるようになります。令和元年10月から幼児教育・保育の無償化が始まったので、現在はもう少し抑えられているということが考えられますね。
(3)小学生
7歳・・・1,112,082円
8歳・・・1,059,791円
9歳・・・1,131,097円
10歳・・・1,152,088円
11歳・・・1,235,483円
12歳・・・1,269,053円
資料では学年で表記されていますが、(1)、(2)にあわせて年齢表記で統一しました。7歳は1年生なので、ランドセルの購入など、準備費用がかかることが考えられます。8歳の2年生が若干下がり、9歳の3年生から上がるのは、高学年にあがるにつれ、塾やおけいこなど、学校外費用がかかるため、と予想できます。
(4)中学生
13歳・・・1,527,873円
14歳・・・1,531,521円
15歳・・・1,611,802円
こちらも年齢表記に変換しています。小学生のときに比べて一気に膨らみます。中学で制服があれば、その費用もかかりますし、高校受験を控え塾通いというのもあるでしょう。子育て費用がかかり始めるのはここからが本番です。
(5)高校生・大学生
『MENJOY』の過去記事「教育費はいくら貯める?大学までの教育費の平均と教育費贈与税・無償化について」も参考にしてほしいのですが、ここからが教育費に頭を痛ませる時期です。
教育費については、以下に、幼稚園から高校までの学習費総額(学校教育費、学校給食費、学校外活動費の合計)の平均値をまとめてみました。使用したデータは平成28年度「子供の学習費調査」(文部科学省)です。
すべて公立に通わせた場合・・・約540万1000円
高校のみ私立に通わせた場合・・・約715万9000円
小学校のみ公立に通わせた場合・・・約1046万9000円
すべて私立に通わせた場合・・・約1769万9000円
大学に通う場合、これにさらに最低でも年間数十万円のお金が必要になります。
3:子供を育てるお金がない…どうする?
(1)不安なのはあなただけではない!
「子供を育てるお金がない!」……どれだけ足りないのかは人それぞれでしょうが、このことで悩んでいるのはあなただけではありません。
ソニー生命保険株式会社が行った「子供の教育資金に関する調査2019」によると、回答者1,000人のうち、「非常に不安を感じる」と答えたのが26.8%、「やや不安を感じる」と答えたのが45.8%となり、7割以上の人が不安を感じています。
教育費に不安を感じる理由のトップは58.4%の「教育資金がどのくらい必要となるかわからない」、2位は37.7%の「収入の維持や増加に自信がない」でした。
いざそうなったときにあわてないように、あらかじめ必要額を知って、それに見合った計画を立てましょう。
(2)固定費をカットして資金を用意
収入を不安の理由に挙げる人が多いように、世帯収入の伸びが期待できない時代です。なので節約が重要!
長期の高級海外旅行が趣味、というような人はさすがに我慢することが必要になりますが、ちまちました節約よりも、効果が大きいのは固定費の節約。携帯電話代、保険料、使っていないのに会費を払い続けているものなどを見直し、それを子育て費用に回すようにしましょう。じっくり洗い直せば「無駄」な出費が見つかるはずです。
(3)積もればまとまった額になる公的支援
児童手当は国の支援制度の代表的なものです。子供が中学を卒業するまで、標準世帯で3歳まで月1万5,000円、3歳以降は月1万円がもらえます。これ、総額にするとなんと約200万円。余裕があれば、そのぶんを貯蓄に回せば、高校、大学など将来の費用に備えることができそうですね。
(4)日本政策金融公庫などに相談も
「収入の維持や増加に自信がない」と思っている人が3割以上いることがわかりました。そう、子供が高校進学、大学進学中なのにリストラされてしまった……というのも聞く話。急な環境変化があった場合は、日本政策金融公庫で低所得者を対象にした教育ローン制度もあるので、相談してみましょう。
(5)将来は公的なサポートが厚くなる!?
幼児教育や高等教育の無償化など、教育費用の負担軽減についての政策は、少子化対策として政府も重点を置いており、今後も議論が活発化すると想定されています。返済義務がない給付型奨学金の拡充など公的なサポートが厚くなりそうです。今後は子育てに関する経済的な負担は軽くなっていくかもしれません。
4:子供がお金を盗む…子供にお金の使い方を教えたい!おすすめの本や教え方
財布の中のお金が知らないうちに減っている、調べたら犯人は我が子だった!などという経験をした人がいるかもしれません。そうならないためにも、お金の大切さを教えておきたいもの。どう教えればいいのでしょうか。
(1)モノの大切さと同時に教える
例えば鉛筆で遊んで折ってしまった……そうなると使えなくなります。その鉛筆が100円ならば、使えなくなった場合、100円をなくしたのと同じだというように、モノを大切に扱うこととお金の関係について話してみましょう。
(2)現金で買い物させる
クレジットカードや電子マネーで買い物をすると「つい買ってしまう」ということは大人にもよくあること。現金で買い物をさせ、持っているお金の範囲内で買う……といった予算の概念を学ばせましょう。
(3)一緒にお金に関する本を読む
子供と一緒に、お金に関する本を読んでみましょう。一緒に読むことで、子供がどれだけ理解しているかわかります。ひとつおすすめを挙げるならば、『10歳から知っておきたいお金の心得〜大切なのは、稼ぎ方・使い方・考え方』(監修:八木陽子)がいいでしょう。とても参考になる1冊だと思います。
5:まとめ
子育てが終盤に近づいている筆者にしてみれば、高等教育無償化など公的なサポートの厚みが増すのは羨ましく思います。しかし、それらを差し引いても、子供を育てるにお金がかかることには変わりがありません。かわいい子供のために頑張りましょう!
【参考】