掲載
畏怖ってどういうときに使うの?その意味と畏怖の念を抱いたエピソード
大山奏K.Ohyama
目次
隠す1:畏怖とは?恐怖と何が違うの?類語や同義語も
(1)畏怖とは
まずは畏怖の正しい意味を辞書で見てみましょう。
い‐ふ【畏怖】
おそれおののくこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
漢字のとおり、ただ「怖い」という気持ちではなく、圧倒的な立場や能力をもった人や物事に対して抱く感情です。
ちなみに「畏」の漢字には「畏まる(かしこまる)」という読み方があります。こちらも辞書で調べてみると、
かしこま・る【▽畏まる】
1 身分の高い人、目上の人の前などで、おそれ敬う気持ちを表して謹んだ態度をとる。
2 謹みの気持ちを表し堅苦しく姿勢を正して座る。正座する。
3 命令・依頼などを謹んで承る意を表す。承りました。
4 堅苦しい感じがする。窮屈である。
5 恐縮して感謝する。
6 わびを言う。言いわけをする。
7 謹慎する。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
これらの気持ちを含んだ状態で怖がることを畏怖だと思って良いでしょう。
(2)類語、同義語は?
畏怖の類語には「畏敬」「尊敬」「恐懼(きょうく)」などがあります。
「畏敬」はほぼほぼ畏怖と同じ意味ですが、畏怖は畏れた結果怖くなるのに対し、畏敬は畏れを感じた相手に対して敬う(うやまう)気持ちを持ちます。
「尊敬」は、もう少し相手が身近な人や物事だったときに感じる敬愛の念のこと。
「恐懼」という言葉は聞いたことがない人もいるかもしれません。こちらも辞書で見てみましょう。
きょう‐く【恐×懼】
1 おそれかしこまること。
2 候文の手紙の末尾に記し、敬意を表す語。
3 昔、朝廷からとがめを受け、家にこもって謹慎すること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
「恐懼のいたり」や「恐懼する」などというように使います。
どの言葉も「恐怖」とまったく違うのは、怖いという気持ちだけではなく、相手に対してリスペクトする気持ちが入っているところです。
2:畏怖嫌煙って?畏怖を使った熟語やフレーズの意味4
畏怖を使った言葉にはどんな言い回しがあるのでしょうか? 例文を含めて紹介します。
(1)畏怖の念
神や自然、あるいは王さまなど、自分の力が及ばない相手に対して「畏怖」の気持ちを感じることを「畏怖(畏敬)の念を抱く」などと表現します。
・ピラミッドは見る者すべてに畏怖の念を起こさせる。
・信じがたい光景を目の当たりにして、次第に恐怖が畏怖の念へと変わってきた。
・長い時間畏怖の念を持って稲妻の光を眺めていた。
(2)畏怖嫌煙
「嫌煙(けんえん)」とは、物事や相手に対して嫌がり、それを態度で示すことを言います。なので、「畏怖嫌煙(いふけんえん)」は畏れ怖がりながらも、それを嫌がることを指します。この言葉は中島敦の短編小説『山月記』の中に登場したことで有名です。
・自分が姿を現せば、必ず君に畏怖嫌厭の情を起させるに決っているからだ。
(3)畏怖する
畏怖というのは、「畏怖する」として、そのまま動詞の形にして使うこともできます。
・日本では蛇を神の類として畏怖していた。
・天皇の姿を間近に見て畏怖した。
(4)畏怖感
畏怖する気持ちのことを「畏怖感」ともいいます。
・神社に対して畏怖感を持っている。
・自然の驚異に畏怖感を持たざるを得なかった。
3:畏怖はこういうときに使う!畏怖の念を抱いたエピソード3つ
実際には人はどんなときに畏怖の念を覚えるのでしょうか。男女にリサーチしてみました。
(1)グランドキャニオンで
「30代で初めてアメリカに夫婦で旅行したときに、車を借りて、グランドキャニオンを見に行ったんです。想像したよりもすごかったですね。感動しすぎて言葉が出なかったですね。ものすごく圧倒されて、怖くて、でもカッコいい。こういうのを畏怖の念って言うんだと初めて実感した瞬間でした」(Nさん・52歳男性)
(2)天皇祝賀のパレード
「令和になって、天皇祝賀パレードを見に行きました。新しい天皇皇后さまを間近に見ることができて、畏怖感を覚えました。時代が変わる瞬間をその場にいる人みんなで感じたってのもあるでしょうが、なんか鳥肌が立つ経験でしたね」(Mさん・34歳女性
(3)京都の伏見稲荷神社で
「京都の伏見稲荷神社に姉と一緒に旅行したとき、神社についてすぐ、それまで晴れていた空がいきなり曇って雷雨になったんです。突然のことでとりあえず屋根のある場所で待っていたら、15分くらいで晴れて空に虹がかかって。そういうちょっと不思議な体験をすると、いつも神さまとか仏さまに対する畏怖の念を感じずにはいられないです。やっぱり本当にいるんだなって」(Kさん・35歳女性)
4:畏怖を英語で言うと?
畏怖を英語で表現したいなら「awe」(畏怖・畏敬)を使います。
例えば、「私は自然に対して畏怖の念を感じる」というなら、「I’m in awe of nature.」と言います。
ちなみにこの「awe」という単語は、よく素晴らしいものに出会ったときに使われる「awesome」にも含まれていますね。
また、どちらかというと「恐れ」を強調したい場合は、「fear」を用いたほうがしっくりくるかもしれません。
5:畏怖の感覚は大事?
畏怖の念って、あまり普段から感じることがない感覚だからこそ、抱くことがあれば忘れられない経験になるでしょう。人や自然に対して畏怖や畏敬の念をいつも忘れないでいることも大事ですよね。