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離婚調停とは?調停の流れから必要書類・不成立になる理由まで

並木まき

並木まきM.Namiki

目次

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1:離婚調停とは?

「離婚調停」とは、家庭裁判所で行われる離婚に関する話し合いのことで、正式名称は「夫婦関係調整調停」と言います。夫婦だけの話し合いとは異なり、家庭裁判所に出向いて行い、調停委員を挟んでの話し合いになります。

離婚調停では、離婚をするかどうかという根本的な話し合いのみではなく、親権や慰謝料、財産分与など離婚に関わる物事一切を話し合うことが可能です。

2:離婚調停の流れ5つ

(1)調停を申し立てる

離婚調停を利用したい場合は、申し立てが必要になります。基本的には離婚の意思がある方が、家庭裁判所に夫婦関係調整調停を申し立てます。

申し立てを行う場所は、相手の住所地を管轄する家庭裁判所となります。すでに別居していて相手方が遠方に住んでいる場合であっても、相手が住んでいる場所の家庭裁判所に申し立てる必要があります。

ただし、相手が合意している証明書を作成できれば、お互いが合意して指定した家庭裁判所で調停を申し立てることができます。

(2)第1回目の期日が決まる

後ほど詳しく説明する「夫婦関係等調整調停申立書」の書式に必要事項を記入します。必要書類をすべて提出してしばらくすると、家庭裁判所から調停期日を調整するための通知が届き、それに返信をすると、さらにしばらくしてから第1回目の期日が書かれた通知が届きます。

最初の期日は申し立てから1か月から2か月後になるでしょう。

(3)調停での話し合いは、夫婦が交互に入室する

調停は、同日同時刻に夫婦双方が呼ばれますが、調停委員のいる部屋へは一緒に入室することは原則としてありません。調停の最終日に、裁判員が決定事項を読み上げるとき以外は、夫婦はそれぞれに、調停委員に対して自分の考えを述べたり、主張をおこないます。

(4)相手が調停委員と話している間は、待合室で待機する

相手方が入室している間、もう一方は待合室で待機します。弁護士を依頼していれば、この時間を弁護士との打ち合わせに使うこともできます。

30分程度話し終えたら、待合室に戻ります。その後、相手方が呼び出され、調停室にて同様に話を行います。これを2往復くらい繰り返しますが、一度にかかる時間は2時間程度が多いようです。ただし、話し合いの内容が多い場合には、お昼すぎからはじめて夕方までかかることもあります。

(5)次回の期日を決める

何度か双方が入室し、考えや主張を述べたあと、その場で結論が出なければ次回の期日を決定します。

多くのケースでは、申立人と相手方が2回ずつ話を聞いてもらったところで期日終了となり、次回期日を決めて解散するということに。申立人が2回目に入室した段階で次回期日を決め、申立人が先に帰宅するというケースもあります。

なお、調停委員は裁判所から選ばれた人が担当し、申立人が自由に選ぶことはできません。

3:申立書とは?離婚調停に必要な書類5つ

(1)夫婦関係等調整調停申立書

上述したとおり、離婚調停には申立書が必要になります。これは、「この人との夫婦関係を調整したい(つまり、離婚したい)ので、よろしくお願いします」といった内容を正式に伝えるための書面です。

裁判所のWEBサイトからダウンロードもできます。

(2)夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)

裁判所に上述した「夫婦関係等調整調停申立書」とともに提出します。

(3)年金分割を申し立てる場合には「年金分割のための情報通知書」

離婚調停にて、年金分割を申し立てる予定がある場合には「年金分割のための情報通知書」も一緒に提出します。

発行日から1年以内のものが必要で、請求手続については、年金事務所、各共済組合または私学事業団の窓口に問い合わせます。

(4)収入印紙

後述しますが、離婚調停の「夫婦関係等調整調停申立書」には、提出する際に収入印紙を貼る必要があります。金額は1,200円分です。

(5)連絡用の郵便切手

裁判所からの連絡用に使用する郵便切手も必要です。金額は裁判所によって異なるため、申立てをする裁判所に問い合わせをしておくと安心でしょう。

4:離婚調停にかかる費用は?

「離婚調停」そのものにかかる費用は定額で、前述した「収入印紙1,200円」と、裁判所連絡用の郵便切手代しかかかりません。

ただし弁護士に依頼した場合には、弁護士費用が発生します。着手金の相場は30万円前後です。

5:離婚調停にかかる期間は?

離婚調停にかかる期間は、非常に個人差があります。

調停は話し合いの場なので、話し合いがまとまれば早期決着が望める一方で、話し合いが難航すれば、それだけ期間がかかります。

長くかかる場合では、何度も裁判所に足を運び、1年程度かけて調停をしているケースも珍しくありません。

6:離婚調停が不成立になる理由は?

離婚に関する話し合いがまとまらない場合には、調停は「不成立」となります。

離婚すること自体については双方合意していても、条件で折り合いがつかない場合に「不成立」となるパターンも散見されます。

7:離婚調停で親権を取るために必要なことは?

子供の親権を取りたい場合には、相手方が合意してくれれば問題ありませんが、双方が親権を主張している場合には、話し合いがドロ沼化しがちです。

もっとも重視されるのが、これまでの監護状況。つまり、どちらがより主体的に子どもの面倒をみてきたのかという点です。裁判所としては、離婚後も離婚前となるべく同様の環境にいられるようにすべきと考えます。

子どもが幼い(特に乳児や幼児の)場合は、母親が親権を持つことが適当と見なされる場合が多いですが、15歳以上の場合には、裁判所で子ども自身の意見を聞く機会があり、子ども自身の意思が基本的に尊重されることとなります。

8:離婚調停は話し合いの場

離婚調停は、文字どおり「調停」なので、裁判をする場ではなく、話し合いをする場です。

よって、どちらが「正しい」「正しくない」といったジャッジメントをするのではなく、双方がお互いに主張したところから歩み寄り、結論を出すための場と考えておくといいでしょう。

どちらも一歩も譲らなければ調停は不成立になりやすいでしょう。調停の場で離婚を成立させるためには、相手の主張にも耳をかたむけ、双方が合意しやすい妥協点を見つけていく心がけも大切です。