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名誉棄損罪をわかりやすく解説!成立する条件と加害者になる行動

並木まきM.Namiki

目次

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1:条文は?名誉棄損罪とは?

まずは、アトム市川船橋法律事務所弁護士法人の代表弁護士である高橋裕樹さんに、名誉毀損の条文や罪の内容を解説していただきました。

高橋:「不特定多数の人が見聞きできるような状態で他人の社会的な評価を低下させるような事実を発言・発信等をすると、名誉棄損罪(刑法230条)となり、3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金となります。

また、民事上の不法行為責任を負うことにもなり、慰謝料の支払義務を負ったり、さらに謝罪広告等の名誉回復措置を取らなければならなくなります(民法709条、723条)」

名誉棄損罪が成立する最初のポイントとなるのは「不特定多数が見聞きする状態」であること。つまり、誰も聞いていない中で、友達や恋人どうしなど、ふたりで大喧嘩して罵り合った場合。たとえ相手に侮辱されるようなことを言われたとしても、それは名誉棄損罪にはなりません。社内で上司に罵倒されるというケースでも同様です。

一方、SNSなどに「〇〇さんは××さんと不倫している」などと書いた場合、たとえそれが本当のことであっても、相手から名誉棄損罪で訴えられる可能性があります。

2:公益性とは?名誉棄損罪の成立要件

続いては、名誉毀損罪が成立する要件について、引き続き高橋弁護士に教えていただきます。

高橋:「例えば政治家などが、思想的・宗教的な発言や、交友関係等の情報などが週刊誌などに記載されることがあります。このような記載は、場合によっては公然とその政治家の社会的な評価を低下させることになるため、名誉棄損には該当します。しかし、このような表現行為すべてを処罰対象にしてしまうと表現の自由(憲法21条1項)が守られません。

そこで、以下の条件が満たされる場合は、名誉棄損に当たらず、刑罰も慰謝料請求も受けないこととされています(公共の利害に関する場合の特例、刑法230条の2)。

①公共の利害に関する事実を

②専ら公益を図る目的で表現した場合

③その事実が真実であった場合

なお、相当な調査をして、事実を真実であると誤解をしたような場合も、名誉棄損の故意がないとして処罰されません」

3:名誉棄損罪の加害者になってしまう可能性のある行動3つ

続いては、日常生活でやってしまう可能性がありながら、名誉毀損罪の加害者になるリスキーな行為を教えていただきました。

(1)出所のわからない情報(事件の犯人特定情報、あおり運転動画など)のツイートやリツイート

高橋:「これは実際に逮捕者が出たり、慰謝料請求の裁判になっています。ウワサのウワサなどといった、どこから発生した情報かわからないことについてツイートするのは避けるべきでしょう。また、リツイートしただけで加害者として訴えられるケースもあります。気軽にできてしまうリツイートですが、慎重になりましょう」

(2)他人のSNS投稿への人格攻撃的・批判的なコメントをする行為

高橋:「SNSや掲示板などは匿名のものが多いので、自分が書いたことはバレないと高をくくっている人が多いようですが、それは誤った認識です。

書かれた被害者は、運営会社に対してコメント等の削除要請だけでなく、匿名で投稿した人のアカウント情報(氏名・住所等)を裁判所などを通じて開示するよう求めることもできます」

(3)ネット掲示板などに実名を挙げて投稿する行為

高橋:「上と同様ですが、自分が書いているとは誰にもバレないと思って、相手の実名をあげてSNSやネット掲示板などで非難することがあるようです。実名をあげていなくても、伏字を使ったり、特徴などからその人が簡単に断定できる場合も、相手から訴えられる可能性が十分にあります」

4:名誉棄損で訴える方法は?

名誉棄損罪は親告罪です。つまり被害者が訴えない限り成立しません。では、どのように訴えればいいのでしょうか。教えてもらいました。

高橋:「まずは名誉棄損罪の被害者として、刑事告訴や被害届を出すことが第一歩だと思います。

さらに、名誉棄損による慰謝料請求を求める民事裁判を起こすことで、加害者側を追い詰めることができます。なお、ご説明したとおり、SNSや掲示板の運営会社に情報開示を求めらるので、加害者が匿名だからといって諦める必要はありません」

社内で悪いウワサを流された、SNSなどで名誉棄損の被害を受けた、といった場合には、まずは弁護士に相談してみましょう。初回相談無料という弁護士事務所も多いです。

5:名誉棄損で慰謝料はとれる?

名誉棄損で相手を訴えた場合、慰謝料はどれくらいとれるのでしょうか。同弁護士に実情をうかがいました。

高橋:「名誉棄損の事実関係の立証ができて、なおかつ加害者側が公共の利害に関する場合の特例に該当することの証明ができなければ、加害者に慰謝料の支払いを義務付ける勝訴判決を受けられる可能性は高いと思います。

もっとも、SNS等で誹謗中傷されたようなケースの慰謝料は、10万円から高くても50万円程度です。

これに対して、弁護士費用は少なくとも30万円以上はかかるでしょう。ですので、弁護士に依頼するかどうかは慎重な判断が必要だと思います」

6:「名誉毀損罪」は生活に身近なもの

「名誉毀損罪」と聞くと、自分とは関係のない世界の話だと感じる人も多いはずです。しかし、ご紹介したように、SNSなどインターネットの普及に伴い、生活の身近なところにも「名誉毀損罪」のタネはたくさん存在しています。

知らないうちに加害者にならないよう、日ごろから行動には気をつけておくに越したことはないでしょう。

取材協力高橋 裕樹弁護士

アトム市川船橋法律事務所弁護士法人  代表弁護士。岩手県盛岡市出身。2008年(平成20年)弁護士登録。千葉大学法経学部法学科卒業。