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オーガズムに導く70歳の「イカせ屋」に会いに行った美人女医【第4話・前編】―シンデレラになれなかった私たちー

毒島 サチコS.Busujima

ケース3:彼氏よりもイカせ屋のおじいさんを選んだハイスペック女性

名前:あやの(30歳・医師)

山口県から大学進学とともに大阪へ。現在は大阪の大学病院で、整形外科医として働いている。

「イカせ屋って知ってる?」

私がその存在を知ったのは、昨年のこと。勤務先の病院での、女性メンバーだけの忘年会でした。

会も終わりに近づき、「イッたことがあるか」という、女性ならではの飲み会終盤の下ネタトークに突入したときのことです。

「ねえ、あやのちゃんは、イカせ屋って知ってる?」

突然、ほろ酔い状態だった私に、尊敬するベテランの整形外科医の先生がそう言いました。

「私、月イチくらいで通ってるのよ~」

少し秘密めいた口調で話し始めたその先生は、40歳を過ぎても肌が20代のようにつやつやで、男が切れない美人。私は、その先生のように、いつまでも美しく、そしてバリバリと仕事をする女性でいたいと思っていました。

そんな先生から発せられた「イカせ屋」という言葉に、私は戸惑いました。

他のメンバーは、そんな私の反応を見て、ふくみ笑いをうかべています。どうやらみんな、その存在を知っていたようです。

「それ……なんですか? 女性をイカせてくれる男性ってことですか? それとも道具か何か?」

「ううん、70歳のおじいさん(笑)。一回3万円で、イカせてくれるの。次の日から、頭痛が取れて楽になるのよ」

「!!!!! 」

……私は驚きのあまり、ハイボールを右手に持ったまま、言葉を失ってしまいました。 

確かに、近年の研究では、女性がオーガズムに達すると、偏頭痛が軽くなるといった研究結果も出ています。でも、相手が70歳のおじいさんだなんて……。

「めっちゃびっくりするよね(笑)。でも本当なの」

どうやら、「イカせ屋」は、一部の女性の間では有名で、多忙でありながらも、美容に気を使うモデルや経営者の女性に、絶大な支持を得ているそう。指をつかって女性をオーガズムに導くことを専門にしている男性のことだそうです。

70歳のおじいさんが自らの指を使って「治療」として、女性をオーガズムに導く……。そんな都市伝説みたいなこと、あるわけない……。だって、ただの変態ジジイじゃん……。

それに私は、「イカせ屋」と聞いても、ピンときませんでした。

なぜなら、オーガズムや絶頂、つまり「イク……」ということがどういう状態のことを指すのか、私にはそのときはまだ分からなかったからです。

マッチングアプリで出会った彼

その話を聞いたとき、私は、マッチングアプリでできた彼氏と別れたばかりでした。

医師として働く私は、忙しくも充実した日々を送っていました。医師になって以来、彼氏と言える男性もおらず、二十代も後半にさしかかり、「そろそろ将来を考えられる彼氏が欲しいな……」と考えて、マッチングアプリを使い始めました。

出会った彼は、保険会社に勤める30代の男性。19時の定時には仕事が終わる彼と、ゆっくりと時間をとることはむずかしく、付き合いはじめて一か月たったころには、生活リズムの違いからすれちがいが多くなり、そのまま、別れてしまったのです。

恋愛の「正解」って?

私の恋愛は、いつも短命でした。相手のことが嫌いになるわけでも、反対にむこうから別れを切り出されるわけでもない。なんとなく、終わってしまう。

私の中で、恋愛の優先順位がいつも低いのです。

それは恋愛に対してこんな考え方があるから。

通常、恋愛は付き合うまでに、何度もデートや、やりとりを重ねなくてはいけません。そして多くの時間とお金を費やし、やっと付き合えても、そこからお互いの価値観を探り、にじりよっていかなければなりません。

さらに、仮にセックスしたとしても、体の相性が合うかどうかもわからない。

長い時間をかけて付き合い、性格や体の相性が合うなんて、……まるで勝ち目の少ない大きな賭けのような気がしてしまうのです。

実際、別れた彼とも何度かセックスしましたが、はたしてそれがいいものなのか、それともあまりよくないものなのか、わからないままでした。

それに、私には、常に自分自身の体に対してのコンプレックスがありました。

「胸が小さいと思われたらどうしよう」「イクふりがバレたらどうしよう……」などと心配してしまい、セックスに集中できないのです。

結局、それが直接的な原因ではないものの、「生活リズムの違い」というところでお別れすることになってしまうのです。

先輩からの衝撃の告白から数日間、わたしは「イカせ屋」のことが頭から離れませんでした。

仕事も人生も充実させたい。恋愛やコンプレックスが重荷になって、男性と距離ができてしまったら、もうひとつの、女性としての幸せも遠ざかってしまうのではないか……。

そんな私にとって、「イカセ屋」の存在は、女性にとっての、ある種前向きな選択肢であるように思えたのです。

「先生、イカせ屋について詳しく知りたいです。その男性にはどこで会えますか?」

気づけば私は、いつの間にか先生にLINEをしていました。

そして「イカせ屋」に会いに行く

「私も、一回だけ試してみたくて……」

私は「イカせ屋」に会いに行くことを決めました。

これは「治療」だ。

医師である私には、そんな気持ちがどこかでありました。

女性がオーガズムに達することで、身体にいい影響があるということは、科学的にも実証されているのです。

何度か先生とやりとりを重ねた後、「イカせ屋」の連絡先を聞いて、すぐに私は、予約を取りました。

数日後……指定されたのは、とある高級ホテルのロビー。

病院じゃないんだ……。

私は、かなり驚きましたが、紹介してくれたのは、私の尊敬する先生です。

ドキドキしながらホテルのエントランスで「イカせ屋」を待ちました。

どんな男性なんだろう……。

変な宗教とかだったらどうしよう……。

いくら尊敬する先生からの紹介だとはいえ、不安はありました。

「あやのさん……ですか?」

ホテルのエントランスにある喫茶店の椅子に座り、コーヒーを飲みながら、ぐるぐると考えていると、私を呼ぶ、女性の声がしました。

うつむいている私に声をかけてきたのは、70歳の男性ではなく、感じのいい30歳くらいのショートカットの女性だったのです。

私は一瞬、ほっとしてしまいました。

「……はい」

私は小さく返事をすると、その女性は「緊張してるよね。みんな最初はそうなの」とニコッと笑って言いました。

「では、先生の所に案内します」

そう言い、私は、ホテルの一室に通されました……。

 

―後編へ続くー

 

筆者プロフィール

毒島サチコ

photo by Kengo Yamaguchi

愛媛県出身。学生時代から恋愛ライターとして活動し、「Menjoy!」を中心に1000本以上のコラムを執筆。現在、Amazon Prime Videoで配信中の「バチェラー・ジャパン シーズン3」に「妄想恋愛ライター・永合弘乃(本名)」として参加。

 

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「どうして私と別れたの?」元彼が語ったサヨナラの理由【第1話・前編】

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次回:2020年1月4日土曜日 更新予定

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