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衆道とは?その歴史とおすすめの小説

槻谷岳大T.Tsukitani

目次

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1:衆道とは?その語源も

衆道とはいつごろからあったものなのでしょうか? 辞書をひくと、

しゅ‐どう【衆道】

男色。しゅうどう。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

といった表記があります。

女性がいない世界で、男性が性欲を処理する方法として、衆道が発展していったといわれれば、理解はできるのではないでしょうか。例えば十戒で「姦淫(同性愛含む)」が厳罰とされていたユダヤ教や、初期キリスト教などに比べれば、日本には性に対して寛容な文化であったともいえます。

衆道はもともと「若衆道」といい、その名のとおり、上下関係のある武士の間で行われることが多くなっていったようです。禁欲的な武道の世界において、兄弟子と弟弟子の間の厳格な関係が、やがて現代における恋愛関係のようなものに発展するということが、当時は多くあったそう。

歴史的人物の中でも、男色であったといわれている有名人はいます。例えば織田信長。小姓の森蘭丸は衆道の相手であったといわれていますし、重臣だった前田利家もそうであったのではないかといわれています。見方によっては、森蘭丸や前田利家が、出世するために、衆道を利用した側面もあるのかもしれません。

 

2:新選組もそうなの?衆道の歴史豆知識

(1)幕末までは普通に存在していた

そんな衆道は、幕末までは残存していたようで、京都で活躍した新選組の間でも男色があったという記録があります。

大島渚監督の遺作となった映画『御法度』(1999年公開)は、新選組内での複数の男性たちの間に起こった衆道の様子を描いた作品です。

この映画で衝撃的なデビューを飾ったのが、美男で剣術に優れた加納惣三郎役を演じた松田龍平さん。新入隊員として新選組に入り、浅野忠信さん演じる同期入隊の田代彪蔵によって、衆道の世界へ引き込まれます。

最初は拒んでいた加納もやがて衆道にのめり込み、他の隊員を誘うまでに。やがて新選組の統制を乱したとして、ビートたけしさん演じる土方歳三と武田真治さん演じる沖田総司によって粛清されるまでが描かれています。

(2)明治以降は取り締まりの対象に…

江戸末期まで残っていた衆道は、明治維新から近代にかけて急速に減少します。その理由は、欧米文化の流入により明治政府が取り締まりに動いたこと(一時的に「鶏姦罪」として刑事罰が処せられた時期もあった)といわれています。

また、江戸時代の一時期からの人口構成における男性過多の偏り(例えば1721年には江戸町民50万人のうち、男性は32万人だったのに対して、女性は18万人しかいなかった)が、女性の都市進出に伴って解消されたことなども挙げられています。

 

3:衆道のおすすめ小説4

日本の歴史の中で長い期間存在した衆道は、さまざまな創作物にも登場します。その一部をご紹介します。

(1)『新選組血風録』司馬遼太郎

新選組を描いた作品の短編集で、ここに収録の「前髪の惣三郎」と「三条磧乱刃」が、先ほどご紹介した映画『御法度』の原作です。

(2)『本能寺』池宮彰一郎

信長の生涯を描いた歴史小説です。衆道そのものがテーマではありませんが、作品の中で、森蘭丸との男色を伺わせる描写などが登場します。

(3)『男色大鑑』井原西鶴

江戸時代初期、浄瑠璃や浮世草子の人気作家だった井原西鶴が、衆道をテーマに描いた短編集。衆道が当時の日本社会において根付いていたことが良くわかる、文芸的価値の高い作品と評価されている古典です。近年、KADOKAWAのボーイズラブコミックスで、BL漫画化もされています。

(4)『仮面の告白』三島由紀夫

武士の衆道を描いたものではありませんが、男色をテーマとした不屈の名作としてこれも紹介しておきましょう。三島由紀夫が自分自身の男色の気に気づき、普通の恋愛ができない葛藤を描いた私小説です。衆道を理解する一端にもなるでしょう。

 

4:まとめ

現代の感覚からすると、日本において、これほど衆道が社会に広まっていたことを想像するのは難しい部分もあるかもしれません。しかし現在も 「自由な意思」 により同性愛を選択される人もいて、社会としても価値観の多様性を尊ぶ風潮があります。

そういった意味でも、衆道の文化を知ることは意味のあることといえるかもしれません。