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「どうして私と別れたの?」元彼が語ったサヨナラの理由【第1話・前編】ーシンデレラになれなかった私たち ー

毒島 サチコS.Busujima

ケース1:元彼にサヨナラの理由を聞きに行った女性

名前:ミカ(29歳・図書館司書)

大学進学とともに、石川県から上京。大学時代に付き合っていた彼氏、カズヤ(カズチン)のことをいまだ忘れられない。

「謝りたい」元彼から突然のメッセージ

カズチンから、インスタグラムのダイレクトメールを通して連絡があったのは、昨年のことでした。

実際のメッセージ ※インカレ 大学の全国大会の略

「あの時はすみませんでした」ってミカちゃんに謝りたいです。笑

7年ぶりの連絡でした。

心臓がバクバクと高なるのを感じました。

だってカズチンは、私が29年生きてきた中で、いちばん好きだった人だからです。

初めての東京。初めての彼氏。

19歳、はじめての彼氏がカズチンでした。

私は、石川県から上京してきた田舎娘。

カズチンは同じ大学に通う同級生で、全国大会に出場する競泳の有望な選手でした。しかも生まれも育ちも東京で、とても大人びて見えました。

私も高校まで水泳をしていたという共通点があって、意気投合。

出会って1か月くらいしたころ、私が「好きかも〜」と酔っぱらって告白すると、「んじゃ、付き合う?」と軽いノリで交際がスタート。

歴代彼女が、彼のことを「カズくん」「カズヤ」と呼んでいたと知って、私は彼を「カズチン」と呼ぶことに決めました。

カズチンはいつもシンプルな黒のTシャツの上にパーカーをはおり、サンダルをひっかけて校内を歩いていました。その、ラフな感じがたまらなく好きでした。

会えるのは決まって、カズチンの部活が終わったあと。

私は自分の講義が終わると、本屋さんで立ち読みをして、一緒に見るレンタルDVDを探しながら、カズチンからのメールを待っていました。

私が借りるのはいつも恋愛映画ばかりで、カズチンはすぐ寝てしまいましたが、『タイタニック』を見たときばかりは大号泣して、何度も見ました。

当時、私の恋愛ソースは、恋愛映画と少女漫画。

「初めての彼氏が結婚相手」というよくある設定を、カズチンとなら実現できると本気で信じていました。

「卒業して、就職したら結婚しようね」

私は何度も、カズチンにそう言いました。

カズチンはいつも優しく笑って、うなずいてくれました。

いちばん好きだった人に告げられた「突然の別れ」

「別れたい。もっと競技に集中したくて……」

唐突にそう言われたのは、つきあい始めて2年たったころ。

カズチンは、1か月後にインカレ(全国大会)を控えていて、それが終わったら、ふたりで海外旅行にいこうと話をしていたときです。

カズチンのアパートの近くのマクドナルドに着いたとき、カズチンは先に席についていて、コーヒーを何杯もおかわりしていた様子でした。

突然の言葉に、私は激しく動揺しました。

「競技の邪魔はしない」

「せめて、理由を教えてほしい」

泣きじゃくる私を前に、カズチンは飲みかけのコーヒーカップを見つめたまま、ずっとうつむいていました。

「別れよう。ミカにはもっといい人がいるから」

最後の言葉は、今も耳にこびりついています。

カズチン以外に「いい人」はいないと信じていた私には、その言葉の意味が、わからなかったのです。

失恋のショックで…

突然の別れを告げられたショックで、私は1か月以上大学を休みました。

化粧もせず、マネキン人形みたいな顔で、カズチンが住んでいるアパートのまわりをさまよい歩きました。

「今、駅前のマックにいるんだけど、会えないかな?」

何度も何度も、携帯で連絡しました。でも、返信はありませんでした。

私にとっては、大学生活のすべてが、カズチンと過ごした時間。ぽっかりとあいた時間をなんとか埋めたくて、私は高校生からの夢だった図書館司書の資格を取ることにしました。

それから卒業まで、カズチンとは一度も話すことはなく、たまにすれ違っても、気まずそうにうつむくだけでした。

私も、声をかけることはできませんでした。

猛勉強の末、私は資格を取得し、卒業後、図書館司書として勤めることになりました。

私は社会人になってからも、カズチンのことを忘れられませんでした。

でも、27歳のとき、職場で出会った男性と結婚して、娘を授かりました。

7年ぶりのダイレクトメッセージ

そんなカズチンからインスタグラム経由で7年ぶりに連絡がきたのです。

私は胸が高鳴るのを抑えられずに、返信しました。

「元気にしてる?」とか「結婚したらしいね。おめでとう」とか、よくある元恋人同士のやりとりが続いたあとに、

「試合に出るから見に来ない?」

思いがけないメッセージに、返信する指が止まりました。

7年ぶりに「会いたい」というカズチン。

結婚しているのに、元カレに会いに行こうとしている私。

「もしあのとき、別れていなかったら、今も私はカズチンといたかもしれない……」

そう思ってしまうこと自体が、ダメなことだとはわかっています。でも「ありえたかもしれない人生」を思い浮かべてしまったのです。

私は、カズチンに会いに行くことを決めました……。

 

ー後編に続くー

 

筆者プロフィール

毒島サチコ

photo / Kengo Yamaguchi

愛媛県出身。学生時代から恋愛ライターとして活動し、「Menjoy!」をはじめ、WEBメディアを中心に1000本以上のコラムを執筆。現在、Amazon Prime Videoで配信中の「バチェラー・ジャパン シーズン3」に「妄想恋愛ライター・永合弘乃(本名)」として参加。

前回はコチラ→妄想恋愛ライター・毒島サチコが書く「選ばれなかった人」の物語。【連載】シンデレラになれなかった私たち

 

次回:11月23日土曜日 更新予定

「どうして私と別れたの?」元彼が語った「サヨナラ」の理由【連載】シンデレラになれなかった私たち ー第一話ー(後編)