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未婚率の推移は?日本の30代・40代の未婚率と生涯未婚率

水野 文也

水野 文也F.Mizuno

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12030年にはどうなる?日本の未婚率の推移と予測

かつての日本は、未婚率はそれほど高くない……というより、今から考えると、信じられないくらい低かったのです。

厚生労働省の施設等機関である国立社会保障・人口問題研究所の統計(「人口統計資料集(2017)」)によると、バブル期以前の1980年まで、生涯未婚率は男女ともに5%以下で推移。1970年の数値は男性が1.7%、女性が3.3%と、結婚していない成人はむしろ珍しい存在でした。

ところが、1990年代以降、状況は一変します。急激に未婚率は上昇し、直近の2015年時点で、男性は23.37%、女性は14.06%となりました、同研究所の予測では、2030年を迎えるころには、男性が27.6%、女性が18.8%まで上昇すると発表しています。

 

2:日本の30代、40代の未婚率とその原因

(1)3034歳の3人にひとりが未婚!

未婚率を性別に年代別でみてみましょう。

2015年のデータによると、30代前半(3034歳)では、男性はおよそふたりにひとり(47.1%)、女性はおよそ3人にひとり(34.6%)が未婚です。また30代後半(3539歳)では、男性はおよそ3人にひとり(35.0%)、女性はおよそ4人にひとり(23.9%)が未婚となっています。

40代になると未婚率はやや減少しますが、それでも、40代前半(4044歳)では、男性が30.0%、女性が19.3%、40代後半(4549歳)では、男性が25.9%、女性が16.1%となっています。

(2)女性の社会進出により、90年代から未婚率は急上昇

1970年は3539歳で男性が4.7%、女性が5.8%といずれも1ケタでした! これが急激に上がるのは1990年以降。2000年になると、男性が26.2%、女性が13.9%と、それぞれ急激に上昇しています。

未婚率は、最近でこそ横ばいで推移するようになりましたが、なぜ、このように未婚率が高くなったのでしょう。

そのヒントになるのは、上昇カーブを描くようになった8090年代に起きた出来事。1986年、男女雇用機会均等法(正式名称:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)が施行され、仕事上の男女格差が法律上なくなりました。

この法律と前後して、「女性は家庭に入り子育てをする」という価値観が薄れる一方、完全ではないにせよ、徐々に女性が働きやすい環境が生まれ、その結果、結婚よりも仕事を優先させる女性が増えていったと考えられます。

たびたび女性の社会進出が未婚率上昇の背景にあると言われますが、子どもを産むタイムリミットを意識して結婚を考える女性が多かった時代から、社会全体の価値観が大きく変化したことが、未婚率上昇の大きな要因と言えるでしょう。

 

3:男性のほうが多いのはなぜ?男女の生涯未婚率と算出法

(1)経済の悪化も関係

もうひとつの大きな出来事、これは男性の未婚率上昇に関ってくるものですが、バブル期以降の経済低迷も見逃せません。

企業の終身雇用が怪しくなり、長らく続いたデフレ経済により、給料は頭打ちに……。男性の経済力の低下は、「給料を奥さんに取られる」「少ない給料で妻子を養わないといけない」などなど、結婚に対してネガティブな感情を強くさせたのかもしれません。

(2)男性人口のほうが多い

また、単純な問題として、人口構成で男女比は3034歳、3539歳のいずれも、女性100に対して男性102.4と、男性のほうが多いという現実があります。これもまた、男性のほうが女性よりの未婚率が高い要因のひとつと考えられるでしょう。

(3)そもそも生涯未婚率とは?

この項の最後に、生涯未婚率について説明しましょう。これは、死ぬまで一度も結婚しない人の割合ではありません。将来的に結婚する可能性が低いと考えられる、50歳の時点で一度も結婚したことがない人の割合です。これを、生涯未婚率を考える基本データとして用いているのです。

なお、その算出方法ですが、男女ともに4549歳および5054歳の未婚率の平均値から計算します。

しかし現在は、「50歳で結婚していないからといって、生涯未婚と決めつけるのは失礼なのではないか」という反発が広がり、国の公式データからは、「生涯未婚率」という言葉はなくなりました。

 

4:都道府県別未婚率

次に、都道府県別で生涯未婚率をみてみましょう。

まずは男性から。生涯未婚率が最も高いのは沖縄県(26.20%)で、次いで岩手県(26.16%)、東京都(26.06%)の順で続きます。

一方、女性の生涯未婚率トップは東京都(19.20%)で、次いで北海道(17.22%)、大阪府(16.50%)が上位に入りました。

東京都がいずれも高いのは想定どおりといった感じでしょうか。

また、低い都道府県としては、福井県(男性3位、女性1位)と滋賀県(男女とも2位)が目を引きます。

 

5:まとめ

未婚率の背景に、男性の経済力の低下や女性の社会進出があることがわかりました。

ときどき、政治家による出生率を憂う発言がなされ、その是非について、ワイドショーなどで物議をかもし出しますが、そもそも少子化対策には、未婚率を減少させる必要もあり、そのためには景気の安定的な向上や、子育てと仕事が両立できる環境づくりなど、政治がやるべきことをしっかりやらないと、問題は解決しないでしょう。