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離婚における慰謝料の相場が知りたい!精神的苦痛や旦那の浮気で離婚する場合は…

並木まき

並木まきM.Namiki

目次

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1:年収別で変わる離婚の慰謝料と養育費の相場3つ

離婚に際して発生する慰謝料や子どもの養育費。それらはどのくらい年収の影響受けると思いますか?

現在の日本の場合、年収の多い少ないは、慰謝料の請求額に関係ありません。一方、養育費に関しては、算定表に照らし合わせる際にかかわってきます。

年収が少ないために慰謝料の請求額を少なくしなければいけないということはないのです。また、年収が多いからといって、多額の慰謝料を支払らう義務が発生するわけでもありません。慰謝料に関しては、要は、誠意の問題ということです。

なのでここはケースバイケース。その現実を把握するため、離婚して慰謝料・養育費が発生した人たちに、実情を聞いてみましょう。

(1)夫の年収300万円・離婚原因は夫の浮気/未就学の子どもひとりのケース

「夫の浮気が原因で、協議離婚をしました。当時の夫の年収は300万円ほど。子どもはまだ3歳でした。

慰謝料は100万円、養育費は算定表に基づいた額で合意し、今は月額3万円をもらっています」(29歳女性/飲食)

(2)夫の年収500万円・離婚原因は夫の借金/7歳の子どもひとりのケース

「もともと性格の不一致を感じながら生活をしていましたが、夫に隠れた借金が発覚し、それが直接の原因となって離婚しました。

お金のない人からは何も取れないと腹をくくり、慰謝料はゼロ。養育費についても、借金返済に無理のない範囲にしないと結局取りっぱぐれると思ったので、月額5万円を18歳までもらう約束で別れました。

しかし、養育費の支払いはすでに滞っています。私もフルタイムで働いているので、そもそも元夫からの養育費はあまりアテにはしていませんでしたが、呆れています」(44歳女性/外資系コンサルタント)

(3)夫の年収1,000万円・離婚原因は夫のモラハラ/10歳と5歳の子どもふたりのケース

「暴力こそなかったけれど、かなりひどいモラハラ夫で、私からお願いして離婚してもらいました。

それなりに年収がありましたが、離婚を嫌がっていたため、慰謝料をとれる状況ではなく……。とにかく早期に別れるのを目的として、慰謝料ゼロで合意。

養育費については、子どもにはなんの罪もないということで、ふたり分として月額17万円をもらっています」(40歳女性/商社)

 

3:旦那の浮気や精神的苦痛、DVでの怪我の場合は?ケース別の慰謝料相場5パターン

浮気やDV、精神的苦痛などで離婚に至った場合の慰謝料はどのくらいなのでしょうか。離婚に関する判例や、離婚した人たちの話をもとに慰謝料相場について、ご紹介します。

(1)DVで何度も怪我をさせられ離婚

妻を極端に侮辱し暴行を加えたことが、婚姻を継続しがたい事由にあたるとしたケースで、婚姻期間が20~30年と長かったことから、慰謝料400万円となった判例(東京地判H17年6月22日)があります。

しかしここまで高額な慰謝料認定がされるのはレアなケース。

夫からの暴力・暴言で離婚することになったものの婚姻期間が5年未満だったこともあり、慰謝料が50万円だった判例(東京地判H18年8月28日)などもあることから、DVによる離婚は、その内容や婚姻期間によっても大きく変わってくるといえます。

(2)浮気による離婚

浮気による離婚の判例は数多く出ていますが、一般的に慰謝料の相場は100〜300万円程度となっているようです。

夫が2年以上不倫していた相手に対して、妻が慰謝料を請求した事案では、結婚生活が20年以上であっても、認められた慰謝料の額は100万円(名古屋地判H3年8月9日)と、世間の予想よりも低い相場で決着しているケースもあります。

慰謝料の相場は、その浮気によって夫婦関係が破綻したときのほうが増額される傾向となっています。

(3)モラハラによる精神的苦痛

夫や妻から耐え難いモラハラを受けていて、それを理由に離婚をする場合にも、被害を受けた側は相応な慰謝料を請求したくなりますよね。

判例では、妻に対して思いやりのない行動を繰り返していた夫に対して、裁判所が100万円の慰謝料を認定した事案(東京地判H16年12月16日)や、妻から夫への自己本位な言動、態度に対して80万円の慰謝料を認めた事例(東京地判17年2月22日)があります。

(4)旦那の借金による離婚

慰謝料が決まっても、払えるものがなければ、机上の空論。

実際に、筆者が夫の借金を理由に離婚した人たちに話を聞くと「慰謝料100万と決めたけど、実際にはもらえなかった」「借金返済後に慰謝料300万円を払うと約束して別れたけど、時間が経ってどこに住んでいるのかもわからなくなり、結局はもらえずじまいだった」などのエピソードもありました。

(5)性格の不一致による離婚

「性格の不一致」を理由に離婚する人はかなりの割合ですが、「性格が合いません」というだけは、裁判所が慰謝料を認定する要素にはなりません。

よって、慰謝料は発生しない離婚パターンとなることが多いのが実情です。

「性格が合わないことで、精神的な苦痛がすごかった!」と主張しても、なかなかそういった意見は通りにくいのが実態と考えておいたほうが賢明でしょう。

 

4:離婚するからといって満足な慰謝料がもらえるとは限らない

「相手のせいで離婚する」となっても、満足な額の慰謝料がもらえるとは限りません。

日本の現状では、慰謝料を決める際に、年収はあまり考慮されず、むしろそれぞれの離婚原因についての相場をもとに慰謝料額が決まるケースが一般的です。

婚姻関係はできるだけ平穏に長続きするのが理想的ですが、もしものときのためにこういった基本的情報をつかんでおくことは、損にはならないでしょう。