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別居してても扶養家族にできる?別居中の親や子を扶養家族にするための条件

並木まき

並木まきM.Namiki

目次

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1:別居してる家族を扶養に入れる条件は?

別居している、つまり一緒には住んでいない家族を、“扶養”に入れることも可能です。

そもそも“扶養”とは、大きく「税務上の扶養」と「健康保険上の扶養」のふたつに分けられます。

税務上の“扶養控除(所得税額ひいては住民税額を減額する制度)”は「同居をしていないから」というだけでは、対象外にはなりません。健康保険の“扶養”についても同様ですが、より実態に即した手続きを求めるという性質上、“扶養”に入れる人の生活の面倒をみているのかなどを証明する必要があります。

 

2:仕送りしてれば別居の親を扶養家族にできる!仕送りを証明する方法3つ

例えば、仕送りをしているなど親の生活を面倒をみている場合は、親を“扶養家族”としてカウントできます。

ただし、必要になるのが「仕送りしている」という事実を証明すること。当章では、その方法について解説してきます。

(1)振込の証明書を出す

税務上の扶養家族に親をカウントする際には、特に添付書類は必要ありません。しかし万が一、証明を求められたときのために、仕送りをしている証拠として、振込の履歴などを残しておくと安心です。

健康保険上の扶養に入れる場合には、仕送りの事実をチェックされるのが一般的です。同様に、振込の履歴を常に控えておくといいでしょう。

(2)現金書留の控え

振込ではなく、現金書留でお金を送って仕送りをしている場合には、仕送りを証明する手段として、現金書留の“写し”をとっておくことも大事です。

(3)親の戸籍謄本

健康保険の扶養に限り必要となるのが、親の戸籍謄本です。親を健康保険の扶養に入れる場合は、仕送りを証明する書類が求められると同時に、扶養対象とする人物との関係性もチェックされます。

被保険者との続柄がわかる抄本が必要なので、本人や夫婦だけの抄本ではなく、親の戸籍謄本が求められるのです。

 

3:別居の親や子供を扶養家族にするために知っておくべきポイント5選

別居している家族を扶養家族に、と考える場合は親だけでなく、別居中の子供だったり、きょうだいだったり、妻だったり、といろんなケースが考えられます。

そこで、この章では扶養に入れる前にチェックしておきたい基本ポイントを紹介します。

(1)扶養控除が重複していないか(他の人が扶養に入れていないか)

税務上の扶養控除を適用するためには、他の人とダブルでカウントすることができません。

ですので、すでにきょうだいが別居の親を扶養に入れているなどという場合は、実際には扶養に入れているきょうだい以外が仕送りをしていたとしても、新たに扶養家族として控除を受けることができなくなります。

(2)年末調整や確定申告などの諸手続きが必要

税務上の扶養控除(所得税額ひいては住民税額を減額する制度)には、手続きが必要です。

「仕送りしたから、これで自動的に親が扶養としてカウントされるはず!」と思っていたら大間違い。

会社員の場合には、年末調整の際に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出。自営業などの場合には、確定申告の際に、扶養控除の欄に被扶養者(別居の親など)の情報を書き込んで申告します。

また健康保険上の扶養家族にする場合は、最初に健康保険被扶養者(異動)届が必要になります。

会社員の場合は、会社を通して行うので該当部署へ提出。自営業の場合は、電子申請システムによる手続きが可能なほか、書面を郵送する場合は事業所を管轄する年金事務所(郵送の場合は事務センターも可)へ提出することになります。

(3)本人との血縁関係によって認められる・認められない範囲がある

「仕送りをしていれば、誰でも扶養に入れられる」というわけではありません。

税務上の扶養の場合、被扶養者として認められる範囲は、“6親等内の血族及び3親等内の姻族”とされています。なので、この範囲を超えている人は、親戚であっても扶養には入れられないことになります。

健康保険の扶養の場合は、配偶者(戸籍上の婚姻届がなくとも、事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄姉弟妹の直系尊属が認められる範囲に。また後期高齢者(75歳以上)は社会保険上の扶養に入ることはできず、後期高齢者医療制度へ加入することになります。

(4)証明できないと延滞金や追徴課税のリスクもある

税務上の扶養に入れて控除を受けるのは、社会保険上の扶養に入れるよりもハードルが低いものの、実態がないのに扶養家族としてカウントしていたとなると、当然ながら修正申告が必要になります。

この場合、延滞金や追徴課税が発生する可能性もありますので、仕送りをしている事実や生活を助けている場合、その証明は必ずできるようにしておかなくてはなりません。

(5)客観的に「扶養している」と判断できる額を渡している

「扶養している」と言えるだけの額を仕送りしている事実も大切な要素です。

税務上の扶養に関しては、一概に「いくら以上、仕送りしていれば扶養していると認められる」という明確な基準は定められていません。仕送りをしている親の仕送り以外の収入状況によっても、判断は変わります。

例えば、毎月5万円をパートで稼いでいる母親にパート収入だけでは足りない分を補う仕送りをしていれば「扶養している」と認められやすい一方で、毎月扶養範囲内の範囲ギリギリの収入がある親に、プラスとして数万円を渡していたとしても「扶養している」とは言い難い、と判断されることもあり得ます。

その基準は実態によってまちまちです。税務署から調査が入った際にのみ必要となることですが、認識しておく必要はあるでしょう。

また健康保険の扶養の場合は明確な基準が定められており、認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合には被扶養者となる、とされています。

 

4:別居している家族でも「扶養」に入ることは覚えておこう!

税務上でも、健康保険上でも、別居している家族を「扶養」に入れられる制度があることは、覚えておいて損はありません。

全員が使う制度ではないかもしれませんが、実際にそうなったときに申請できないことのないように準備しておきたいところです。