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DV男によくある特徴6つとチェックリスト7項目!あなたの彼氏は大丈夫?
中田綾美A.Nakata
目次
隠す1:あなたの彼氏は大丈夫ですか?
「DVする男と付き合うなんて考えられない」
「そんな男とはさっさと別れればいいのに」
DVなんて自分には無縁の問題だと思っていませんか? 被害にあっている女性だって、そうだったはずです。彼氏が暴力をふるう男性だとわかっていたら、深い関係にならなかったことでしょう。
でも、DVをする男性の中には、会社や学校ではすこぶる人あたりがよく、虫も殺さないように見える人物もいます。
「優しい人だ」と思って付き合い始めたのに、なぜか窮屈だったり、息苦しさを感じたりする。しだいに彼に支配的な言動が現れるようになる。そして、彼女が自分の思い通りにならないと、激高して暴力に及ぶ。しかも、その時点で、被害女性は心理的に支配されているので、助けを求めることができない……。
そんなケースが少なくないのです。
2:DV彼氏の特徴6つ
DVの被害にあわないためには、加害者の特徴を知っておいて、早めに距離を置くことが大切です。DVをする男性の特徴と傾向をご紹介します。
(1)束縛したがる
毎日の行動や居場所、誰といるのかを逐一知りたがり、報告するように求めたり、携帯の着信履歴やメールをチェックしたりすることもあります。
また、愛情の名のもとに、一方的にほかの予定を犠牲にして、自分の予定を優先することを望みます。
(2)自分の一方的な意向で物事を決める
DVをする男性は、相手の意向を配慮することなく、自分の意向で物事を決める傾向があります。
たとえば、デートプランを立てるときも、彼女の好みはおかまいなし。自分の行きたいところ、食べたいものばかり選びます。それで、彼女がつまらなそうにしていると「俺のプランが気に食わないのか」とキレることもあります。
(3)ケンカになっても自分からは謝らない
DVをする男性は、「自分が正しい。相手が間違っている」と考える傾向があります。
このため、彼女との間に何かトラブルが起こったら、たとえ自分に落ち度がある場合でも、自分からは謝ることができません。
トラブルにまでは至らない、ちょっとした意見の食い違いでも、自分が譲ることは少ないでしょう。
それを彼女にとがめられたら、「おまえの頭がおかしい」と逆ギレすることもあります。
(4)嫉妬深く疑い深い
彼女が自分以外の異性とちょっとでも関わると「あいつとはどういう関係なんだ?」と邪推してしまうところがあります。
また、彼女が都合で連絡がとれないときに、「今どこで何している」「なぜ返信できない?」「どうせ男と遊び歩いているんだろう」と立て続けにLINEやメールを送りつけて、のちに彼女が事情を説明しても耳を傾けてくれません。
(5)ささいなことで被害的になる
DVをする男性は、彼女の何気ない言動にも過剰に反応し、被害的にとってしまうことがあります。
たとえば、彼氏が何か言いまちがいした際に、彼女が笑おうものなら、「俺のことをバカにするのか」と激怒。
また、「バカのくせに俺を見下しやがって」と彼女を貶める発言をすることで自分の優位性を保とうとすることがあります。
(6)自分のことは棚にあげる
これまでに挙げたいくつかの項目にも関連していますが、DVを行う男性には“自分のことを棚にあげる”言動が見られることがあります。
たとえば、彼女が自分を傷つける発言は許さない。でも、自分は彼女に何を言ってもいい。彼女が自分以外の異性と関わるのは許さない。でも、自分は女友達と自由に遊んでいい、といった具合です。
3:されてない?DVをする男性がやりがちな行動チェックリスト7項目
“暴力”というと、どんなものをイメージしますか? “殴る、蹴る”だけがDVではないことを、ぜひ知っておきましょう。
(1)身体に直接、暴力を向ける
もっともわかりやすいのは殴る、蹴るなどの身体的な暴力ですよね。髪を引っ張る、首を締める、アルコールを無理に飲ませるなど、さまざまな方法があります。
(2)物に暴力を向ける
女性の身体に直接向けられなくても、壁や家具を殴ったり蹴ったりして自分の腕力を誇示することで、「この人には逆らえない」という恐怖心を女性に植え付けるのもDVです。
また、彼女の大切にしている物を壊したり、自分が手を下さなくても彼女に捨てるように強要したりするという形でDVが現れることもあります。
(3)言葉で傷つける
大声で怒鳴ったり、「お前はバカだ」「無能だ」とののしったり、「俺の言うことを聞かないとどうなるかわかっているだろうな」と脅したりすること、また、SNSで誹謗中傷をすることもDVにあたります。
(4)長時間、無視する
何か気に入らないことがあると、何を言っても彼女を徹底的に長時間無視。それによって彼女に「なぜ怒っているんだろう?」「私が何か悪いことしただろうか?」と不安にさせるのもDVにあたります。
(5)彼女の人間関係や行動を監視、制限する
彼女の人間関係や行動を細かく監視し制限するのは“社会的暴力”にあたります。
彼女が自分以外の異性とかかわることを嫌がり、たとえ同性の友人、家族ですらも、自分の意に沿わなければ、自由な関わりを許さない。エスカレートすると、彼女が完全に孤立してしまうことがあります。
(6)経済的なダメージを与える
結婚している場合、生活費を渡さない、貯金を勝手に使ってしまうなどの行為は“経済的暴力”です。
結婚していない場合でも、借りたお金を返さない、いつもデート代を彼女に負担させる、高価な物を買わせるなどの形で、経済的暴力があらわれることもあります。
(7)性的な自由を侵害する
無理やり触ったり、セックスしようとしたり、避妊に協力しなかったり、さらには中絶を強要したりする“性的暴力”もDVです。
また、彼女の意に反して、裸や下着姿の写真や動画を撮影しようとするのも、性的暴力、DVにあたります。
4:なぜそんな行動を?DVをする男性の心理
夫婦であれ恋人であれ、本来パートナーとは慈しみ愛し合う存在のはず。それなのに、なぜDVをする男性はパートナーを傷つけてしまう、傷つけずにはいられないのでしょうか?
(1)支配とコントロールへの欲求がある
DVをする男性には、彼女を支配しコントロールしたい、所有物化したいという欲求があり、またそうする権利があると思っています。
その欲求を満たす手段として、または満たされなかったときに、これまであげたような様々な暴力が振るわれるのです。男性優位の社会構造が、支配とコントロールの欲求を支えています。
(2)“男は男らしく、女は女らしくあらねばならない”という意識が強い
「女性は従順で、男性をたて、従うべき」とする価値観があるため、彼女が自己主張したり、耳の痛いことを言ったりすると、その価値観に反するのであからさまに不機嫌になってしまうのです。
「女のくせに生意気だ」「男である俺の言うことを聞け」などの発言も、この意識からきています。
(3)自分の感情や行動に責任を持たない
暴言を吐いているのは自分、暴力を振るっているのは自分であるにもかかわらず、自分に責任があると捉えることができません。
「お前が俺を怒らせた」「お前が俺に暴力を振るわせる」「お前に気遣いが出来れば、怒ることもないのに」などは、DVをする男性がよく口にするセリフです。
また、自分の感情を快適に保つ責任が彼女にあるという意識があり、言わなくても気持ちを察して、何をおいても気遣ってもらって当然と思い、そうならないことが怒りにつながります。
(4)特権意識がある
DVをする男性は、自分と同等の権利が相手にあると思うことができません。自分は、世話され気遣われて当然と思っていますが、相手もそうだとは考えられないのです。
自分の欲求を中心に相手が動いて欲しい、自分を優先にして生活して欲しい、愛しているならばそれは当然だと捉えているのです。
(5)暴力的・支配的な関係を誤学習してきている
社会的価値観や育った環境から、「男女の関係とはそういうものだ」と誤って学習していることがあります。
例えば、親から暴力を受けたり、父母間のDVを見てきたりしたために、互いに尊重し合う関係性のモデルがなく、これまで体験してきたような相手を支配し傷つける関係性を作ってしまうのです。
(注)暴力的・支配的な環境で育ったとしても、DVの加害者にならない人も多くいます。
5:DVへの対処法
DVの被害を予防する、もしくはすでに被害にあっている人が問題に対処するにはどうすればいいのでしょうか?
(1)意に沿わないことは、はっきりと「NO」と言う
もしも彼氏に上記の“DV彼氏の特徴6つ”や“DVをする男性がやりがちな行動チェックリスト7項目”に挙げた行動が見られ、あなたがそれをイヤだと感じたら、「そういうことはやめて欲しい」と自分の意思をはっきりと伝えること。それでも、彼が変わらないなら早めに別れましょう。
ここで我慢すると、彼の要求がどんどんエスカレートするおそれがあります。
(2)自分の内面を見つめる
「束縛は愛しているから」「怒らせるのは自分が悪いから」「この人には私は必要なんだ」と思いこんでしまって、被害を受けているとは気が付かないこともあります。
そうならないためにも、自分の内面をしっかり見つめるようにしましょう。彼に対して「怖い」という感情を抱くことはありませんか? 彼の機嫌をうかがってばかりいませんか? 以前より自分はダメだと思うようになっていませんか? うつや無気力の傾向はありませんか?
上記の質問について、彼の顔を思い浮かべずに、自分の気持ちに焦点を当てて向き合ってみましょう。被害にあっていることに気付くことが、DVから脱出する第一歩です。
(3)相談する、助けを求める
自分が被害にあっているかもしれないと思ったら、すぐに助けを求めること。そのためにも、彼から人間関係を制限されそうになったときに、従わないようにすることも大切です。
被害にあっているかどうか迷うときは、信頼できる人に彼との関係について相談してみましょう。身近な人に頼れない場合は、配偶者暴力相談支援センターなどの相談窓口で、デートDVの相談も受け付けています。
また、身の危険を感じるときは警察に相談しましょう。かつてはDV案件に対して、警察が消極的だったこともありました。しかし、関連する事件が大きく報道されるようになり、対応に改善が見られるとのことです。
(4)DVから逃れた後も、苦しみが続くならカウンセリングを受ける
DVから逃れたあと、PTSDの症状(フラッシュバック、悪夢、イライラ、不眠、疎外感、意欲の低下など)に悩まされることがあります。男性不信になってしまうこともあります。回復のためにカウンセリングを受けてみましょう。
6:DVをする女性の実態・特徴とは?
DVは男性から女性に向けられるだけとは限りません。割合としては低いものの、女性による男性への暴力もあります。
(1)女性が非力とは限らない
“女性から男性への暴力”というと、「男性のほうが力は強いんだから、被害は大したことないんじゃないの?」と思われがちです。
しかし、関係性の中で女性の方が力を持ったとき、男性が反撃しないのを見越して、殴る、蹴る、物を投げる、包丁を突きつけるなどの様々な暴力がなされることがあり、男性にとって十分脅威となりえます。
(2)心理的暴力を駆使する
女性に限ったことではありませんが、学歴や収入について見下す発言をしたり、器の小さい男だとののしったり、徹底的に無視したり、延々と責め続けたり、LINEなどのやり取りを中断すると怒ったりするなどの、心理的暴力に及ぶことがあります。
(3)心理的背景にあるのは、支配とコントロール
DVをする女性も男性と同じように、相手を支配し、コントロールしたいという欲求があります。
携帯電話やメールのやりとりを細かくチェックしたり、異性の連絡先を消させたり、彼の人間関係や行動をコントロールしようとすることもよくあります。
「今すぐ来てくれないと死ぬ」と実際にリストカットなどをして脅し、何をおいても相手が駆け付けてくれるよう求めることも、コントロールの一形態です。
結婚している場合は、夫をリビングに入って来させない、必要なお金を渡さない、子どもに関わらせないなど、家庭内を全部自分の思い通りに支配するということもあります。
このようにDVは男女どちらとも加害者となりえます。しかし、男性が加害者である場合が圧倒的に多いのが現状です。
男性はリーダーシップをとるべき、女性は従順であるべき、男性の女性への支配や暴力はある程度許容されるというような社会通念や、社会経済的格差など、男性優位の社会構造がいまだ根強く残っていることも影響して、残念ながらDV被害はあとを絶ちません。
今回ご紹介したようなDVの被害者にならないためには、DVについての正しい知識を持つことが大切です。DVかもしれないと思ったら、ひとりで我慢するのではなく、逃れるための1歩を踏み出しましょう。
【取材協力】
女性ライフサイクル研究所フェリアン・・・大阪と京都にある心理相談機関。13名の経験豊かなスタッフ(臨床心理士等)がカウンセリング、講演・研修、執筆などを行う。カウンセリングでは、トラウマ(PTSD)、症状(うつ、不安、解離)、人間関係や家族の問題、自信がない、生きづらいなど様々な問題に対応。問題やニーズに合わせて、個人カウンセリング、カップルカウンセリング、その他様々なカウンセリング方法を組み合わせている。