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喫煙で痩せる…は大嘘!? タバコにまつわる「とんでもニュース」を検証

中田綾美

中田綾美A.Nakata

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“喫煙すると痩せる、禁煙すると太る”ってホント?

ーー若い女性の間では、“タバコで痩せられる”と信じている人がいるようなのですが。真相はどうなんでしょうか?

「喫煙するとタバコのニコチンの影響で胃腸のはたらきが悪くなり、食欲や消化・吸収が抑えられるため、“体重を低くキープする効果”はあるといえます。

また、これまで喫煙の習慣があった人が禁煙すると、からだが健康な状態に戻ることで自然と体重が増えることはよくあるので、“喫煙で痩せる”というイメージが一人歩きしているのかもしれませんね。

ただ、“キレイになりたい”のであれば、喫煙は百害あって一利なしです」

 

喫煙するとあの悪役キャラそっくりになる!

「『白雪姫』に登場する魔法使いのおばあさんを想像してみてください。たしかに、痩せてはいますがシワだらけで“キレイ”とは程遠い存在ですよね。

喫煙による体重減少は、まさしくあのイメージです。“痩せる”というより“やつれる”が正しいといっていいでしょう」

美容のためのダイエットにとって、喫煙は逆効果なんですね。魔法使いのおばあさんみたいにはなりたくありません……。

 

逆に“喫煙で太る”おそれもある!

ーー旧・厚生省の統計資料などで、“喫煙者に肥満が多い”というデータもあるようなのですが、喫煙で逆に太ることもありますか?

「もちろん、喫煙者で太っている人はいくらでもいます。その原因のひとつは、食生活にあると考えられます。

喫煙すると味覚がにぶくなり、薄味では満足できないようになりがちです。繊細な味がわからないので、生野菜やおひたしではなくポテトチップスを食べる。お茶ではなくコーヒーやジュースを飲む……。

このように、味の濃いものを求めることで、食事が高カロリーになり、肥満につながる可能性はあるといえるでしょう」

そういえば、ヘビースモーカーって味の濃いものが好きだし、健康に無頓着だから高カロリーなものばかり食べている人が多いような気がします。それじゃ太りますよね。

 

喫煙がお肌に与える怖~い影響とは?

ーーさきほど“白雪姫の魔法使いのおばあさん”の例が出てきましたが、喫煙のお肌への影響についても教えてください。

「喫煙が肌に与える悪影響は深刻です。まず、血流が悪くなることで、深いシワができやすくなります。

また、老廃物がたまることで、シミができやすかったり、肌の透明感が失われたりするおそれもあります。

さらに、老化の原因となる“活性酸素”が増えてコラーゲンが破壊され、お肌のハリが失われるおそれも。

一言で表現すると、喫煙によって“どす黒い老け顔”になるのです」

美肌になりたい女性にとって、タバコは大敵。いくらスキンケアしても、喫煙すると台無しになっちゃうということですね。

 

体重増加を抑えつつ禁煙するには?

「太るのがイヤ」だと言ってタバコをやめられない喫煙者もいることでしょう。そこで、高橋先生から、体重増加を抑えつつ禁煙する方法についても教えてもらいました。

(1)口を物理的にふさいでしまう

「禁煙すると、口が寂しくなって、“ちょっと一口”が増えがちです。これを防止するためには、マスクをする、口寂しさを感じたら歯ブラシをくわえるなど、口を物理的にふさいでしまう方法が効果的でしょう」

(2)健康的な食生活に切り替える

「禁煙すると、食べ物のうまみを感じやすくなり、何を食べてもおいしいため、つい食べすぎてしまうことがあります。

ただ、見方によってはこれはチャンスです。“うまみを感じやすい”ということは、薄味でヘルシーな食事でも満足できるということ。味が濃くて高カロリーなもののかわりに野菜をしっかり食べるなど、禁煙を機にこれまでの食生活を改善するといいでしょう」

(3)禁煙の薬を利用する

「タバコのニコチンには食欲を抑える効果があるので、禁煙するとニコチン切れにより、必要以上に空腹を感じやすくなり異様に食欲が増すことがあります。

この“ニコチン切れ”を軽減するのに役立つのがニコチンパッチやニコチンガムなどの禁煙の薬。

最近では内服薬のバレニクリンも普及してきました。バレニクリンは病院の禁煙外来で、ニコチンパッチは禁煙外来や薬局で、そしてニコチンガムは薬局で入手することができます。

薬を使うなんて……というなかれ。薬剤師や医師や看護師に体重の悩みなどを相談することもできるので、そうしたコミュニケーションが励みとなって体重にも気をつけながら上手に禁煙を目指すことができてお勧めです」

病院が苦手ならメールでアドバイスを得ることも可能

「病院まで行くのは敷居が高いな……」とお悩みのかたは、高橋先生が主宰している『インターネット禁煙マラソン』を利用するのもオススメです。

『インターネット禁煙マラソン』とは、メールを利用した双方向タイプの禁煙支援システムで、禁煙の先輩や医師からのアドバイスも受けられるというもの。

今なら5月31日の世界禁煙デーに合わせて始まる“一斉スタートコース”の参加者を募集しているので、気になるかたはチェックしてみてくださいね。

 

以上いかがでしたか? 「たばこをやめると太る」説。嘘か真かのみならず、原因や理由、対処法まで理解できたのではないでしょうか?

酒・煙草・コーヒーは、嗜好品という名の法律で許されたいわば「合法ドラッグ」。向精神作用と中毒性は、あなどれないものがあります。

喫煙は健康によくないのはもちろんのこと美容にも大ダメージを与える魔物。吸ったことのない人はうかつに手を出すべきではありませんし、喫煙女子は今すぐ禁煙に取り組みましょう!

 

【取材協力】

高橋裕子・・・日本禁煙科学会理事長。京都大学付属病院禁煙外来担当医。1997年から全国の喫煙者を対象に『インターネット禁煙マラソン』を提供している。

 

【参考】

インターネット禁煙マラソン