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ブームの予感!? 実はひそかに増えている「蝉」お助け隊
櫟原梨絵子
最近、夏になっても蝉が少ないなあと思うことはありませんか? 「こんなに暑いのに蝉が鳴いていないなんて、なんだか不思議」と思っている方も少なくないはず! そんな蝉たちを助けるべく活動している(?)、『蝉レスキュー男子』がひそかに増えているのをご存じでしょうか。
実は、私の周りにも実はふたりほどいるのですが、その“心優しく涙ぐましい努力の様子”はちょっぴり感動的なのです。そこで今回は、この『蝉レスキュー男子』について真相を探っていきたいと思います!
■そもそも『蝉レスキュー』ってなに?
『蝉レスキュー』といってもいったいなにをどうやって蝉を助けるのかぴんと来ない人のほうが多いと思うのですが、そもそものきっかけはとても単純なもの。
たまたま羽化をするために土から出てきた蝉の幼虫が、近くに木がないために暑いアスファルトの上にいたりするのを見つけ、「このままだと、この子が暑くて死んじゃう!」と思い、思わず土や木のあるところに幼虫を連れて行ってしまう……。こんなことから始まります。
■何でわざわざ蝉を助けてしまうの?
実は蝉が羽化する時間帯は、夕方から朝までの時間帯。ちょうどジョギングや散歩をする人が多い時間でもありますが、蝉にとっては天敵に襲われないうちに羽化をして飛べるようにするためでもあります。しかし、ご存じのように蝉は幼虫として土の中で何年も過ごして出てくるため、成虫になるために出てきたのに周りに木がないことは十分あり得ることなのです。
外を散歩していて、命の危険にさらされながら木を探して道を歩いている蝉の幼虫を見つけてしまったら……。彼らにとっては、子供の頃から自然に親しんできて、夏休みの自由研究のために幼虫を捕まえてきて“羽化する様子まで観察した”、大事な存在。どうも、この時の感動を思い出すと、蝉のピンチに手を差し伸べずにいられない様子。
「あぁ、何とか元気に蝉をちゃんと羽化させてあげたい!」
「羽化する時に味わった、あの感動をもう一度!」
……これらが、何よりの動機のようです。
■救った蝉は道路から土へ、さらには家の中へ!?
しかし、特に『蝉レスキュー』に関するボランティア団体があるわけではなく、たまた見つけて気になった人が自発的にしているのですが、twitterなどでも夏になると必ずといっていいほど“勝手に蝉レスキュー”をしている人が増加します。『蝉レスキュー』でネットを検索するだけで結構な数の人たちが出てくるくらいです。
最初のうちは道路の真ん中にいた幼虫を土のあるところへ連れて行ったりするだけなのですが、もともとそうして蝉の命を助ける優しい心の持ち主なので、その行動はさらにエスカレート。羽化に失敗しそうになっている幼虫を保護して家で羽化させて自然に放したりするようになっていきます。
■なんと植木鉢の中で保護してしまうツワモノまで!
しかも、羽化のための蝉レスキューだけではなく、中には植木鉢の中で保護をする人までいるそうで、私の友人も家の観葉植物の鉢で保護をしていると聞きました。そんな人は他には聞いたことがなかったので調べてみると、これが意外とたくさんいるようなのです。
もちろん、たまたま家の植木鉢から蝉の幼虫が見つかったのでそのまま飼い続ける人もいるのですが、蝉を助けるだけでなく、蝉を愛するあまり、幼虫を捕まえて家の植木鉢で飼っている人も中にはいるようです! 調べて見たところ、『蝉雑記帳』というサイトでは、驚くべきことに、“蝉を飼うならどんな植物の鉢がいいか”というところを詳しく書かれています。
自宅の植木鉢に蝉の幼虫。蝉が羽化するまでには長い時間がかかるわけですが、その植木鉢の中に蝉の幼虫がいたとしたら、植え替える時も丁寧にしないといけないでしょうし、家の中で何匹も羽化してしまうかも知れないわけです。というか、観葉植物の生育に問題はないのかとか、いろいろ考えてしまうのですが、何よりも、たくさん羽化してしまうことを想像するとちょっと怖いですね。
もしも、彼氏の部屋にある植木鉢から蝉が出てきたらどうしようとか、余計な想像をしてしまいます。ドアを開けたら蝉が羽化して鳴いていたらかなり驚くと思うのですが……。
今年もまた『蝉レスキュー男子』たちが、twitterなどでレスキュー報告をしているのを見かけるようになりました。まだ幼虫を保護して植木鉢に埋めている人は見かけませんが、子供たちの夏休みと共にそうした行動をとる男子も増えるかも知れません。
『蝉レスキュー男子』の心優しい行動は素晴らしいと思うのですが、蝉が成虫になるまでは時間がかかるもの。忘れた頃に出てきてびっくりするようなことにならないといいなと願うばかりです。
例えばの話ですが、あなたの彼氏が植木鉢をやけに大切にするようになったら、それはそこに蝉の幼虫がいるからなのかもしれませんよ!? 蝉レスキューがもっと盛んになったら、彼が家の中までレスキューしていないかどうか、よく観察しないといけない可能性もありますね!
でも、そんな心優しい『蝉レスキュー男子』の姿は、何だかほほえましいですよね。温かく見守ってあげたいものです。
【参考】
※ 「そういえば今年の夏はセミが鳴かない…」2chなどで不安の声-教えて君.net
※ 蝉雑記帳